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九十三話 :解読

 ビクビクしながら遺跡の中を進む隼人の背中を押す。1000年後、つまりカインが入った時の遺跡とは違っていた。


 大きな広場へ出ないこと。進んでいる道の長さ。中身と外のデカさが釣り合っていること。古くなってる方は見掛け倒しだったのが、今はちゃんとしている。


 考えるに、1000年後と1000年前の遺跡は別の物なのかもしれない。


「いつまでこの一本道は続くんだよ、カイン」


「前はこんなに長くなかったんだけどなあ」


「おいおい、1度入ったことあるって言ってたじゃないか」


「いやあ、確かに入ったよ? でも、外見が似ただけかも」


「……あぁ、俺の人生は素晴らしかった」


 隼人はカインの返答に青ざめ、自分の人生を褒めだしてしまった。手を合わせ、神に祈る体勢で隼人は前へ進んで行く。


 それにしても、あの焼け野原を1人で進めた隼人がここではこんなにビクビクするのか。


 壁に松明がかけられているから暗くはない。足元もちゃんと見ている。一体どこに脅えているのだろう。


 あれ、そういえば前入った時松明なんてかけられていたっけ?


 カインの頭に一つの疑問が浮かび上がる。前入った遺跡は、壁が光だし過去へ行ける扉を作り出した。壁が光っていたから、中も明るかったのか。あの時はそんなこと気にもしてなかった。


「何でしょう。大きな広場みたいなのが見えますね」


 一本道はだんだんと広くなっていき、ハウエルが広場を見つける。


「カインさん、ここの広場は」


「俺たちが前に入った遺跡と同じだ」


 一本道から広場に出る。そこは古い方の遺跡と同じ大きさの広場だった。壁一面に文字がまた書かれていたが、内容は案の定分からなかった。


 「4人の英傑集まりし時、時代は動く? 何だこれ、気味が悪い」


 「……隼人、読めるのか?」


 「え、うん。それにしても、こんな壁ビッシリに書くなんて大変だっただろうな」


 隼人は壁の文字を読み上げる。カインが読めない文字、隼人は読める文字。この壁に書かれている文字は、1000年の間で消滅してしまった古代の文字。


 「隼人、全部読むことは出来るか?」


 「できるよ、任せて」


 隼人は壁の文字を読み始める。


 4人の英傑集まりし時、時代は動く。空割れしとき、時代を止めし英傑降りそぞく。対となる英傑ぶつかりしとき、時代の終が始まる。また時は動き出し、世界は創成する。


 全部読み上げられた言葉は、意味が到底理解出来るものではなかった。


 「どういう意味でしょう? 4人の英傑?」


 「私、カインさん、ラリンさん、隼人さん。 4人の英傑とは私たちのことでしょうか?」


 「いや待て、俺は戦えない。その線は薄い 」


 「一旦拠点に帰って考えよう……って、道はどこ?」


 言葉の意味を解くために拠点に帰ろうと、踵を返すと来た道が無くなっていた。


 「えっと、もしかして閉じ込められた……?」

ではまた。

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