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第1話 邪龍失滅


────西暦3097年・現在


一人の少女が制服姿で小型のリムジンに乗り、登校していた。

この少女の名は射手灘莉々(いてなだりり)

約900年前に創設された異能学園高天原に通っており、今年から高校2年生になる少女だ。

この少女の苗字に射手とあるのは、クロノス神の一子たるケイローンの血を引くギリシャ人と日本にある灘財閥の令嬢が結婚し、そこから射手灘ときて、今では射手灘財閥と呼ばれている所のご令嬢なのだ。


「行ってらっしゃいませ。お嬢様。」

「ありがとセバス。んん〜お、いた!」


莉々は運転手兼執事であるイギリス出身のセバスタンに礼を言いつつある少女を探し、見つけたので駆け出す。


「お〜い、陽〜!」

「……ん?ぉう……my heart of sister LiLi!……会いたかったぞ〜!」


校門前に立っていた無口無表情な水色の短髪を持つ莉々より小柄な少女に声を掛けながら行く莉々。

小柄な少女の名は獅子轟陽(ししごうみなみ)

ミュケナイ王家のれっきとした分家で、彼の大英雄ヘラクレスがヘラによって殺ってしまったはずの子の1人が過去に日本まで何とか逃げ切り、そこから栄えた一族。ヘラクレス最初の偉業たる獅子退治から獅子の名を用いているとか。

陽はそんな莉々を視界に捉え、何故か英語で”我が心の姉妹よ”的な事を告げて先程の無口無表情が嘘であるかのように


(●´▽`●)にぱー☆


と周りの人を癒す笑顔を見せながら莉々に駆け寄り、両者の中間地点で両者はハグをする。

……それを見ていた周りの人はそのハグが段々と百合百合しくなってきたので顔を逸らし始めた。


「ふぅ〜、陽ちゃんおはよ!」

「ハァ…ハァ…うん、莉々ちゃんもおはよ!」


頬を上気させて両者が火照りながらおはようの挨拶。

ハグがあまりにも百合百合しかったのか、周りの人は鼻血ブーで気絶している人が数多いたとか…

……後にBから始まる薄い本とは別の意味の薄い本が広まるがそれは別の機会で。


閑話休題


2人がハグしていた訳は両者共に2年生に進級するからだ。春休み中はお家行事のせいで会えず、この始業式の日に再開したのだ。


「いやぁ〜、この春休みずっと退屈だったよ〜。陽ちゃんにも会えなかったし〜」

「……私も会いたかったぞ。……形式的なものばかりで息苦しいっての。…………でも、それは昨日まで。……今日からはまた毎日莉々ちゃんと会える!」

「お、嬉しいこと言ってくれるではないか〜このこの〜」

「…………んぁっ……あんっ……恥ずかしいよ〜」


莉々が陽の発言に嬉しがり、陽の寂しい胸を揉む。それに感じちゃう陽。それを見ていた周りの人は鼻血ブーで倒れる。

なんということでしょう、アスファルトの一面が赤く染ったではないか。

その事に一切気づかない2人は天然なのかただ無視しているだけなのか…本人達にしか分からないことである

2人は惨状を見ることなく校舎に入っていった。


………………放課後にあのようなものに合うとは未だ誰も知らない。


────────────────────


「いやぁ〜、龍崎のヤツほんとにウザいよねぇ〜。陽ちゃん拒んでるのにいっつも付きまとうんだから。」

「……ん、でも莉々ちゃんが守ってくれるから心配ない。」


始業式も済み、放課後となったこの時間。2人は中学の頃から陽を付きまとうストーカー予備軍の男に飽き飽きしていた。

龍崎多頭(りゅうざきたとう)

りゅう座の星座を関する一族で、何かと陽に付き纏ってくるのだ。


「あ゛ぁ゛〜思い出すだけで腹が立つ!陽ちゃん、デパートで散歩しよ!!」

「……ん、憂さ晴らしにゲーセンでパンチ。」


思い立ったが吉日、2人は護衛も無しに新宿区(・・・)のゲームセンターに向かった。


ここで補足しておくと、彼女たちは異能(スキル)を持って尚且つ実戦をしていても、前線たる渋谷区(・・・)には1度も行ったことがない。

………………故に、実戦で相対した低級の魔獣以外は深く知らない。今年の授業で深く知るものなのだ。魔獣については。


彼女たちはそんなことを気にせず新宿区のデパートを回ったり、ゲーセンで大いに楽しんだ。途中ナンパにかかったが、男子の象徴を確実に潰しておいたので追っては来なかった。


「陽ちゃんは凄いよねぇ〜、パンチングマシンで世界記録達成するとかw」

「…………ヘラクレスの影響だと思う。あ、そろそろ帰らないと門限に間に合わなくなる。」

「ムムっ、門限忘れてた〜。今ならまだ間に合うはず!行こっか!」


ゲーセンで陽が世界記録達成した後、時計を見て門限まで時間がギリギリあるかないかくらいになっていたので、2人は店外に出た。そのまま駅のホームに向かっていたら、それは起こった。


────ゥグルルルゥワァァァァァァァァ!!!!!!!!


