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A love capriccio  作者:
28/67

閉幕<瑠璃の章>

 ―――― 一方、瑠璃を探していた面々はというと…………。


 「聞こえねぇ〜」

 「ねぇ、止めたほうがいいよ! 瑠璃ちゃん、怒るよ」

 「馬鹿ねぇ、綺羅。こんなおもしろい物ないわよ」

 「そうだよ。これほどおもしろい見世物はねぇって」

 「馬鹿だな、こいつら」

 「本当、どうしようもないわね」


 彼等は、屋上の扉の影に身を潜め2人の話を盗み聞きしていた。その内訳は、聞こえてくる声を楽しそうに聞く人間2名、それを止める1名。そして、その姿を傍観する人間2名。


 「結局は、こうなる訳か」

 「まぁ、綺羅の話を聞く限りは、落ち着くところに落ち着いていいんじゃないかしら」

 「確かに、あのじゃじゃ馬にはあれくらいがちょうどいいだろう。それにしても…………」

 「それにしても?」

 「結局、何であいつが男を避けていたのかが分からなかったな」

 「あら、めずらしいのね。要が綺羅以外に興味を持つなんて」


 めずらしい物を見たと言わんばかりの礼奈の反応に要は肩をすくめる。


 「どう考えても俺があの人に睨まれた原因は、チビしかいないからな。さすがに、それくらいは気になるさ。お前こそ、さっきまで絶対に婚約を阻止すると息まいてたじゃないか」

 「瑠璃の意志が無視されるようだったら、断固阻止したわ。けど、本人がそれでいいと認めたならそれでいいわ。まぁ、残った手札はその内有効に使うけど」


 礼奈の意味深な台詞と笑みに微妙な表情を要は、浮かべた。そして、その手札の餌食になるであろう担任の顔を思い出す。まぁ、自業自得としか言いようがない。

 学生時代の賭けの負けを無理矢理清算させられた哀れな担任。そして、あっさりその不正を見抜かれ更に弱みを握られる、無様だ。


 「…………お前達。何をやっている」


 突然聞こえてきた声に、要と礼奈はそちらに視線をやる。するとそこには、静音の首ねっこをつかみ、圭を足で踏みつける瑠璃の姿があった。その横では、綺羅がオロオロとしている。


 「盗み聞きをしていたのは、その2人だ。俺と綺羅は関係ない」

 「私も関係ないわ。ここに来たらすでにその2人がね」

 「そうか。なら、この馬鹿をボコボコにしたところで問題はないな」

 「お好きにどうぞ。ただ、静音は見逃してちょうだい。代わりの罰なら与えておくから」


 礼奈の提案に瑠璃は、静音を離す。その代わりに圭の腕を掴みそのまま引きずって行く。


 「ちょ、瑠璃? え? 礼奈さん…………」

 「許可が出たからな。これからみっちり武道場で稽古をつけてやる」

 「え? 勘弁してくれ〜」


 圭の懇願も瑠璃の耳には届かず、結局ボロボロになるまで強制稽古となった。


 こうして、瑠璃の結婚騒動は一応の幕が降りた。しかし、彼らに再びの騒動が起こるのは夏休み明けすぐのことだった。

 


 

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