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A love capriccio  作者:
35/67

小さな親友<綺羅の章>

 「きぃちゃん、おはよう!!」


 校門を通ったすぐの処で、後方から自分を呼ぶ元気な声が響いてきた。


 「おはよう、瑠璃ちゃん」


 振り向くと元気いっぱいに自分の元へ駆けてきた友人の姿がそこにあった。


 佐々木 瑠璃。彼女は、中学に入学してすぐに仲良くなった友人の一人。その小柄で可愛らしい姿とは裏腹に彼女は武道の達人でもあり、その名前は全国区だ。

 イタリア人の血を引く彼女は、薄茶色の髪に瑠璃色の瞳を持った美少女。その可愛らしい笑顔に朝から幸せを感じるのは、きっと自分だけじゃないと断言する。


 「めずらしいな、きぃちゃんが一人なんて」

 「要君は、生徒会に呼ばれているの」

 「あぁ、早速使われているのか。まぁ、次の選挙では生徒会入り確実だからな」


 瑠璃の反応に「そうだね」と相槌を打つ。


 要君こと萩野 要。彼は、一応彼氏です。自分みたいな人間には、もったいないほどの人。成績も優秀で容姿端麗。中等部の頃から生徒会で活躍する彼は、学園の女子生徒から絶大な人気。本当に平凡な容姿に平均以上の体型の自分がどうして彼女の座に収まっているのかは、今でも不思議だ。父親同士が仲が良く幼馴染ではあったけど。


 「…………きぃちゃん。また悪い癖が出ているぞ」

 「え?」


 瑠璃の言葉にはっと我に返り、彼女を見るとその可愛らしい顔が厳しい顔つきになっている。


 「きぃちゃんは、すぐにそうやって自分を卑下する。それは、悪い癖だ。自分を必要以上に貶める行為は、美しくないぞ。もっと、自信を持て!」

 「うん。ごめんね、瑠璃ちゃん」

 「そうやって自分の過ちを認めすぐに謝罪出来るのは、きぃちゃんの誰にも負けん美点だぞ。これは、簡単そうに見えて誰にでも出来るわけじゃないからな」

 「ありがとう。分かってはいるんだけど、この時期はね」

 「あぁ、すぐにいつも通りになるさ。馬鹿女共は、私が蹴散らしてやるから安心しろ」


 そう言ってニヤリと笑う瑠璃に心強さを感じると共にこれからしばらく起きるであろう騒ぎに憂鬱さを覚えるのだった。


 

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