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A love capriccio  作者:
27/67

勝敗<瑠璃の章>

 瑠璃は、礼人の肩を軽く叩き、少し腕の力を緩めさせる。そして、自分達が登ってきた梯子の方向に視線を巡らせた。

 

 そんな彼女の行動を不思議そうに見ていた礼人だったが、その視線の先を見て何となく事態がのみこめた。

 とりあえず、どうするかは瑠璃に任せることにする。そんな礼人の反応を満足げに見て頷いた瑠璃は、笑いながら言った。

 

 「そうだ! 賭けの件なんだが。見事に私の負けだ。だから、約束通り嫁になってやる!」

 「え?」

 「え、じゃないだろう。自分が言い出したんだろうが」

 「そうですけど。いいんですか?」

 「あぁ。いいぞ。ただ、いくつか条件はあるがな」

 「条件ですか?」

 「私は嫁になると言ったがそれは無理だ。後継ぎがいなくなるからな。だから、お前が婿に来い!」

 「いいですよ。というか最初からそうするつもりでしたが。私はとうに踊りの世界からは身を引いてますし、次男ですからね」

 「よし! …………ここからはやつらに聞かせる気はないから耳を貸せ」


 瑠璃は、耳元に口を寄せるとそっと礼人にささやいた。そして、「またな」と明るく手を振って駆け去って行く、その頬を紅く染めながら。


 「ふふっ、やっぱり私は貴女に勝てませんね」


 1人残された礼人は、嬉しそうに笑うと空を見上げた。




 瑠璃が礼人に囁いた言葉。色気も何もない言葉。それでも、偽るということを嫌う彼女からの真実の言葉に満足する礼人。


 ―――――どうやら、私はお前が好きらしい。初恋というやつだな。ありがたく思えよ。私の最初で最後の思い人になれるんだから。


 「これからが楽しみですね」


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