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第十部 第七章

「ちょっと、やめてほしいんですけど」


 今まで黙ってた茜がそう叫ぶ。


 魔獣に襲われそうな陸を見て、皆が助けようとしないので切れたらしい。


「まあ、嫌だよね」


「気持ちはわかるがな」


 慎也と大悟が冷静に茜に突っ込んだ。


「やめてくれませんか? 彼は我々の世界のものです」


 そう茜が陸とイーグルベアと寄生魔獣の猫の間に入る。


 陸の盾のように前に出て両手を広げた。


「お前も交尾したいのか? 」


 チョロ熊さんの娘のイーグル・ベアがそう聞いた。


「ちょっとぉぉぉぉ! 」


 茜が真っ赤になった。


「へぇぇぇ」


 天音がにやにや茜を笑ってみる。


「ならばお前も一緒にすればいい」


 そうチョロ熊さんの娘でないメスのイーグルベアが笑った。


「は? 」


「優秀なオスというのは皆で共有したらいいのだ」


「えええええ? 」


「かはっ! 」


 陸が凄い顔で痙攣して叫ぶ。


「我々魔獣は全てにおいてそうだ。別に人族のように夫婦という概念はないからな」


 そうチョロ熊さんが説明する。


「ちょっとぉぉぉ! 中身は私たちと同じ人族なんですよ? 」


 それはおかしいと茜が突っ込んだ。


「だが、今は魔獣と混じっている。しかも、獣魔神ライ様が頼りにしておられる迷い人が一目置いているのだ。優秀な雄だと言っていい」


 そうチョロ熊さんが話すと、イーグルベアと寄生魔獣の猫の雌が頷いた。


「迷い人が、陸を知ってる? 」


 大悟がそれを聞いて首を傾げた。


 凄くそれが心に引っかかったからだ。


 でも、それを気にしているのは大悟だけだった。


「ん? 」


 陸が地上の方を見た。


「どうした? 新しい魔獣の雌が向かってきてるのか? 私にも何か異様なものはお前から感じるから。それはあり得るのかもしれない。独特の優れた雄だけが持つ気配だ」


 チョロ熊さんがそう断言した。


「いや、大陸ドラゴンさんに何かが飛ぶのを止めて降りるように命じている」


「は? 」


 チョロ熊さんが驚いた。


「え? まだ大陸ドラゴンとつながってるの? 」


「一度使役するとゲームとかであるテイマーと同じで特殊な関係自体は続いてるみたい。それでわかる感じ……」


「待て。止まらせるな。そのまま大陸ドラゴンを飛ばした方がいい」


 そう大悟が急に突っ込んだ。


「なんで? 」


「これ以上雌の魔獣が増えても困るだろう。それともう一つ。嫌な予感がする」


 大悟が下を見た。


「いや、どちらにしろ、ぼけてるから止まんないみたいだけどな。大陸ドラゴン」


 そう大悟が苦笑した。


 その時だった。


 ガクンと大陸ドラゴンが揺れて落ちだした。


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