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遠い昔、女神には好きな人がいた。
しかしその人物は邪神となり、堕ちた存在になってしまったため。
女神の恋は叶わない。
しばらくは、悲恋に涙をながす女神。
けれど、女神は思いついたのだ。
いつか、邪神が元の神に戻った時、結ばれるようにと。
私の名前はファティ・クライシス。
貴族の娘だけど、あまり裕福ではないわ。
家が没落しそうだもの。
そんな貧乏な家のために、できるだけ良い家に嫁いで両親に楽をさせたいのだけど。
いつもうまくいかないのよね。
社交界で頑張った私は、苦労してとある男性との婚約にこぎつけたんだけど。
「坊ちゃん! 誰か! 坊ちゃんが大変な事に!」
一か月後。目の前で変死体となって発見される男性がいた。
私の婚約者で、夫となるはずの男性だったのだがその未来は永遠にこなさそうだ。
婚約者の執事が血相を変えて、慌てて走り去っていく。
もうこれで何度めだろう。
ああ、七度目だ。
私は、死体を見るのに慣れ過ぎたせいか、まるでショックを受けていない自分にショックを受けていた。