第十三話 魔王様の許可がでた
「というわけなんですけど、魔王様、工房持ってもいいですか?」
「え、えー…うん、いや、いいんだけど」
魔王様に手紙を出したら、お城に招かれたので登上する。
僕の話を聞いた魔王様は苦笑いをしている。
「お金のことなら心配しなくていいんだよ?君、一応人質だからね?生活費とか気にされるとなんかこう、さぁ?」
「いやぁ、でも根が異世界人なもんで…。皆さまの血税を好き放題使うのはちょっと…」
「ニッポンジンだっけ?」
「ですです」
魔王様は苦笑いしたままだったけれど、最終的には許可してくれた。
ただ、屋敷の管理費と最低限の生活費、モーダさんティティさんの給与に関してはあくまで魔王様が出すという条件付きだったけれど。となると、僕が稼ぐのは、工房を維持するためのお金と、キィさんクゥさん
簡易な誓約書を作って、僕に渡してくれる。
「これで、一応商売の許可はおりたことになるから。あくどいことさえしなければ、好きに作ってくれていいよ。人の国への渡航は許可できないけど、この国のなかなら好きに動いてくれて構わない。どこにいても、僕は君のもとへ行くことができるから」
「ずっと監視されてるって思ってたほうがいいですか?」
「いいや?君の私生活を見てはいないよ。そんなのプライバシーの侵害だろう?ただ、一応モーダたちには君の行動の報告義務があるのと、人の国へ行こうとしたら結界に阻まれる、くらいのものさ」
緩くないか?と思ったけれど、魔王様がそういうなら、別にいいんだろう。
THE魔王な風貌の魔王様からプライバシーとか言われるととても違和感があるけれど。
いまさらだけど、この容姿であの口調で声はとってもダンディ(大◯明◯さんみたい)っていうのも、すごい違和感。いいんだけど。
「どんなもの作るかは決めてるの〜?」
魔王様は執事さんたちにお茶を持って来させたので、謁見の間で椅子だけ出してもらってお茶をいただく。
「ポーション何種類かと、あとは装飾品にしようかと思ってます。前の世界でもイヤリングとか作るの好きだったので」
「ああ、いいねえ。付与はつけるの?」
「魔法ではつけませんが、使う材料によっては付与付きのものができるかもです」
「なるほどねー」
ポーションはどっちにしろ魔力がいるから工房の力使うとして、装飾品はせっかくだし、できるだけ日本にいたときと同じ方法でつくろうかな、とおもっている。
とはいえ、石の加工とか銀の加工になると無理なので、その辺は臨機応変に。
魔王様に打診する前に、雑貨屋とらねこに商品を卸すことが可能か確認したら、『英雄タテヤマが作った』というだけで付加価値がつくから、そこそこいい値段で買ってもらえるとも言われたし。
自分の作品が「英雄作」という色眼鏡で見られることは割と抵抗があるのだけど、まずは稼げるようになることが先決だ。色眼鏡なしでも、これは良いと思ってもらえるものが作れるように、精進しないとな。
帰宅すると、僕宛にハヤブサ便が届いていた。
差出人は、ハヤテじぃ様。
「さすがハヤブサ便。速達より早い」
嬉しくなって、早速封を切ると、挨拶文よりもさきに『心配かけおって、このバカモンが!』という文言が目に飛び込んできた。
続いて、アヤばぁ様も心配していたこと。できるだけ早く魔の国に乗り込んで、僕の様子を見に来るということが書いてあった。
あれ、魔の国と人の国の国交ってまだちゃんと整備されてなくなかったっけ…?なにか方法があるんだろうか。
でも。
「ハヤテじぃ様とアヤばぁ様に会えるなら、それはとても楽しみだね。コロさん。ドンさん」
『うんうん!楽しみ楽しみ!』
『ええ、本当に』
手紙を丁寧に封筒に戻し、部屋に備え付けてあった机の引き出しに入れる。
さて。
「じゃ、許可も降りたことだし、早速素材狩りに行こうか」
僕たちは、1番近くのモンスターがでる場所、裏山へと向かった。
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魔王様の謁見まで、ドンさんの秘密から2日くらい経ってるイメージで書いています。
文章力が足りずすみません;




