六話 :パーティー名
ラリンと会った次の日の街もまた賑わっており、街の脇には露店が立ち並んでおり、昨日はいなかった大道芸人達が芸を披露していた。
また賑わっているよ……二日も続けて賑わっているなんて、今日は何で盛り上がっているんだ?
外に出て、街の様子を見ると国の国旗が至る所に飾られており、今日が国家建国の日だと思い出した。
そうか……今日、国家建国の日だったか。
こんなに賑わっているなら、ラリンの露店もまた出ているかな?
昨日と同じ所に行くと、せっせとミーンを量産し売っているラリンが俺に気付き手を振ってくる。
「カインさん!」
可愛らしい笑顔で手を振ってくるラリンは、俺の心を綺麗に射止めてきた。
天使だ……ここに天使がいるよ。
こんな天使がパーティーメンバーだなんて、最高だよ……ありがとう神様。ありがとう女神様。
全ての人に感謝を。
「ラリン昨日ぶりだね。 俺にもミーンを一つくれないかな?」
「任せてください! 手によりをかけて作りますよ!」
普通に話していたが、俺の心は天使!と叫んでおり危ない人に成り下がっていた。
ラリンが手によりをかけて作ってくれたミーンを受け取り、あることを思い出す。
「あっ、俺達のパーティー名どうする?」
ミーンの専属シェフになってくれと言ったが、やっぱりパーティーを組むなら名前が欲しいよな。
例えば、ミーン大好きマン!とか。
いやこれは、ダサすぎるか。
「え、いや、私専属シェフなんでカインさんが決めていいですよ」
申し訳なさそうに、決めてくれというラリン。
「一緒のパーティー何だからさ、一緒に決めようよ」
「な、ならユニゾンとかどうでしょう? 同じ立場にずっと居ようっていう意味で」
同じ立場か……確かにどちらが上とかどちらが下とか、そんなのいらないしこの名前はいいかも。
「うん、いいね。 今日は忙しいだろうから明日一緒にパーティー登録しに行こうよ」
「あ、明日ですか?」
「もしかして、なんか用事とかあった?」
「い、いえ!」
「なら、明日この時間帯にこの場所で」
「はい!」
その後はラリンはミーンを量産し、俺は家に帰ろうと思ったが、昨日クエストを一個もしなかったため、二個ほどクエストを受け家に帰り、次の日に備えた。
一昨日、昨日の賑やかさは見る影もなく、街は静かに露店を広げていた。
あの賑やかさを二日続けて見てしまうと、何処か寂しさを覚えてしまう。
約束の場所へ行き、ラリンを待つ。
少しすると、純白で綺麗な服に身を包んだ天使が走って来た。
「お、遅れちゃいましたか……」
息を切らしながら、遅れたか聞いてくるラリンに
「いや、俺も今来たところ」
と返す。
こんな天使に、うん遅れたよ!なんて言えない。
「本当ですか?良かったです」
純粋な心を持ったラリンは、俺の言葉を直ぐに信じた。
こんなに純粋だと悪い奴に、騙されそうだな。
「さっ、行こう」
「行きましょう!」
本来の目的である、パーティー申請をしにギルドへ向かう。
「あの、パーティー申請をしたいんですけど」
「パーティー申請ですね、ではギルドカードを見せてください」
パーティー申請には、ギルドカード一枚だけで可能だ。
冒険者ということだけが、証明出来ればそれでいい。
「ど、どうしましょう。 カインさん……私冒険者登録してないです」
涙ながらに言ってくるラリンは、冒険者登録をしていないらしい。
「なら、今冒険者登録しちゃおうか」
「で、出来るんですか!?」
「はい、出来ますよ」
受付のお姉さんが出来ると言ってくれ、ラリンは嬉しそうに
「お願いします!」
と言い、名前と歳を聞かれ、ラリンのギルドカードが発行され、パーティー申請が通る。
「じゃあ、二人のパーティー名を教えてください」
「ユニゾンで!」
同時にパーティー名を言う。
「ユニゾンですね。 ではその石版の上にギルドカードを置いてください」
言われた通りに石版にギルドカードを置くと、ギルドカードにパーティー名と彫られユニゾンと書かれる。
「はい、これでパーティー登録完了です。 いいパーティー生活を」
「これで、俺達は仲間だ。 これからよろしくねラリン」
「はい!よろしくお願いします!」
ラリンと俺だけのたった二人だけのパーティーがここに誕生した。
◇
二代目剣聖が一代目剣聖の子孫に接触しました。
元魔王様の力が弱まります。
「ちっ……少年に先に見つけられたか」
ではまた。