彼女の変化と訪問者
あれ以来、要君や河本君と一緒にいる機会が増えてきた。そうなると自然と要君との距離が縮まってくるわけで。
小さい頃から一緒にいた割に、彼の事をよく分かっていなかった自分にとって毎日が発見だった。クールに装っているけれど本当はかなり熱いものを内に秘めていること。笑うと目元が優しくなること。甘い物がちょっと苦手で、私が作ったお菓子もかなり頑張って食べている事など、本当にたくさんの彼を知った。
そして、私を見つめる時その目がある種の熱を帯びていることにも気がついてしまった。
――――――どうして気がつかなかったんだろう。あんな目で見られていたなんて。
それに気がついてから、要君と目を合わせる事が出来なくなってしまった。彼と目が合うと顔が熱くなっていくのが分かる。きっと、真っ赤になってるに違いない。
「きぃちゃん。どうしたんだ?」
「なっ、何?」
「あいつに何かされたか?」
「ううん、そんな事ないよ!!」
「そうか。なら何でさけてるんだ? あれは私でも不憫に思う」
瑠璃ちゃんからの指摘に、さっと血の気が引く。彼女でも気づくのだ。あの要君が気づかないはずない。どうしよう、傷つけたかも。
「大丈夫よ~、綺羅」
「静音ちゃん」
「傷つくどころか、喜んでると思うし」
「げ、あいつはMか」
「そういう事じゃないわよ。何とも思われてなかったのが、一歩前進したのよ? 喜ぶでしょ?」
「そう言う事か。きぃちゃん、気にすることないぞ。好きなだけ、あいつを振りまわしてやれ」
「え? え? え?」
瑠璃がどうしてそういう風に締めくくるのかが、まったく綺羅は理解出来なかった。それでも、彼女達が大丈夫だと言ってくれる分、心が軽くなる。
「で、綺羅。呼び出しよ?」
「呼び出し?」
静音が指さした教室の出入り口の1つに見知らぬ女子生徒が立っていた。
「誰だろう?」
「さぁ? でも、彼女からは甘い香りがしたわ。バニラかしらね?」
「一緒に行くか?」
「大丈夫よ。綺羅以上に気弱そうだもの。る~が言ったら怯えて会話にならないわよ」
「とりあえず、話を聞いてくるよ」
「何か言われたらすぐに呼ぶんだぞ!!」
「ありがとう。でも、大丈夫」
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