十一話 :魔物の凶暴化
神通力のスキル内容は省略しています。それとこちらで、勝手に内容を変えているところもあります。
Twitterにて、更新報告行っておりマッスルオリゴ糖。
「なんか、今日ギルドが賑やかだな。お祭りか?」
いつものように、ギルドの待合室で椅子に座っていると人がいつもの倍以上に、行ったり来たりをしていた。
特に今日は、祭りも特別な何かがある訳でもないのにどうしたんだ?
「いや、違うと思います。 皆さん顔を色を変えてドタバタしているので」
ラリンの言う通り、行き交うギルドの職員達は皆顔色を変え、忙しいそうに色々な書類や本を持ち会議室へバタバタと入って行っていた。
「何かあったのかな?」
「分かりませんが、確実に何かは起きてます」
「よし、聞きに行こう」
「そうですね」
いつも、クエストの受け付けをしてくれているお姉さんを見つけ、声をかける。
「ねえ、こんなにドタバタしてるけど、どうしたの?」
「カインさん! そうだ!カインさんの力なら何とかあるかもしれません、ちょっと来てください!」
「え、ちょ」
「あ、待ってください。 私も着いて行きます!」
受け付けのお姉さんに、腕を急に強く掴まれてそのまま会議室へと連れて行かれ、強面のおじさんたちが集まった会議室に入る。
怖……。え?ギルドの職員でこんな怖い人達見た事ない。上の人達かな?
もうちょい、皆さん顔を柔らかくしてニッコリしましょ?怖すぎますよ。
「皆さん!カインさんを連れて来ました」
「誰だそいつ?」
「ほら、あのベガウルフを討伐した時に、凄まじい力を見せた奴だよ」
「あぁ、噂のアイツか」
受け付けのお姉さんが俺を紹介すると、席に座っていた顔が怖くない若い二人ギルド職員が俺を見て、噂のアイツと言った。
俺噂になってるのか、いやあ嬉しい。
変な噂じゃなくて、良い方の噂だもんな。名誉だよ。
「それで、えっと俺は何をしたら?」
「あ、そうです!今魔物達が急に凶暴化し始めていて、各地に被害で出ているんです。 今、トワイライトカオスや色々な冒険者の皆さんに、凶暴化した魔物を討伐してもらっているのですが、人手が足りてなくて それをカインさんにも手伝って欲しいんです。 カインさんの力なら凶暴化した魔物達にも太刀打ち出来ると思うので」
どうやら、俺がここに引っ張られて連行された理由は魔物が凶暴化しているのが理由らしい。
魔物の凶暴化か……一体何が原因なのだろうか。ギルドの人達が顔色を変えていたのは、これがその理由って訳か。
なら、返事はOKだ。
「なるほど。 いいよ、任せて」
「本当ですか!」
討伐の依頼をOKすると本当に助かりますという、表情を浮かべ安堵したように見えた。
そんな顔をするほど人手が足りてなくて、魔物達が凶暴化しているってことか。
「本当、本当。 お易い御用」
「じゃあ、早速ですが、旅人の森にフレアドラゴンが出現したので、討伐してきてもらえませんか?」
「フレアドラゴンが旅人の森に?」
旅人の森は、初心者の森を超えた冒険者が行く森なのだが、そこにフレアドラゴン現れるとは。
本当に異常事態だ。
本来、フレアドラゴンとは火山の近くに住んでいる魔物でAランク級魔物と認定されており、旅人の森にいる魔物達はせいぜい高くてもCランク級だ。
そんな、フレアドラゴンが旅人の森に居座り続けたら生態系に影響が出てしまい、最悪生態系が崩壊するだろう。
「そうなんです。 フレアドラゴンはもっと奥地にいるはずなのですが、普段は出ない旅人の森に出現したんです」
「凶暴化の影響か」
「討伐した証はいらないので、討伐することだけを目的にしてください。 危険だと判断したらすぐに退避してください。 命最優先にお願いします」
二代目剣聖になったが、慢心は良くない。
慢心こそが、一番の敵だと死んだじいちゃんに教わったからな。
「了解。 任せて」
「はい、ではご健闘を祈っています。 行ってらっしゃいませ」
「よし、行こう。ラリン」
「はい!」
初心者の森を抜けて、草原に出る。
草原を真っ直ぐ歩いて行くと、吊り橋がかけられた谷が見えてくる。その橋を渡れば旅人の森だ。
太陽が燦々と差し込み、旅人の森を照らしており谷の底にある川は太陽の光を吸収し映えていた。
「旅人の森はここだな。 森にフレアドラゴンか……相性最悪だな」
「でも、どうやって見つけますか?」
「そうだな。 まだ使ったことの無い神通力を使ってみよう。 もしかしたら探知系の能力かもしれない」
ただ歩いて探すというのも手だが、初心者の森と違って旅人の森は広い。この暑さで歩いていたら倒れてしまう可能性がある。ここは使ったことの無い神通力が、探知系の可能性を祈り発動する。
スキル発動―神通力
スキル―神通力を発動します。
神通力を発動したことにより、スキルの解放条件を達成しました。新たしいスキルを獲得します。
神足通―自由自在に自分の思う姿で行き来出来ます。飛行、水面歩行、壁歩き、すり抜け。
天耳通―世界の声と音を聞き取れるようになり、聞き分ける。
他心痛―心を読む。
宿命通―自他の過去出来事や生活、前世を知れます。
なんだ……このスキル達は……。
色々と獲得しすぎだろ。神通力はこれらが固まって出来たスキルだったのか。
でも、フレアドラゴンを探すのに使えそうなスキルもあったな。
「カインさんどうしました? そんな面をくらった顔をして」
「あ、いや。 何でもない。 でも、フレアドラゴンは見つけれそうだ」
「本当ですか? よし、じゃあ早速見つけて討伐して帰りましょう」
「そうだな、 早く帰ってラリンのミーンを食べよう」
スキル発動―天耳通
スキル―天耳通を発動します。
貴方の耳に、世界の声が流れ込みます。
(水くれ!水! 枯れてしまう!)
