四十話 :存在しないものたち。
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毎日同じことの繰り返し。今日も何も変わらずに、俺は森に潜っている。
この森は魔物がいなさすぎるため、チャロンの森は魔物の生息区域では無いのか、ということを聞くためギルドへ手紙を送った。
返事は、明日か明後日には返ってくるだろう。それにしても、俺たちの方はこれといった収穫をしていないが、トワイライトカオスの方はどうなのだろうか。
あちらの調査状況はこちらヘ何一つ伝わってきてない、もちろんそれはあちらもだろう。
いいや、今は他人より自分のことを優先しないと。
何も変わらない日々が三日過ぎ、ギルドから二つの荷物が送られてくる。
一つは手紙で、もう一つは少し重たく、厳重に梱包がなされていた。
封を開け、早速中身を確認する。
「カインさん。 最初に、国を移動する場合は必ず手紙を送ってください。 毎回色々探すの大変なんですよ? といってもカインさんは忘れそうなので、こちらを差し上げます。 ギルドからの支給品なので、大切に扱ってくださいね? もし、壊した場合は弁償してもらいます。 それと、赤く光ったら連絡が届いてる証拠なので定期的に確認してくださいね」
一緒に部屋で手紙の中身を確認していた、ラリンと手紙とは違う送り物の方を開けると、連絡石と書かれた石が出てくる。見た目は、そこら辺に転がっている石と、何ら変わりはない。
連絡石とは、クリン・アルバルクとアルリット・リアルが開発した魔具で、遠く離れている人とて手紙を挟まくても連絡が取れるというものなのだが、高価すぎて庶民には手が出せない代物だ。
大体10万リンベルといったところかな。そんな物をぽんと、送ってこられると少々困る。丁寧に扱いたいのだが、冒険者という職業上、危険な所や汚い場所にも当然行くので、何かの拍子で壊れてしまう可能性がある。
うん、こういう貴重品はラリンに預けるのが一番だ。俺みたいなやつが持ってたら、すぐに壊してしまいそうで怖い。
「ラリン、これを預ける」
「えぇ!? わ、私にですか? こんな高価物を持ち歩くなんて怖いです」
目を見開き驚いた表情を見せるラリン。やはり、みんな怖いか。俺も怖いもん、こんなものを持ち歩くなんて。
「でも、俺が持つと壊すかもしれないから」
「……確かにそうですね。 私が持ちましょう」
と言うと、ラリンは確かにそうですねと言い連絡石を受け取る。
いや、俺が言ったから何も悪くは無いんだけど、少し寂しいというか、何かが心にグサッと刺さった気がする。
「それと、チャロンの森なんて存在しません。 一体、カインさんたちは何処にいるんですか?」
「……え?」
手紙を読み進めていくと、チャロンの森は存在しないという恐ろしいことが書かれており、二人して頓狂な声を上げ手紙を凝視するが、そこには確かに書かれていた。
「……どういうことだと思いますか? カインさん」
「わ、分からない。 少し落ち着いて手紙をもうちょっとだけ読んでみよう」
ざわめく心を落ち着かせ、手紙の続きを読んでいく。
「カインさんたちがいる領地は確かにありますが、チャロンの森というのはこの世には存在しておりません。 それと、領主ドルゴスさんも数年前に亡くなっており、今は息子さんのガルドスさんが継いでいるはずですよ」
手紙の内容は、ますます恐ろしくなっていく一方だった。ドルゴスは数年前に亡くなっており、今は息子のガルドスという人が継いでいるらしいが、俺たちが出会ったのはドルゴスと名乗るヨボヨボのおじいちゃんだ。
ガルドスという人物には一回も、出会ってない。
「カインさん、ジンさんが危ないです。 今すぐ、ジンさんのところに行きましょう」
「あぁ、行こう。 館内を探せばすぐに見つかるはずだ。 ラリン、絶対に傍を離れないで」
「分かりました」
この手紙の内容が本当なのならば、監視をしているジンが危ない。今すぐ探しに行かなければ、命の保証もない。
敵が誰なのかも分からないこの状況下で、ラリンとはぐれて探すのは危険だと判断し、傍を離れないように言う。
もう、前のようにはならない。誰も殺させない。
◇◇
「おや、もう気付かれましたか。 思ったより早かっですね。 まあ、だからといってやることは変わりませんが」
ではまた。




