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七十一話 :休息

 シャンネルは前の姿を取り戻したわけではなかったが、活気は取り戻していた。人が手を取り合い、啀み合うことなく笑いあっている。世界中がこうだったら、どんなに平和かと思う。


「次はどこに行こうかな」


 俺はこの光景を見ながら、そうぽつりと呟く。ここから俺たちの出る幕はない、今からここで活躍するのはここの人たちだ。


「どこに行きましょうか、1回休憩してもいいかもしれませんね。 疲れちゃいました」


「それもええかもしれんな、どうするカイン?」


 休むか。それもいいかもしれない。最近は休息と言う休息を取ってない気がする、無理したら体が壊れてしまうかもしれない。なら、いっそのこと。


「休もうか。 ナロスに帰ろう」


「帰りましょうか〜」


「よっしゃ、休みや〜」


 一時の休息をするために、住み慣れた国に帰ることにする。


 あ、そういえば連絡石になんか来てるかもしれない。ずっと見てないし、見てみよ。


「あっ、ラリン連絡石持ってる?」


「あ、はい持ってますよ。 どうぞ」


 ラリンから受け取った連絡石は、赤く光っていた。やっぱり、メッセージ来てたかあ。


 連絡石のメッセージを確認すると、会合がしたいからナロスへ一旦帰ってきてほしいという内容だった。


「ナロスへ一旦帰ってほしいって、ちょうどよかった」


「こんな偶然が起こるとな、もしかして何かが起こる前触れかもな」


「そんな、不吉なこと言うなよ」


「くんくん、匂います。 不吉な匂いが」


「ラリンまで……」


 ジンのおふざけがラリンまでに伝播し、鼻を犬のようにし不吉な匂いを嗅ぎ分ける。休息なのに、不吉なことが起きるなんて、最悪だよ。起こらないことを願うばかりだ。


「じゃ、このまま回れ右してナロスに向かおうか」


「そうですね、ここからは私たちの出る幕はありませんし」


「でも、歩いていくのは骨が折れるなあ。 長旅になりそうやな」


「それもまた一興だよ」


 踵を返し、国を後にしようとする。すると、復興作業をしていた1人の男性が俺たちに気付き話しかけて来る。額の汗が太陽に反射している。


「おい、あんたらこの国を救ってくれた人たちだろ? お礼がしたいから、ここで待っててくれ!」


 俺たちの返事も聞かずに、そそくさとどこかへ行ってしまった男性の背中を見ながら、その場に立ち尽くしていた。


「行っちまったな……待ってろと言われたから、待つけど」


 数分すると、男性は1人から10人に増えて帰ってきた。皆、腕に何かを抱えたり、ある人は馬を連れて来ていた。


「待たせな! 皆もお礼したいからっていうから連れてきたぞ、馬車の荷台に食料を詰んでる、旅の役にたててくれ」


「ありがとうございます。 みなさんも復興頑張ってくださいね」


「また復興したら遊びに来るわ、今度は客としてな」


「皆さん元気で〜!」


「じゃあな〜! 英雄さん!」


 俺たちは貰った馬車に乗り込み、ナロスへ向かう。英雄さんか、はは本当に英雄さんになっちゃった。


 ◇◇◇


「この力がアレバ、忌々しいアイツに復讐ができるぜ」

ではまた。

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