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十六話 :サイレート王国

目がしばしばします。


Twitter(王室)にて、更新報告しております。

雷轟のような、作者ページからどうぞ。

「ここがサイレート王国! 俺達がいた、ナロス共和国とは比べ物にならいぐらいに広いな!」


「どこもかしこも、人でごった返してますね……。 露天の数も尋常じゃない程多いですし。 それにあのお城、凄くでっかいですね……」


 山を歩いていたら、サイレート王国行きの馬車が通って気前のいいお兄ちゃんたちが俺たちを乗せてくれた為、思ったよりサイレート王国へと早く着いた。サイレート王国の門には、門兵が槍を持ち一人一人検問をしていた。

 流石に、これ程大きな国だと検問も厳しいらしく荷物をチェックされている馬車もあった。

 俺らが乗っていた馬車は、旅人を乗せた馬車という事で特段怪しまれはしなかったがら門兵の鋭い眼光は、常にこちらを見ていた。門を潜ると、豪華絢爛に装飾され人で賑わった大通りが顔を表し、その奥により華やかに美しく装飾された城が面構え良く立っていた。


 俺達が住んでいた、ナロス共和国もまあまあでかいはずの国だったはずのだが、この国を見た後では、井の中の蛙だった事を痛烈に感じさせられる。


「王様が暮らしてる城だろうね。 いい所に住んでんなあ……。 って俺達がここに来た目的は叡智化した魔物の討伐と原因究明だ。 あまりにも広すぎるから目を奪われたぜ」


 あまりの国のデカさに心が奪われ、本来の目的をこの国の大通りに捨ててしまうところだった。ポイ捨てダメ絶対だからな。


「でも、どうしましょうか? 急に王様の元に行って、叡智化した魔物知りませんか! と言いに行ったとしたら間違いなく私達は、投獄されますし」


 こんな所まで来て、投獄なんてされたらたまったもんじゃない。

 しかし、どうすることも出来ないしブラブラでもしてみるか。運命的な出会いがあるかもしれないし、それに賭けよう。パンをくわえた少女とぶつかったりな。


「投獄はされたくないな。 うーん、取り敢えずブラブラ歩いてみるか。 案外どうにかなるかもしれないし」


「そうですね。 お腹も空いたのでこの大通りにある、ご飯屋さんでお腹を満たしましょうか」


「どこにしようかな〜」


「あっ、カインさん。 こことかどうです? サイレート王国名物のバナレ煮込が、食べられるらしいです」


「名物か……。 やっぱりその土地の名物をを食べるのが一番だよなあ。 よし、ここにしよう!」


 昼時というこもあり腹が減り、ラリンと飯を食べれる場所を探しているとサイレート王国の名物、バナレ煮込みという物が、食べれる店を見つけ入る事にした。やはり、冒険の醍醐味だろう。名物を食べることは。名物を食べないとその国に行った気になれない。


「あっ!? 餓鬼がでしゃばってんじゃねえぞ!」


 お店の扉を開けると、顔面凶器のハゲ頭が10歳位の少年に手を上げようとしていた為、振り下ろされる前に制止する。


「おっと、その手は駄目だよ。お兄さん? ラリン。 その子頼んだ」


「はい、了解しました」


「なんだテメェ!」


 案の定顔面凶器は、逆上しますますヒートアップする。頭に今すぐ、水と氷を被せて冷やしてやりたいところだがらそれをしたら水を沸かし氷も溶かす勢いで怒る事だろうから、やめておこう。


「飯を食べに来たのに、お前のせいで食えなくなった冒険者だよ」


「テメェが突っかかってきたのに、俺のせいってか!?」


 確かに俺が突っかかったけど、あの状況を易々と見逃すわけにはいかないよ。 何があったかは知らないが、手を挙げるのは良くない。お母さんに習わなかったのか?人様に手を挙げたらダメと。


「まあ、それも確かにそうなんだけど。 やっぱり、この状況を見逃す訳にはいかないからね」


「うるせえ! その餓鬼が俺の邪魔をしたんだ!」


「と言うと?」


「俺の飯にゴミが入ってたから、飯を取り替えろって言ってただけなのに、その餓鬼はお前が入れたんだろ!っていちゃもんをつけやがんだ!」


 ははぁーん。そういう感じね。自作自演だろお前それ。そんな見え見えな嘘ついても駄目だよ。と言いたいところだが、俺は当事者でもないしその現場を見ていた訳でもないから、下手な事は言えない。


