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三十七話 :監視一日目

 昨日のチャロンの森では、何も無かったと報告した。実際何も無かったし、嘘はついてない。


 俺達は、昨日からドルゴスの行動を見張ることにしたが、館の前の警備員や領民たちに行動を怪しまれたら、ドルゴスの耳に入り行動しずらなくなる可能性があった。

 そのため、ドルゴスを見張るのは元憲兵のジンに任せることになった。ジンは、憲兵時代に犯人の尾行などを専門にしていたらしく、その経験が今ここで生きるだろう。


「今日、一日ドルゴスを監視してたけど、ありゃ普通のおじいちゃん領主やったで。 でも、分からん。 普通を演じてるだけかもしれん。 人間簡単に普通なんて、演じれるからな、まだ用心が必要や」


 月明かりだけが部屋を照らすなかジンが、今日一日の監視報告を言ってくる。

 ジンの言う通りだ、人間なんて何千何通りの仮面を持っており、それを器用に付け替えし人に接していくものだ。本当の仮面を付け喋る人間など、極わずかだろう。普段、仮面を付けてるやつの本性を見るには一番になるしかない。

 なら、ジンにやってもらうべきことは一つに収束する。


「ジン、ドルゴスと仲良くなって本性を暴いてくれ」


「……わかった。 任せときや」


 ジンは、俺の言いたいことを察してくれる。全て言わずとも、分かってるで、という顔をしているが本当にわかっているかは定かではない。

 でも、信用は出来る。ジンは、仮面など被っていない。


「夜も遅いし、寝るか」


「せやな」


 ちなみに、ラリンはこの報告会には参加してない。しようとはしていたのだが、ジンの帰りが思ったより遅くなってしまったため、一足先に夢の中へ遊びに行ってしまったのだ。

 さっ、俺も寝よう。


 朝になり、ドルゴスがご飯にしようと部屋に訪ねてくる。俺とジンはいつも通りを装い、扉を開けると悔しそうにラリンが立っていた。


「うわっ! びっくりした、ラリンか」


「……報告会さんかできずにすみません」


 昨日の報告会に出なかったことを、申し訳なく思っているようだ。しかし、あれは仕方がないだろう。ジンが帰ってきたのは、みんなが普通寝ているような時間だったからな、寝てしまってもおかしくはない。


「気にしんときや、 ワイが帰って来るんが遅かったんやし、次出ればいい」


「……はい」


 小さい子供を撫でてるように、ジンはラリンと納得させる。


「よし、ご飯に行こう。 いつも通りにね」


 俺達は、普通という仮面を被りドルゴスが待つ食堂へと行く。

ではまた。

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