七話 :初クエスト?いやこれピクニックや!
ユニゾンを結成した次の日、俺達はパーティー発足して初めてのクエストに来ていた。
今回は、ラリンも初めてのクエスト参加となるわけだからなるべく危険が少なく尚且つ簡単なクエストにしておいた。
内容は薬草を摘んで納品。という本当に簡単なクエストだ。
「ふぅ……薬草もある程度摘んだし、帰るか!」
「あっ! 待って下さい! 私パーティーのミーン専属シェフとの事だったので、ミーン作ってきたので食べてから帰りませんか?」
さっきから、白いバスケットを持っているなと思ってたら俺の好物のミーンを作って来てくれてたのか。
「本当!? 食べよう食べよう」
適当な木陰を見つけ、木の根元に座り込みラリンが作って来てくれたミーンを食べる。
「うん!美味しい!」
ラリンが作るミーンは、お世辞抜きで俺が生きてきた中で一番美味しいと思う。十七年しか生きてねえけど。
「良かったです……ちゃんと作れたか心配だったので」
冷めているはずなのに、こんなにも美味しいなんて……。
箸が進み気付いたら、ほんとんど食べ尽くしていた。
「美味しかった……」
「喜んでくれて嬉しいです。 また作ってきますね!」
愛らしい笑顔を浮かべるラリンは、何処と無くしっぽを振る子犬に見えた。
よし、そろそろ帰るかと思い腰を上げると
「おや、少年じゃないか」
フィリルが薬草を持ち、こちらへ来ていた。
「フィリル! なんでここに?」
「ちょっと実験の材料集めにね。 そちらのお嬢さんは?」
ラリンの方を見ながら、聞く。
「あっ! 私ラリン・アルバルクって言います!」
「アルバルク? 君はもしかして一代目剣聖の子孫なのかい?」
「あっ、えっと。 そうです。 お先祖様ほど強くないですけど……」
照れくさそうに足を撫でながら、喋る。
「そうかい。 じゃあ私は実験があるからそろそろ行くよ」
「うん、また」
手を振り、フィリルと別れる。
「さっ、俺達も帰ってギルドにクエスト報告しに行こうか」
「そうですね」
摘んだ薬草を、竹かごに入れギルドへ持って行きクエスト報告をする。
「はい、薬草の納品確認しました。 クエスト成功です。 お疲れ様です」
こうやって何個かクエストをクリアしていけば、ラリンのランクも自ずと上がっていくだろう。
「ランク上がったら、なんか食べに行こうか。 お祝いも兼ねて」
「良いんですか?」
「良いとも。 俺達は同じ立場なんだろ? 遠慮することは無い」
「あ、そうですね。 ならお願いします」
頭を下げ、腰を折り会釈をする。
「頼まれた」
その後は、ラリンと別れ各々家路へと着いた。
あぁ、今日のクエストは楽しかったな。
薬草を摘んで、好物のミーンを木陰で涼みながら食べて……。
いや、待てよ。これクエストじゃなくてピクニックや!
ではまた。