耳を塞いでしまう程の大きな咆哮が渋谷区(・・・)から響き、新宿区にある建物の窓が多数割れてしまう。

彼女たちは勿論、他にもいた人達は今のがなんなのか分からず、呆然としてしまう。


───避難警報、特SSS級魔獣の出現を確認。一般人並びにCクラス魔導師は直ちに避難してください。

BクラスからSクラスの魔導師は一般人並びにCクラス魔導師の避難指示を。

SSクラス魔導師は至急出現地点の渋谷区(・・・)手前の新宿区に対魔武装を持って集合してください。

繰り返します─────


「ぅえぅっ!?逃げなきゃ!」

「……ん、でも…………」


周りが理解出来ず呆然としたままな中、莉々は逃げるように呼び掛けるが、陽が渋った。

それを疑問に持ち、莉々は陽を見るが、陽はあらぬ方向を向いていたため、そちらを向く。


「えっ……………………ドラ…………ゴン……」


そう、陽が渋ったのは、もう逃げられないからである。

莉々と陽を含めたこの場にいる人達の目にはこちらを向く(・・・・・・)毒々しい色合いをした1匹の巨龍がいたのだ。


───グルルゥゥゥ


呼吸をしているのか聞こえる巨龍の声。それを聞いた人々の行動は1つ。


「に、逃げろおぉォォォォォォォォ!!!!」


──わァァァァァァ!!!!


逃走だ。その行動で巨龍は戦う猛者から、喰らう餌と認識して分速100kmの速さでひとっ飛び。

その風圧に人々は飛ばされ、尻餅をつき、立ち止まる。

そして、いの一番に逃げ出した男達……象徴を潰されたナンパ共数人をひと口で喰らう。


─ゴリゴリッグチュグチュッ


と、生々しいものをまざまざと見せつけられ、恐怖のあまりに立ち止まる。中には失禁したギャルすらいる。

巨龍は()を食い終わったのか、次に狙いを付けたのは逃げ出さなかった少女2人。

莉々と陽である。


「っ!!!!おいアンタら逃げろ!!!!」


完全に固まっている少女2人が狙いだと気づいた黒服の男が呼びかけるも無反応。

巨龍は分速200kmで飛びかかる。


「───っあれ?えっ…………いつの間に……」

「…………不味い!」


どうやら、今までの現実をひっくり返されたことでフリーズしていたようで、たった今復活。その時は既に巨龍が目の前におり………………


─────ゥギャアァァァァァァ!?!?!?


快晴なのに落雷が落ちてきて、巨龍は地面に打ち付けられた。快晴なのに。

誰もが呆気なく終わったことに目を点にした。


「ったく、帰って早々龍退治とはめんどくせぇ。」


この一言に周りは反応し、声の主を探す。何処かの高台から撃ち落としたのか?と高いところをキョロキョロと見渡すがいない。


「あっ…………えっと…………」


しかし、莉々と陽は見つけた。そして、反応に困るのも無理はない。

なんせ、目の前の巨龍の真上にいる。

何故上にいる?そこには落雷が落ちたはずだが?

莉々の声に反応してそちらを向いて巨龍の真上にいる少女?に気づき、各々が反応する。


「……そんな……ばなな……人が……落雷の速度で動くなんて…………そんなんじゃあ溶けてしまう!」


──えぇぇぇぇぇ!?!?!?


唯一認識出来た陽の言葉に周りの人は驚愕。しかし、それしかあの巨龍に近づくことは出来ない。

周りが驚愕で固まっている中、少女?は巨龍から降りると、巨龍を足蹴にする。

それをビクビクと見つめる莉々と陽、周りの人々。

その途端、巨龍が飛び上がり、空中に飛び出る。

全員が恐怖した。落雷(人)では巨龍を殺れないのか。

そう思っていたら、徐に手を巨龍にかざす少女?


「これで留めだ。終天・雷霆霧獄(ディストピア)


巨龍を中心に黒いプラズマが発生し、次元が歪み、小さな穴が開く。

その穴はブラックホールの如き勢いで巨龍を吸い込み、無理やり巨龍を吸い込んでいるのか、バキゴリと骨が砕ける音やグジュルという肉がごちゃ混ぜになる音が響き、やがて、巨龍は完全に飲み込まれた。

ちなみに顔から吸い込まれたため悲鳴は上げれなかった。


「ったく、なんで魔導師共は来ねぇんだよ。お陰で片付けまでする羽目になったじゃねぇか。っと、野次馬共!とっとと帰んな。新宿区は渋谷区の隣だ。禁止指定区域外で1番被害が大きい。この辺うろつきたくば邪龍を軽く潰せるくらいにしてから来い。んじゃ元気にやれよ?」


少女?は何か愚痴ったあと、巨龍……否、邪龍に襲われていた者に勧告をして、1つの落雷と共に姿を消した。


「……まさか…………あの人は…………」

「うへぇ…一撃であんなの消せるんだぁ〜」


陽は何かに気づいたのか、逡巡し、莉々は驚嘆していた。

その直後に両者に電話がかかり、門限をすぎてたが故に折檻された。

さらに数分後には魔導師が到着し、事態の収集に取り掛かった。


「「…………また、会えるかな?」」


莉々と陽が自宅のベットで同じ事を言ったのはご愛嬌。

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