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百六話: 死闘の予感

 特訓が終わった四人に、外に出た瞬間にどっと疲れが押し寄せてきた。遺跡内は疲れなしでなんでも出来たが、遺跡外の外でその分の疲れが押し寄せてきた。


 そのことを説明していなかった白髪の少年に殺意を抱くが、一瞬のうちで消えた。


 一人の村の男が焦った形相でこちらへ走ってくるのを確認した四人は、何かあったに違いないと自分たちからその人の方へ駆け寄る。


「どうしたんですか」


「は、ハウエル様! た、た、大変です!」


「落ち着いて下さい。大丈夫ですから」


 男は焦りすぎて言葉もまともに喋れてなかった。ハウエルは肩を擦りながら落ち着くよう促すと、男も少しは安心したのか普通に喋り始めた。


「魔物の大群がこの村に向かって一直線にやって来てるんです! 数は把握しきれてませんが、数百は超えるかと!」


「場所は?」


「村を出てすぐです!」


「今すぐ向かおう! 行くこう皆!」


「よっしゃ! 俺の初陣か!」


「私も魔法の制御できるようになったので前に出ますよ」


 四人は疲れも忘れて、魔物の迎撃に向かう。数百の魔物が来ていると怯える村のみんなを安心させるかのように、肩で風を切りながら歩く。


 その姿を見た村の人たちは、大丈夫かもしれないと心に安堵を抱く。


「……数百じゃないな。数千はいるな」


「厄介ですね」


「突撃するか? あの数に」


「私に任せてください。 魔法を撃って道を作ります、皆さんはその瞬間に飛び出してください」


 ラリンの指に水の球体が現れる。暴走はしていない、川の清流のように落ち着いており、攻め寄せる魔物に向かってぶつかる。


 魔物は突然の攻撃に戸惑い、道が出来る。カインたちは前に出る。三人の息の合った魔法攻撃は魔物の数を蹴散らす。


 どんどんと数を減らしていく。数千、数百、数十。数が減っていき、あともう一押しと言った時だった。後方から、ただものでは無い殺意と威圧感が感じる。


「……こんなにもやるとは想定外だ。 力試しだったが、ふむ、ここで殺しておくか」


「誰だ、お前」


「言う必要ないよ、今から死ぬんだし」


「……グゥ!」


 馬に乗り金色の甲冑を身にまとった騎士は、何者かと問うカインを蹴飛ばす。蹴飛ばされたカインは寸前でガードをしたが、衝撃は和らぐことはなかった。数メートル飛び、地面に体を打ちつける。


「カイン! お前、よくも!」


「無詠唱はできるのか。大したものだな、ネズミのくせに」


 隼人が無詠唱で隙をつき火球を放つが、いとも簡単に手で払われてしまった。隼人たちは確信した、赤子のように飛ばされたカイン、魔法を一振で消してしまう腕力。彼は只者ではないと。


「……死闘になりますね。 皆さん、気を引き締めましょう」


「死闘? 一方的な蹂躙の間違えだよ」

ではまた。

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