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九十話 :フリーン・ビュル

 ハウエルたちの拠点は外の世界から、隔離され別の世界を形成していた。外の世界の焼けた野原は見る影もなく、水も食料も充実している。


「皆さん、長旅でお疲れでしょう。 そこの右を曲がったら、皆さんの家がありますので休んで下さい」


「なあ、ハウエル。聞きたいことがあるんだけどいいか?」


「いいですとも。 それじゃ、ラリンさんとカインさんは私に着いてきてください」


 隼人たちは用意された家へ向かい、カインたちはハウエルの後を着いていく。


 背中を追いながら町の風景を見る。簡易的に作られた家が建ち並び小規模の商店で買い物をする人がちらほらと。


「ここが私の家です。 狭いですけど遠慮なく寛いでください」


 ハウエルの家は木製のこぢんまりとした質素な家だったが、この場所では異彩を放っていた。


「それで聞きたいこととは?」


「まず予言の書について、次にこの世界を救うにはどうしたらいいか」


「……ふむ、なるほど。わかりました、お話しましょう」


 予言の書、この世界を救う方法。ハウエルは、最初に予言の書のことについて話し始めた。


 予言の書とは、ハウエルがこの世界に来た時に手に持っていたもの。自分の物ではないと言う。


 それを誰が渡したのか、何の目的で渡したのか。おもむろにその本を開いてみると、ただ1文「この世界を救える、救世主を探せ」。何ページめくろうと、それ以外出てこなかった。


 ハウエルは自分と共にこの世界にやって来た兵士たちと、村の人々を救いカインを探していた。


 何故、自分がこの世界にやって来たのか。意味は分からなかったが、正義感の強いハウエルはただ書の言う通りに実直にしてきた。


 何百の人を救った末にカインと出会った。全ては書の導きのままに。


「次に世界を救う方法については、私にも分かりません。 でも、一つだけあるとしたら自らを魔将軍と名乗る、フリーン・ビュルを倒し、世界に平穏を取り戻すことかもしれません」


「どんな奴なんだ? フリーン・ビュルとやらは」


「奴は残虐非道の限りを尽くし人々を恐怖に陥れ、自分の思い通りにするんです。 気に入らない奴は殺し、逆らう奴も殺す。 私はそんな奴から守るためにここを作ったんです」


「酷いです。 そんなことをするなんて、私許せません」


「あぁ、許せないな。 でも、相手の力も分からない。無闇に挑んでも危ないだけだ。 ここで力を蓄えてから、万全の状態で挑もう。 それまで、ここに居てもいいか? ハウエル」


「勿論ですとも。挑む際は私も同行します。 私も異世界の人間、しかし世界を救うのにそんなの関係ありません」


 フリーン・ビュル。どんな相手か分からないが、慢心はせず万全の状態で挑む事にする。


 話を終えた俺たちは、ハウエルの家を後にする。

ではまた。

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