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六十四話 :ブローディア

 ニタニタと薄気味悪い笑みを浮かべ、こちらへ槍の矛先を向けているブローディアと俺たちは対立する。飛ばされた、ジンは地面に倒れ伏せている。どうか、生きていてくれ。


「ほら、攻撃してきてください。 私はここから1歩も動きませんから」


 舐めた口調で2人を挑発し、その場から動かないと言うブローディア。どこまでも、2人を下に見て馬鹿にする。


 だけど、2人も挑発に乗るような性格はしてなかった。怒りと冷静の狭間を保ち、挑発を無視する。


「スキル発動! ウィザードリリィ!」


 その場から動かないのは何かタネがあると思い、遠方から攻撃ができる魔法を放つ。放たれた魔法はブローディアに直撃し、煙を作りだす。


「うん、弱いですね。 こんなの魔法と呼べませんよ、それに今弓矢を打っても、ほらこうやって掴めちゃう。 とことん弱いですね、貴方たち」


 魔法が直撃してもその場から1歩も動かずに、こちらを挑発してくる、ブローディアは不意打ちで打たれた、ラリンの弓矢さえも手で簡単に受け止める。


「弱くないで、2人は。 ていうか、急に飛ばすなや! 背中思いっきり強打したやんか!」


「おやおや、死んではないと思っていましたがこんなにも元気とは想定外ですね」


 頭から血を垂らしながらジンは飛ばされた方向からのそっと現れ、俺たちの肩をぽんと叩く。


「ジン! 良かった! 生きていて!」


「あんなんじゃ、死なんよ。 それより、3対1や。 気張れよ、こいつは強敵や」


「3対1ですか。 ん〜流石にキツイですね、動きましょうか」


 ジンも加わり3対1になり、ブローディアもその場から動くと言う。しかし、3人でようやく互角の強さになった、その事実はとてつもなくでかい障害となる。動かずともあの強さなのに、勝てるのか、弱気な思考が頭をよぎる。


 首を横に振り思考を飛ばし、目の前に立ち塞がる敵に意識を集中させる。


「スキル発動! レルタルチェーン!」


「こんなもので私の動きを止められるとでも?」


「止められるで、ワイのこの拳でな。 ラリン今や!」


「はい!」


 神魔法で動きを止め、破ろうとする瞬間を突き拳で追い打ちをかける。体のバランスが崩れた瞬間、ブローディアのこめかみを目掛け弓矢を放つ。これは、入った。そう思ったが、俺たちは、次の瞬間空を見ることになった。


「入ったと思いましたか? 甘いですよ」


「……ハアッハアッ」


 息が出来ない、苦しい。息を吸おうと口を開け空気を取り込もうとするが、上手く取り込めない。ヒュヒューと隙間風のような音だけがなる。3人とも同じ状態になり、ただ空を仰ぐことしか出来なかった。


「苦しいでしょう、トドメをさしてあげますよ」


「や、やめろ! やめろ!」


 槍を地面に転がる、ラリンに突き刺そうとする。地面を這い、助けようとするが体はゆうことを聞いてくれない。助けないとラリンは死ぬ。なのに、体は動かない。


 クソ、クソ、クソ。動けよ。動け、動け、動け!


 動かない自分を慰めるように、そよ風が肌を撫でる。派手を撫でるそよ風と共に、見慣れた姿が目の前に。


「大変そうだね、剣聖」


「……フィリル?」


「あぁ、私さ。 でも、話はあとにしようか。 まずはあそこの、老人を殺さないと」


「次から次へと、よく現れますね」


 ブローディアからは殺意が。フィリルからも殺意が。殺意と殺意が交差し、空気は重くなる。


 「黙れよ、三下が」


 「三下とはひど……」


 喋る暇も与えないスピードで、間合いを詰めブローディアの頭を地面にのめり込ませる。反撃をしようとするが、フィリルはその反撃すら簡単に弾き返し、一方的な攻防を繰り広げる。それは残虐性を感じた。


 ものの数十秒で、俺たちが苦戦していたブローディアは討たれた。


 「大丈夫かい? ラリン」


 「は、はい。 ありがとうございます」


 「アンタ、強いんやな。 助かったわ」


 「ありがとう、フィリル」


 「困った時はお互い様だろう? それにこの後君たちはフローラルに挑む気だね。 なら、これを持って行くといい」


 「これは?」


 フィリルは青白く光る玉を渡してくる。その玉からは、魔力を感じる。


 「この玉を割れば一時的だけど、カインのスキルを皆に渡せるようになる。 効果時間は10分と短いから、戦う前に使うんだよ 」


 「あんた恐ろしいもん作るな……」


 「褒め言葉をありがとうね。 それじゃ、頑張ってよ」


 「フィリルは来ないのか?」


 「僕は英雄にはなりたくないからね」


 「そうか。 なら、分かった、行ってくるよ」


 「健闘を祈るよ」


 俺たちはフィリルから、スキル共有の玉を貰いフローラルへ挑みに行く。


 ◇◇◇



 「危なかった、あそこで割って入らなかったら、覚醒してたところだった」

ではまた。

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