三十一話 :久しぶりの再会
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ドラゴン襲撃から次の日、町には被害は無く活気が戻っていた。
しかし、海岸は俺達が戦った後が少しだけ残り砂浜が抉れ、ドラゴンの落ちた跡がくっきりと残っていた。
「昨日が嘘みたいですね」
「確かにね、昨日の今日だというのに活気で溢れ返っているよ。 なんなら、もっと活気づいてるんじゃないか?」
「外の声凄いですもんね、後でちょっと行ってみませんか?」
「いいね、行こう」
朝食を海の宿で食べていると、昨日が嘘なんじゃないかと錯覚しまいそうな程、外からの喧騒が聞こえてくる。
でも、それが心地よく感じ母の腕の中で抱かれるようなそんな安心感を覚える。
「おお、英雄様! みんな英雄様が来たぞ!」
朝食を食べ、外の様子を見に行くと一人の露天商人が俺に気付き英雄様が来たぞ!と叫び町の人達が、集まり始める。
「カインさんー! 」
ラリンが人混みに流され、どんどんと遠のいていく。
「皆さん落ち着いて! はい一列並んで、握手はするから」
俺のその言葉で周り集まっていた人が、一列にきっちりと並び始める。
おお、俺はこんな影響力を獲得してしまったのか……。と心の中で少し優越感に浸る。
「カイン、なんやこの行列は」
「俺と握手する人達の列?」
ジンが、握手をしている俺と列を見ながら不思議そうに聞いてくる。
ラリンも町の人達が列に並び直してくれたおかげで、合流する事に成功した。
「なんやそれ、カイン達の調子を見に来たらこれかいな、元気なこっちゃな」
「本当だよ、君達は元気だね少年」
ジンと会話しつつ握手を続けていたら、聞き慣れた声が聞こえ、ジンの方から視線を外し前に移すと、フィリルが大荷物を抱え立っていた。
「フィリル! 久しぶりじゃないか、どうしてここに?」
「ちょっと武器を露天で売ろうと思ってね、そうしたら凄い行列があったから興味本位で並んだら少年と出会ったって訳だ」
「そうだったのか、じゃあその大荷物は武器?」
フィリルは武器を売りに来ていたらしく、たまたま行列に並んだら俺と出会ったって訳らしい。
フィリルはよく研究の副産物で武器を量産しているから、たんまりと溜まった副産物を売りに来たのだろう。俺もその副産物に助けられているし。
「フィリルと言ったか? ちゃんと露天許可書持ってるやろうな?」
「持ってるとも、ほら」
「ほな、商売していいで。 危ないもんは売ったらアカンで。 検閲されてると思うけどな」
フィリルがジンに、露天許可書と書かれ赤い判が押された紙を見せる。
これが無ければ露天で商売をしてはいけないらしい。
確かに、無許可でやれたら違法なものが出回り無法地帯と化してしまうからな。少しばかりの規制は仕方ないだろう。
「それで英雄様、防具ボロボロになってない?」
「フィリル、本当はどこから見てた?」
「最初からだね、囲まれてる所からラリンが流される所もバッチリ見てたよ」
英雄様……いや確かに言われて嬉しくない訳では無いが、そんなに言われたくもないな。
難しい塩梅だ。
「英雄様は置いておいて、防具は確かにボロボロになってる。 魔物の調査してたらやっぱりボロボロなっちゃう」
「そんなに少年に、テッテレー魔法無効化防具の新品」
「魔法無効化防具!? なんやその防具!」
ジンが魔法無効化防具と聞いた途端に驚き、首を百八十度回しフィリルを見る。
「名前の通りだよ、魔法無効化する防具。 でも、これはカインとかじゃないとダメだよ。 着てる時はMPが吸い取られるから、カインみたいにバケモノ並に多くないと成り立たない防具だ」
「なるほどなあ。 あ、それは売ったらアカンで、一応危ない物判定や」
「分かったよ。 元々カインに会えたら渡そうと思ってた物だからね」
防具も魔物を倒す時か、調査する時しか着ないためそのデメリットは無いに等しい。
フィリルから、防具を受け取る。
「あ、フィリルさんご飯一緒に食べましょう! ご飯!」
「ご飯か、明日でもいいかい? 今日は商売をしないといけない、この荷物も邪魔だからね」
「分かりました。 では、明日この大通りで会いましょう。 ジンさんも一緒にどうですか?」
「俺も? いやでも、ええんか?」
「私は構わないよ、少年も構わないだろう」
「勿論だよ、人数は多い方が楽しい」
「じゃあ、言葉に甘えて」
ナロス共和国を出る時に約束した、また次会った時にご飯をしようと言う約束をラリンが思い出し明日皆でご飯をする事になる。
「じゃ、握手も全員終わった事だし帰ろうか」
並んでいた人全員の握手が終わり宿へ帰る。
ではまた。