「あっ、君」


「嘘をつくな! 私は見たのだぞ! この目でお前が床に落ちていたゴミを、自らの飯に入れる瞬間をな!」


 ラリンの傍を離れ、さっきの少年が顔面凶器に反論する。 強気に出るなあ、この子。どっちが本当なのだろうか?少年の方が信憑性は高いが、顔だけで判断するのはうーん。


「嘘をつくな! 俺は入れちゃいねえ!」


「ん〜どうしたもんかな。 どっちが正しいのか分からないしなあ……」


「私は嘘などついてなどいない! 王家の名にかけて言おう!」


「お、王家!? お前、王家の人間だったのか!?」


 少年の放った。たった二文字の言葉が男の動揺を酷く誘う。この言葉を聞いて、動揺しない人はいないだろう。実際俺もしている。

 顔は、スンとしているが内心は(えっ!? この子王家の子なの!? 嘘!)となっている。


「なんだ、知らなかったのか? 私は、第百二十代目王子 アザレア・バーベナだ」


「って言う事だけど、お兄さんどうする?」


「今、今日の所はこの辺にしておいてやるよ!」


 ダサい言葉を去り際にポイ捨てして行き、顔面凶器は、男はそそくさと店を後にする。ダサい言葉ポイ捨てダメ絶対。


「よし、いい子だ。 もう来るんじゃないぞ〜」


「にして、暴君から助けてくれた貴方よ、名はなんと申す?」


「俺の名前は、カイン・ローズベルト。 それとこちらが、同じパーティーメンバーの」


「ラリン・アルバルクです」


「そうか。 カインとラリンと申すのか。礼がしたい、城へ来てくれぬか?」


 名前を聞かれ自己紹介すると、礼がしたいから城へ来てくれと言われる。さっき見たあの城へだ。心の準備が出来てないが、この誘いは無下には出来ない。が、しかしこのまま行けば、調査の許可とかも取れるだろうから行くにことしよう。


「お城へですか?」


「あぁ、そうだ。 部屋も用意させよう」


「分かりました。 行きます」


「ふむ、では行こうか。 サイレート城へ」


 サイレート城には門が構えられており、門兵がアザレアに敬礼をしアザレアが手を下へと降ろすと、門兵は敬礼を辞め槍を真っ直ぐ持ち直し、警備の姿へと変わる。


 門から玄関ホールまでの、道のりはそこそこあり横にはデカすぎる庭園があり、メイドと執事が裁定をしていた。この城は、一から十までデカいらしい。玄関ホールへ行くと、階段を慌てた様子で白髪のスタイルのいい執事が降りてくる。


「お坊ちゃま! また身隠しのマントを着て、街へ行きましたな。 国王様あれほど、釘を刺されていたのに……。お坊ちゃま、後ろの御二方は?」


「私を暴君から助けてくれた方々だ。 この方達に部屋を用意してやってくれ。 ファンガ、二人は客人だから粗相はしないように」


「はっ。了解しました。部屋が御用意出来ましたら、お呼びしに行きますのでお待ち下さい。 それとお荷物はこちらでお預かり致します。 お部屋に置いておきますので、御安心を」



 なんか勝手に話しが進み、俺達の部屋を用意してくれることになった。

 それはそれで、有難いから良いのだけど。



「あ、ありがとうございます」


「それでは参ろうか。 カイン、ラリン」


「えっと……何処へ?」


 執事との、会話が終わり俺の方を向き直したアザレアは、参ろうと言うが何処へ行くのかと思っていたら、どうやらS級ランクの相手とのご対面をさせる気らしい。


「父上の元へだ。 礼の件もあるからな」


「急に、Sランク級とご対面か……」


 心の準備が出来ないまま、王室へと着いてしまう。横に居るラリンを見てみると、緊張のしすぎなのか分からないが凄い勢いで、揺れていた。それを見た俺は、少しだけ緊張が解れる。


「父上、失礼します」


「アザレアか。 入れ」


 アザレアが王室の扉をノックし、中に居る国王が中へ入るよう促し王室の中へ入る。王室の床は大理石で真ん中には、真紅に染ったカーペットが引かれており天井にはシャンデリアが飾られており、壁には歴代の国王の肖像画が飾られていた。肖像画の顔は、今の前にいる王様とそっくりだった。血縁強。


「父上、私の客人をお連れしました」


「客人……? この国では見た事ない顔だな」


 アザレアが俺達を紹介すると、国王は見ない顔だな、と言うがこの人は国民全員の顔を覚えているのか……?バケモンだ。


「暴君に絡まれていた私を助けてくださった、冒険者の、カインとラリンです」


「カイン・ローズベルトです」


「ラリン・アルバルクです」


「アザレア。 また街へ行ったのだな、その話はまた後でするとして。 息子を守ってくれてありがとう。 心から感謝を。 何か望むものは無いか?」


「えっと、なら。 叡智化した魔物の調査をしてもいいでしょうか?」


 望むものは一つだけ。 叡智化した魔物の調査許可だ。それ以外は特にいらないかな。リンガルにも困ってはないし。


「魔物の叡智化……。 それなら少しだけ耳に入っている。 最近、魔物が知能を付けていると聞いているが、それは本当らしいな。 お主らがここに居るのが、何よりの証拠だ。 その調査だけの許可で良いのか?」


 どうやら、この国までにも叡智化の情報は多少なりとも入ってきているらしい。風の噂でふらふらと流れてきたのだろう。


「十分です。 俺達の目的は、それなので」


「無欲だな。武器に困ったり防具に困ったら、ファンボ山の麓にある加工屋へ行くと良い。 腕のいい加工職人が居る。 こちらで話は通しておく」


「ありがとうございます」


「では、アザレアお前はここに残るように。 ファンガ、二人を部屋へ案内してくれ」


「了解しました。 では、お二人ともこちらへ」


 ファンガと共に、アザレアを残し王室を後にすると後ろから雷轟の様な声が聞こえアザレアが、しっぽりと怒られているのが分かった。


「御荷物は、お部屋に置いておりますので。 では、御夕飯の時にまたお呼びに来ますので。 ごゆっくり」


「はぁ……疲れた。 何はともあれ、調査が出来るようになったし良かった……」


 部屋のベットに横になり、安堵する。行き当たりばったりでこの国に来たが、縁があり城へと来る事が出来て魔物の調査の許可も取ることが出来た。


 何とかなるもんだな。人生って。

ではまた。

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