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A love capriccio  作者:
30/67

Girl's Talk 2 <夏休み編>

 「こら! 静音! 自分の布団は自分で敷け! きぃちゃんにやらせるな!」

 「はい、は〜い」

 「手を動かせ!」


 カフェを後にした瑠璃一行は、静音の勢いに押される形で瑠璃の自宅に押し掛けた。瑠璃自身は、母親が断る事を期待していたが、それは無駄だった。

 「あら、いつものお泊りでしょ?」と返され撃沈した。確かに、行事の準備や何だで頻繁に合宿状態になるのでその言葉に反論出来なかったし、母親の意味深な笑みを見た瞬間、諦めた。


 「静音、るぅの言う通りよ。綺羅、あなたは自分の分だけ敷きなさい」

 「分かってるわよ」


 三人のやり取りを見ていた礼奈がついに静音に口を出す。すると、静音はプイっと顔を反らした後、綺羅が途中まで敷いた布団を自ら敷きだした。


 瑠璃達が今居るのは、瑠璃の家の敷地内にある道場部分。夏休みということもあり、普段なら稽古をする人間で溢れているのだが、数日前から師範である祖父が旅行に出てしまい、帰ってくるまでの間休みとなってしまったのだ。

 その為、静音達の滞在の最大の障害がなく、このお泊り会が開かれることとなったのである。


 「で? で? さっきの話ってどういう事?」

 「静音、下品だぞ」


 瑠璃が必死に抵抗するが、静音はにんまり笑う。その顔に、瑠璃は顔を引きつらせた。


 「ばっかねぇ〜、他人の恋愛話程楽しいものはないのよ!」


 そう楽しそうに断言する静音に礼奈と綺羅は顔を見合わせ苦笑する。しかし、静音を止めないことから、この二人も瑠璃の話に興味津津らしい。ここには、自分の味方がいないのを察した瑠璃は、観念し口を開いた。


 「あれは、中等部一年の文化祭前のことだ。あの時、クラスで眠り姫の劇をすることになっただろう?」

 「あぁ、でも結局るーは出てないわよね? それに要が嫌がって結局駄菓子屋やった気がするけど」

 「うん、その代わり瑠璃ちゃんが眠り姫の衣装で呼び込みをやったはず」

 「確か、要も気にしてたわね。この間の騒ぎの時にやたら気にしていたわ」


 三人の視線を感じ、瑠璃は、少し顔を俯かせながらボソボソと話を続ける。


 「あの時も泊まり込みをして練習しただろう? 私の台詞覚えの悪さと要の絶望的な棒読みに危機感を覚えたクラスメイト達から礼奈が頼まれて」

 「そうだったかしら?」

 「覚えてないのか!? あれが全ての元凶だぞ!!」

 「そんな事を言われても困ってしまうわ。本当に覚えてないもの」

 「あー、あったかもね〜。観てる分には楽しかったけど、一応文化祭の出来も評価に入るから。他の子達が必死だった気がする」

 「瑠璃ちゃんや要君も努力してたみたいだけどね。……………あれは、ひどかった」

 「始めから綺羅を相手役にしてりゃあ、喜んで王子をやったでしょうに」

 「そうね。でもあの頃は、クラスメイト達も要がどんな人間か分からなかったし、しょうがないんじゃないかしら」

 「礼奈達がやれば良かったんだ」

 「あのお馬鹿さんに台詞が覚えられると思う? るぅと違って後半は王子の独壇場なのよ」


 自分とどっこいどっこいの頭の圭太を思い出し、それもそうかと納得する。


 「で? 何があったのかな?」


 瑠璃は、あの日の出来事を語りだした。当時の自分にとっては、忌まわしき思い出を。



 

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