裏表の共存
いつからだろう。
こんなにも生きるのがつまらなくなったのは。
奥底に眠る記憶を掘り返しても心から楽しいと思っている自分がいない。
物心ついた時にはもうすでにこの世界がどんなところか気づいていた。
だから周りの同級生だとか大人だとかが嘘に思えた。
何も考えず今日という一日をただ消費していくだけの人生、そこにどれほどの価値があって何の意味があるのだろうか。
僕は幼いころから周りとは違って少しばかり成長が早かった。
言葉もすぐに話せるようになったし、勉強だっていつも退屈だった。
頭の悪い、思考をやめた大人となら僕のほうが賢いとさえ思っていた。
そんな生意気だった僕は世界の陰に気づいた。
幼くて好奇心旺盛で頭だけはよかった僕が考えられることと言えば周りのことだけだったのだから当然のことだ。
勝ちの裏には必ず負けが存在して、生きるということには必ず死があって、なのに世界はそんなに甘くなくて。
いつだって表裏があるはずの世界は気まぐれにそれらを共存させてしまう。
勝っても負けている状態、生きているのに死んでいるような大人
こんなぐちゃぐちゃな世界でまともに生きられるわけがないだろう。
なら僕たちはどう生きればいい。
どんな生き方をすれば生きていると感じられるのか。