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九話 :何かおかしいです

「二人ともFランクになったし、フィリルの所にでも行くか」


 今日も今日とてクエストを消化し、暇を弄んでいた俺達は冒険者ギルドの待合室で暇を潰していた。


「フィリル……? あっ、薬草採集の時に会った人ですか?」


「そうそう、研究を続けるからたまにはおいでよって言ってたからさ、顔出そうかなって」


 フィリルに研究を続けるから、たまには顔を出してくれと言われていたので、ちょうど暇でタイミングもバッチリな今な俺達はフィリルの元へ向かうことにした。


「いいですね。 私も一回お話してみたいです」


「よし、それじゃあ決まり! フイリルの元へ出発〜」


「お〜!」


 冒険者ギルドから、初心者の森へ入り草木を分けいつものの岩の前に立ち、合言葉を言う。


「開けゴマ」


「合言葉で開くんですか! カッコイイですね」


 合言葉で開くのは確かにカッコイイかもしれないが、合言葉はダサいよな?と思ったが、ラリンは全てを含めてカッコイイと思っているらしい。


 天使だから全てを優しく包み込んでしまうのかもしれない。


「そ、そうか?」


「はい! 凄くカッコイイです!」


「ラリンがそう思うなら、まあいいか」


 岩を開け少し進むと、蝋燭の灯りが見えた。

 フィリルの研究室もとい元封印場所だ。


 俺達に気付いたフィリルは動かしていた手を止め、こちらへ寄ってきた。


「おや、少年と薬草採集の時の少女じゃないか。 確か名前はラリン・アルバルクだったけ?」


「そうです、覚えていてくれたんですね。 嬉しいです」


 名前を覚えてもらっていた事が嬉しかったのか、ラリンは顔に花を咲かせ喜ぶ。


「そりゃ覚えてるさ、何せ剣聖の子孫だって聞いたからね」


「私にはなんの力もないんですけどね」


「大丈夫だよ。 いつか力は目覚めるさ。 それはそうと少年よこの防具をあげよう。 魔法無効の防具だ」


 机の上に置かれていた茶色で革の素材で出来た、防具を手渡してくる。

 どうやら魔法を無効化にするというチートな防具を、研究の一環で作り出してしまったらしい。


 こんな物を作れるフィリルは何者なんだ……。


「おぉ!いいのかそんなの貰って!?」


「いいとも。 研究の一環で出来た物だからね。 私には不必要な物なんだ」


「じゃあ、有難く頂戴します」


 有難く貰い、早速身につけるとサイズがぴったりでジャストフィットだった。


 動きやすく行動が制限されるということも無さそうだ。


「それと少女にはこの髪飾りを。 頭の回転が早くなる髪飾りだから逃げる時とかに使えるはずだ」


「あ、ありがとうございます」


「どうしたラリン?」


「あ、いえ。 人から物を貰ったりするのは初めてで」


 初めて人から貰ったというラリンだが、表情は険しく笑ってみせたが本当に嬉しい時に見せるラリンの表情では無かった。


 嬉しい時は顔に毎回花を咲かせ、笑顔で人を救えてしまいそうな顔をするのが本当に嬉しい時に見せるラリンの表情だ。


 天使のような笑顔を浮かべるラリンだが、何処と無くぎこちなそうな危ないものを貰ったような表情をしていた。


「……そうなんだ」


「はい」


「あっと、フィリル。 俺らこの後クエストに行く予定があるからさ、今日はここら辺でお暇するよ」


 先程のラリンの表情が気になり、フィリルの元を後にすることを決める。


「もう行くのかい?」


「最強のパーティーを目指してるからね。 クエストをどんどんクリアしないといけないんだ」


「ふふ、面白い事を考えるね。 じゃあ頑張って」


「おうよ!」


 適当な言い訳を言いフィリルの元を後にし、何があったのかラリン尋ねる。


「それでどうした?ラリン。 何かあったのか?」


「い、いえ! 何にも」


「嘘は言わなくていい。 顔色で分かる」


「カインさんには嘘はつけないですか……。 実はこの髪飾りを付けたら目の前に、(特殊な魔法がかかってます。 危険です)、って書かれた文字が出てきて」


 特殊な魔法がかかってます……? 俺にはそんな表示は出てきてはない。

 もし本当に危険ならば俺にも出てくるはずだが、ラリンの固有スキルで分かったのかもしれない。


「何だそれ……? 俺にはそんなの出てきてはない。 もしかしてラリンのスキルか何かなのか?」


 スキル―鑑定発動


 ラリン・アルバルク


 称号 剣聖の子孫


 HP―2000 MP―10586


 PWパワー608 SEスピード―2058


 スキル


 危険察知


 剣聖の子孫


 弓術LvMAX



 ラリンのステータスを鑑定すると危険察知という、スキルがあった。

 その他にも剣聖の子孫というスキルもあったがこれは今はいいだろう。


 今はこの危険察知の方が優先だ。


「危険察知っていうスキルがあった。 もしかしたらそれで分かったのかもしれない」


「危険察知……? 一代目剣聖が持ったとされているスキルが私に?」


 剣聖の子孫だから、一代目剣聖のスキルがラリンに受け継がれていてもおかしくはないことだ。


 だから、ラリンが称号を持っていることも辻褄が合う。


 だとしたら問題は……こんな危ない防具を渡してきたフィリルの方だ。


「子孫だから一部のスキルが受け継がれているのだろう。 しかし問題はそこじゃない。 フィリルが危険と認定される髪飾りをラリンに渡した事だ」


「もしかしたら、頭の回転が早くなる事が危ないと認識されたのかもしれません」


「そんなことありえるのか? そうだ俺の防具をつけてみてくれ」


「危険……。 カインさんがつけている魔法無効の防具も危険。 やっぱり何がおかしいです」


 どうやら俺がつけている魔法無効の防具も危険らしい。

 つまりフィリルが渡してくる防具は全て危険ということか……?


「何がどうなっているんだ……?」


「とりあえず帰ってから考えましょう」


「そうだな」


 冒険者ギルドに着き俺達は向かい合って話し合いを始めた。

ではまた。

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