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第七話 雑貨屋とらねこ②

「チャチャ」

「奥まで声響いてたよ。どうしたの?」

 声は聞こえたけれど、内容まではわからなかったらしい。

 猫耳美少女ーチャチャさん?は、僕をみるなり、びくっとチェチェさんの後ろに隠れる。

「に、人間!?」

「チャチャ、大丈夫大丈夫。この人はあのタテヤマ様だ!」

「え、ええ、英雄様!?」

 丸くなっていた目をさらに丸く見開いて、チャチャさんは僕をまじまじとみた。

 怖くないよー、の意味も込めてにっこり笑ってみせると、ぴゃっと体を震えさせたあと、ちょっとしてから、おずおずとチェチェさんの後ろから出てきて、頭を下げてくれた。

「す、すみません。人間がちょっと、怖くて…。あの、初めまして、チャチャです。雑貨屋とらねこへようこそいらっしゃいました」

「いやあ、こちらこそ驚かせてしまって」

「いえいえ、とんでもにゃいです私の方こそ」

「いやいや本当に」

「いえいえ、そんにゃ」

 そんなやりとりをしているうちに、コロさんは飽きて床に寝そべり、ドンさんは呆れて雑貨の物色へ移っていた。

「おいおいタテヤマ、さっさと目的のもの買わないと昼までに帰れないんじゃないか?」

「ああ、そうだった。チェチェさん、チャチャさん、便箋と封筒を探しているのですが」

 トカチにいわれて、はっとする。

 カウンターに置いてある時計は、あと1時間もすれば帰宅予定時刻になることを示していた。コロさんに走って貰えば5分もかからないとはいえ、コロさんの全速力はあんまり街中で披露して良いものではない。

「ああ、それでしたら。こちらです」

 チェチェさんが店の一角へにこやかに案内をしてくれた。

 並べられた便箋や封筒は、どれも可愛らしい。

 いいなあ、和むなぁ。

 僕は可愛いものも好きなのだ。

 ああでも、ハヤテじぃ様とアヤばぁ様の趣味を考えると、可愛いより綺麗系。あ、ちょっと和風?な、このあたりとかどうだろう。

 和紙っぽい雰囲気の、綺麗な便箋と封筒のセットを手に取る。

 うん、これは良い。

「あの、これをお願いします」

「はい、ではカウンターへどうぞ。精算いたしますね」

 チェチェさんはお手紙セットを受けとると、カウンターにあるレジにかざす。

 レジ、は日本にあるような感じのアレだ。どういう術式なのかは知らないけれど、あらかじめ商品と価格を登録しておくと、かざした商品の合計金額がでる、という魔道具らしい。割と流通しているようで、そこそこの規模の店なら大抵置いている。

 言われた金額を支払い、商品の入った袋をもらうと、買っていないはずの、小さな可愛らしい石鹸が入っていた。

「あの、これは?」

「初回サービスです。どうぞまたうちをご贔屓に、にゃんて意味も込めまして、皆さんにお渡ししているんですよ」

 チャチャさんがそう説明してくれる。

「なるほど。それでは遠慮無くいただきます」

「トカチ、英雄様連れてきてくれてありがとな!英雄様、またいらしてくださいね」

 チェチェさんがそう頬笑んでくれたので、ええ、ぜひ。と返す。

 雑貨屋さん、好きだしね!

 日本にいるときは、女々しいとか色々言われたけれど、ありがたいことにこちらの世界にはそういったものに対しての男女差というのはあまりないらしい。

 スローライフを送るにあたって、それはとてもありがたいことだ。

 トカチといっしょに店をでてから、ふと気になっていたことを聞いてみた。

「チャチャさん、会話の中の『な』が『にゃ』になってなかった?」

「ああ。あいつの一族の特徴の一つだな」

 なにそれ可愛い。ネコっぽい。

「あれ?でもチェチェさんは『にゃ』って言ってなかったよね?」

 僕の疑問にトカチが笑った。

「あいつ、『にゃ』って喋るのが恥ずかしいっつって、普段の会話のなかで『な』を使わないように喋ってるんだよ」

「なにそれ、かわいい」

読んでくださってありがとうございます!


自分で決めておいてなんですが、チャチャとチェチェって文字にすると見分けにくいですね、すみません^^;

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