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A love capriccio  作者:
39/67

絶対味覚<綺羅の章>

 特別科の午後は、それぞれ個人の能力に合わせた授業となる。その為、綺羅達もそれぞれが使う実習教室へと向かう。


 綺羅が特別科にいる理由。それは、「絶対味覚」を持っているという事らしい。綺羅自身は、あまり自覚がないのだが周囲の人間から言わせるとそうらしい。


 とりあえず分かるのは、その料理に何が使われているか、何の調味料が使われているかぐらいだけれども。


 まぁ、食べてもその食材や調味料を知らなければ分からないという欠点もある。主に授業では、その点を補填するのがメインになっていた。


 (けっこう、きついんだよね。この授業。美味しいものならいいけど、そうじゃないのもあるからなぁ〜。今日は、何だろう…………)


 自分専用の調理室に着いた綺羅は、扉の前で深呼吸する。


 ――――どうか、変なものじゃありませんように!!





 「大丈夫か? きぃちゃん」

 「顔色が悪いわね」

 「保健室にでも行っとく?」


 午後の授業を終えてあとは、ホームルームだけという教室。その中央では、机に突っ伏した綺羅を囲む瑠璃達がいた。

 囲まれている本人は、少し顔を上げて微笑む。


 「だっ、大丈夫だよ。もう、帰るだけだし」

 「綺羅?」


 そこへ授業を終えた要がやってきた。途中で合流した圭太も一緒に。


 「おぉ、顔色わりーな。今日は、はずれか?」

 「圭太、こっちに来なさい」

 「…………はい」


 礼奈に呼ばれた圭太は、いそいそとそちらに向かう。そして、その直後瑠璃からの鉄拳制裁を受け床に倒れた。

 静音は、それを見てけらけらと笑っているようだ。


 「大丈夫か、綺羅」

 「うん。今回は、久々にひどかった。それにしても学園はどうやってあんな希少な食べ物を用意出来るんだろう…………」


 希少な食物と聞けば良く聞こえるが、実際の味は最悪だった。確かに元の味があれでは、調味料が強烈な味になるのは仕方ないのかもしれない。


 「帰りは、遅くなるが待ってるか?」

 「ううん、今日はさすがに帰るよ」

 「そうか…………チビ!!」

 「チビ、チビ言うな!!」

 「悪いが今日は、綺羅と一緒に帰ってくれ」


 床に沈めた圭太をつんつんとつついていた瑠璃は、要からのめずらしいお願いに笑って頷いた。


 「あぁ。まかせておけ! 何だったら家の車を呼ぶか? この時間ならじい様もいるだろうし」

 「ううん、歩いて帰れるから」

 「そうか? まぁ、倒れても私が担いで送って行くから問題ないぞ」

 「あっ、ありがとう」


 小柄な瑠璃が大柄な自分を担ぐ、いや引きずって歩く姿はきっと周囲の好奇の目を集めるだろう。


 (それだけは、さけなくちゃ)

絶対味覚は、造語らしい。

しかし、多分これが一番しっくりくるかなと思ってそのまま使いました。

一流のシェフの方々には、この能力がある人がいるらしいです。


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