(黄昏の混沌……いつな葬ってやる)
(今日いい天気ねえ)
(ギャャャォォン!)
(カインさん、苦しそう)
新しく手に入れたスキル天耳通を使うと、色々な声が耳に流れ込んで来る。莫大な量の声に耳が痛くなる。
聞こえた……近くからフレアドラゴンの鳴き声が。
色々な声に混じる、一つの異質な鳴き声を聞く。その声は近くからしフレアドラゴンが近くにいることを示す。
「耳が痛え……。 でも分かったぞ。 声がしたのはこっちだ」
「行きましょう!」
鳴き声がした方に向かうと、自我を失ったフレアドラゴンが尻尾を振り回し木々を倒していた。
このままじゃ、この森の木が全て刈り取られてしまう、早く討伐しないと。
「ビンゴ! 耳を痛めたかいがあったぜ」
「気をつけて下さい! ブレスを吐こうとしてます」
頭の中に、俺ではなくラリンを目掛けてブレスを撃つフレアドラゴンの姿が流れ込んで来る。
今日はちゃんと機能してくれたな、全てを見通す力!
急いで、ラリンに右に避けるように言う。
「ラリン!右に避けて!」
「分かりました!」
ブレスを避け、そのまま弓矢で目を潰すよう指示を出し左へ避けるように指示する。
「そのまま、弓矢で目を潰したら、左に避けて!」
「はい!」
「ギャャャォォンンン!」
目を潰された、フレアドラゴンは怒り狂いブレスを宙に吐く。
「よっと! 当たらんよ!スキル発動―神魔法の練達者! ウィザーリングギルティ! 」
ブレスを避け、脚に力を込め空へ飛び上がり、たまたま知っていた、神魔法のウィザーリングギルティを発動する。
ウィザーリングギルティを相殺するように、フレアドラゴンも最高火力のブレスをぶつけてくる。
流石に、Aランク級魔物の全力は強く力が拮抗する。
「ゴォォォォ!」
「ラリン! 残ってる片目を潰した瞬間後ろに飛んでくれ!」
拮抗を崩すために、残っている片目をラリンに潰してもらい一瞬の隙を作る。
「分かりました!」
「ギャャン!」
一瞬だけ、ブレスの力が弱まりその瞬間に最高火力をぶつける。
「今だ! うぉぉぉぉ!」
「ギャャ……ォォン……」
最高火力の、ウィザーリングギルティを食らったフレアドラゴンは地面に倒れ息を断つ。
「勝ちましたね……私達」
「勝ったね」
流石に、神魔法の最高火力を出したため疲れ地面に座り込む。
「それにしても、何でカインさんは攻撃が来るって分かってたんですか?」
ラリンが、攻撃が来る前に避けるように指示したことを不思議に思ったのか、何故攻撃が来ると分かったのかと首を傾げ、質問をしてきた。
「あぁ、スキルのおかげだよ。 俺の力じゃない」
全てを見通す力のおかげで分かっているだけで、俺の力ではない。
「そうなんですね」
「さっ、帰ろう」
「美味しいミーンを作りますね」
ラリンと共に、ギルドへ帰る。
あっ、神魔法の勉強しないとな……。今日はたまたま知っていた神魔法を、神魔法の練達者のおかげで発動出来たけどあれだけじゃ、太刀打ち出来ない魔物が出てくるかもしれない。
こう、神魔法の練達者っていうぐらいだから神魔法の呪文が、頭の中に勝手に流れ込んで来たら楽なのにな。
今日獲得したスキルは、いつか確認しよう。
あと、聖光魔法についても、勉強しないとな。
◇
「は꙲ぁ꙲は꙲ぁ꙲…꙲…꙲力꙲が꙲制꙲御꙲出꙲来꙲な꙲く꙲な꙲っ꙲て꙲き꙲た꙲…꙲…꙲す꙲ま꙲ね꙲え꙲な꙲後꙲輩꙲」
ではまた。




