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百話 :語り継がれることのない歴史

 これはもう語り継がれることもない、二人の物語。


 純魔法族。生まれながらにして魔法を無詠唱で使え、安寧の日々を送っていた。


 剣聖・ガーディアン・テイルズも純魔法族の生まれだった。彼は幼少の頃から人一倍正義感に溢れ、困っている人を見つけては助けていた。


 そんな彼に欠点があるとしたならば、自分の身を簡単に削ることだった。泣いてる人間は笑わせ、困っている人間には手を差し伸べた。我が身より、他人を。


 ガーディアンには、幼なじみがいた。とても可愛らしく、優しい穏やかな性格の持ち主だった。二人は、将来を誓い合っていた。クリン・アルバルクと出会ったの17歳の頃。同じ年頃ということで、二人はすぐに意気投合しあった。


「お前も剣聖のスキルを持ってるのか!?」


「まさか、剣聖が二人いるなんてなあ。 驚きだわ、世界は広いなあ」


 互いに剣聖というスキルを持ってた。クリンは後天的に。ガーディアンは先天的に。


「お前、魔王を倒しに行ってるんだろ? 一人で倒せるのか?」


「望み薄だね」


 まだこの時、クリン・アルバルクは1人で旅をしていた。仲間を集めるために、ここへ訪れガーディアンを出会ったのだ。二人は出会うべくして、出会ったのかもしれない。


「なら、俺も同行するぜ。 お前の魔王討伐の旅にな」


「いいのか? 嫁さんもいるだろう?」


「もちろんだとも。 世界の平穏を脅かす奴がいると分かっているのに、行動しないなんて男じゃねえよ。それにアイツにはもう話はしてある」


 ガーディアンはクリンの仲間になることを直ぐに決めた。正義感の強い男が、魔王討伐の旅に同行しない方がおかしいってものだ。


「はは、思い立ったが吉日ってか。よろしくな、ガーディアン」


「おう、よろしくな! しっかし、仲間はあと二人か、一人は欲しいなあ。 賑やかな旅の方が、土産話も弾むってもんよ」


「そんじゃ、ぼちぼちと旅しながら仲間集めもして行こうか」


 森の石の上で、剣聖二人は仲間になった。川のせせらぎが、小鳥の声が森を揺らし祝福をする。


 後世に語り継がれることのない、二人の旅路はここから始まりを告げた。

ではまた。

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