表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/110

八十話 :おかえりなさい

 閉まっていた殻は開く。心地の良い温もりと共に。


「……今日はゲームオーバーみたいだ」


「ゲームオーバー? 何言ってるんや」


「あぁ、そうか。 時間切れみたいだ、またどこかで会おう」


 男は意味ありげな言葉を残すと、魂が抜け落ちたみたいにガクンと体制を崩す。地面にぶつかる手前で、倒れる体を支えたのは、精神世界へ行っていたラリンだった。


「おかえりなさい、カインさん」


「ただいま、皆」


 赤かった目はいつもの目に戻り、表情には安らぎが満ちてた。


「憑き物が落ちたようだね、カイン」


「肩が軽いから、落ちた感じはするね」


「こっちは肩が重たいわ、痛いわでヤバいで」


 ジンの口からは文句が飛出ているが、手はカインの肩に乗っかっていた。4人の体は、満身創痍なのはずなのに、笑い合い体を叩き合い冗談を言い合う。


「……あ、ドラゴニックさんー! 兄さんこっちですー!」


「オラクルか、ちょうど良かった回復魔法を頼む」


 タイミング良く、オラクルがやってきて回復魔法をかける。


「ドラゴニック、ボロボロだな」


「ディアンガ、大変だったんだぞ。 来れない理由があったんだろ? どうしたんだ」


「魔物の大群が、突如ナロスへ向かってきていると言われてな、そっちの処理をしていた」


「……なるほど。 まあ、いいや。 ギルドに帰ろう、疲れたよ」


「帰りましょうか、カインさん」


「ほら、帰るで〜。 よちよち、赤ちゃん」


「やめてくれ、ジン。 でも、悪かった」


「謝ることはない。 ただ、これからは悩みは打ち明けること」


「分かった」


「じゃ、このことは水に流しましょか」


 カインはこの3人に会えて良かった、と心の底から思う。悩みを打ち明けず、抱え込んで傷つけてしまったのに笑って許してくれる。


「……ありがとう」


 2人には聞こえない声。心の中で感謝を。

ではまた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