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A love capriccio  作者:
40/67

予期せぬ訪問者<綺羅の章>

 「大分、顔色が良くなったな」

 「うん。もう大丈夫だよ」


 教室を出た2人は、下駄箱で靴を履き替えると校門へと足を向けた。要と2人で帰るのも嬉しいがこうやって瑠璃と一緒に他愛もない話をしながら帰る時間も綺羅にとっては大切な時間だ。


 「そう言えば、部活はいいの?」

 「あぁ、言っていなかったか。高等部からは部活はしないことにした」

 「どうして!! もったいないよ!」


 小さい大会から全国規模の大会まで、出場すれば優勝をさらう瑠璃は、武道の世界では有名だ。もちろん、高校でもそれを期待されているだろう。


 「別に私の場合、この怪力が特別科にいる理由であって競技でいるわけじゃないからな。それに道場の方の稽古もみなければならないし。その上、この春から習い事を幾つか始めるはめになった。正直、体が幾つあっても足らんのだ」

 「そっか。じゃあ、空手部や剣道部の人達はがっかりしたんじゃない?」

 「うーん、そうでもないぞ。元々、高等部に上がったら道場を優先すると公言していたからな。まぁ、時々は稽古に行くとは言ってある」

 「そうなんだ。そう言えば、習い事って?」

 「…………まぁ色々だ。茶やら花やら踊りだな」

 「あーっ、礼人さん関係か」

 「礼は、別に習わなくともいいと言ってくれているんだが。まぁ、最低限の基礎くらいはな。恥をかかせる訳にはいくまい」

 「大変なんだね、色々と」


 中3の時に出来た瑠璃の婚約者・榊原 礼人。日舞の家元の次男で、あの海原総合商社の秘書室勤務のエリート。顔も頭もパーフェクトな青年。

 確かに彼の実家の事とかを考えると、さっき瑠璃が上げた習い事は必要かもしれない。


 「まぁ、礼の両親は優しいし可愛がってくれる。だから、居心地はいいんだが。周囲の人間がなぁ。まぁ、英語を勉強しろと言われるよりましだがな」

 「でも、瑠璃ちゃん。英語は、書けないけどそこそこはしゃべれるじゃない」

 「だが、英語とイタリア語が混ざっているから普通は、通じない。通じるのは、祖父母くらいだ。まぁ、会話するとしたらその2人だけだから今のところ問題はない」


 そう言いきる瑠璃に、そんなものかなと納得してしまう綺羅だった。


 「何だ、あれは」

 「え?」


 瑠璃が指さすのは、校門前。そこには普通科の女子生徒達で黒山の人だかりが出来ている。一体、どうしたいうのだろうか。


 「何だろうね、あれ」

 「誰かいるのか?」


 立ち止りその集団を眺めているとその集団の中央から男の声が響いた。


 「綺羅!!」

 「え?………………何で」

 「知り合いか?」


 人波をかき分けるようにしてこちらに来る男を見た綺羅は、あまりの衝撃に言葉が出ない。居るはずのない人間がそこには居た。


 「ひかる?」

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