ポーション作って売りました。
結果を先に言うと、超豊作だった、我が家(借家だけど)の山。
モンスターはそれほど住んでいないらしく、装飾品の素材になりそうなのはいなかったけれど、ポーションの材料は山ほど手に入った。
ほくほくしながら家に戻って、早速とりかかる。
本来ポーションは鍋で煮込んだり濾したりという作業がいるけれど、僕の場合、材料さえ適正であればそういう作業はすっ飛ばせる。鍋に材料を全部きっちり測って入れて、そしてイメージする。初級の回復ポーション。効能は、傷の修復、及び体力回復。
ぱあ、と鍋が光って、そして、薄ピンクの液体がたぷん、と鍋の中で揺れた。
「はい、出来上がり!よし、どんどん作ろう!」
「主さま、追加の計量は終わっております。」
「ありがとう、ドンさん!」
約束通り、ドンさんは人の姿でいろいろ手伝ってくれる。
基本はドラゴンの姿をしているのだけど、計量等の作業はやはり人の姿のほうがやりやすいそうだ。コロさんは、つまんなーい、といいながら、床でごろごろしている。
あとでいっぱいブラッシングするからちょっと待っててね。
そんな感じでサクサク作って瓶詰めして2時間くらい(瓶詰めって案外大変だった)。それぞれ100本ずつ、3種類のポーションが出来上がった。回復と、解毒と、魔力回復の初級ポーション。なんで全部初級なのかというと、それしか詳しい材料と効能を知らないから。途中から要らなくなったんだよね、ポーション系。
こっちで知り合った変人学者と作った火炎瓶みたいなポーションは材料が手に入らなかったのもあるけど、物騒すぎて売り物にはならないだろうし。
最初の瓶のお金だけはモーダさんに借りたので(瓶って案外安かった)それは差し引いてもそこそこの額になるといいなぁと思いつつ、次の日にとらねこに持っていくと、なかなかイイお値段で買い取ってもらえたので、結果大黒字となりました。やったね!
ただチェチェさん曰く、このままとらねこだけ専売で卸すことになると、いろいろ問題があるらしく、他の街の薬屋や雑貨屋何軒かに卸させてもらえるように話をつけてくれたらしい。
ありがたい。これでなんとか、キィさんクゥさんのお給与と、自分の小遣い分くらいは稼げそうだ。
この日から、薬草の採取、ポーションつくり、あと装飾品とかも作ったりしながらまったり過ごしているうちに、人質生活も2ヶ月が過ぎようとうとしていた。
***
「主さま?それは私の鱗では?」
ドンさんの衣替えのときに、一枚だけ残していた鱗で、自分用にネックレスを作っていたのだが、バレてしまった。
「ご、ごめん…。自分用ならいいかなって、加工しちゃった…。だって、あんまり綺麗だし、ドンさんの一部がずっと自分のそばにあるってなんか、こう、幸せだなぁって」
「あ、主さま…っ」
カァ、と人型ドンさんの頬が染まる。
あんまりにそのドンさんが可愛すぎて、コロさんにしがみついてぽふぽふしてたら、コロさんに『あるじ、やめてよね』ってまじ顔で怒られた。
それどころか、『ドンさんのいちぶとか、あるじ、ちょっときもちわるい』とまで言われた。ひどい。自分でもちょっと思ったけど、でも他人に指摘されると刺さる。ひどい。
話をそらそう。
「そうだ。ドンさんとコロさんにもなにか装飾品作りたいんだよね。なにか希望ある?」
工房のほうも落ち着いてきているので、そろそろ自分たちのものも作ろうと思って最初に作ったのがこのネックレスだった。鱗そのものが綺麗なので、加工はほとんどせずに、シンプルに金具をつけて皮紐通しただけのもの。
そのうち屋敷のみんなにもなにか作りたいけれど、やっぱり優先はドンさんとコロさんのぶんだ。
2人は、僕にとって特別に大切な存在だから。
『ボクうでわー!ここ(前脚)につけたらカッコイイやつ!』
「私は、人型の時につけられる髪飾りが欲しいですわ」
こういう提案をしたとき、2人は遠慮はしない。きちっと希望を伝えてくれる。
これが本当にありがたい。
人の国の騎士とか王様は察してくださいチラッチラッが割と多かった。
2ヶ月ほどここにいて思う。僕、人の国に対してあんまりいい印象もってなくない?と。
魔の国のほうがよっぽど落ち着いているし、税収だったり、御触れだったり、そういうものに無理がない。
人の国は、魔の国の占有地が多すぎて貧困が広まっているとそう主張していたし、実際
人の国のほうが土地は狭いんだけど、人口も少ない。痩せた土地も多いけど、それは、無理な取り立てや、補助金の無駄遣いからくるものだと、僕は思う。
人の国でもたくさんの人に助けてもらったから、人類皆悪!とかは思ってないけれど、少なくとも王や貴族はとりあえず仕事ができないタイプだと踏んでいる。
調べたことないからあれだけど、魔の国と人の国の戦争って、人の国から仕掛けたのが殆どじゃないかなぁ、とすら思っているくらいだ。
「了解。じゃあ、また街の市場に材料見繕いにいこうか」
そういって出かけようとすると、モーダさんがコンコン、と僕の部屋の扉をノックした。
読んでくださってありがとうございます!
これから徐々に話が進んでいく予定です。
よろしければお付き合いくださいませ^^




