第6話○人類は所詮欲望に満ち溢れている化け物
その話を聞き終えた後、ふと一つの疑問が浮かび上がった。
「なぁコノハ、その話が本当だとしたら、何故仙人は仙命石を手に入れる必要があるんだ?
話を聞く限り、平和な話だったと思うんだが…」
「ねぇ、私たち人類は仙人、天空人関係なく欲望に満ち溢れた、強欲の塊なの」
「えーっと、どういう事だ?」
「空雲都市を築き上げた最初の天空人は、本来争っていた領土と食糧の問題が解決したから、一見平和な世界を築いていくのかと思われた。
しかし、彼らは所詮欲望に満ち溢れている化け物
人々は生活が安定すると、次は高い地位が欲しくなった。
つまり、仙人になろうとしたの。
仙人になろうとした彼らは、長く遠い雲を何十日間もかけて渡り切って、最初の仙人を殺そうとした。
そう、あの誠実な男を。
彼らはナイフで仙人の胸を突き刺し、腕と足をバキバキに折った。
何回も、何回も、何回も・・・
あぁ、狂気に満ち溢れた人類は実に怖いものね。
醜い行為がすんだあと、ここまで残虐な暴力を受けた仙人は流石に死んだだろうと彼らは思ったの。
でも、驚くことに仙人は無傷だったの。なんでか分かる?」
「もしかして、不老不死だったから?」
「正解。そこで醜い彼らは蓬莱山の何処かにその仙人を閉じ込めた
と言われてるの。
当時、仙人が使える仙術といったら、雨を降らせることや不老不死くらいで人を傷つけるような術はなかったから、仙人は抵抗など出来なかった。
この事から、今の仙人の先祖を辿ると最初の仙人を閉じ込めた化け物に辿りつき、今ある膨大な仙術は、その化け物によって創られたものであるとされているの。
そして今、化け物の血を受け継いだ者達がある恐ろしい企てを試みている。詳しい内容は分からないけど、大量の仙命石が必要だって聞いたわ」
大量の仙命石……叶人は妙にその言葉に引っ掛かった。何処かで考えたことがあるような、無いような。
頭を猛スピードでフル回転させ、必死に記憶を呼び起こす。
「どうしたの?そんな難しい顔して。ひょっとして、話、長くて飽きちゃった?」
「そうだ、思い出した。コノハ、 去年開催された仙人大会って知ってるか?」
「えぇ、勿論知ってるわ」
「じゃあ質問するぞ。その大会では、大勢の天空人が亡くなったんだが、不思議なことに皆、仙命石を無くして亡くなったんだ。これについて、何か知っていることは無いか?仙人の君なら、何かわかると思うんだ」
「私は身分の低い仙人なので、そのような詳しい事は知りません」
「僕の父親は、仙人大会で亡くなったんだ。なぁ、少しでもいいから、気がかりになる事とかないか?」
気づいたら、僕はコノハの肩をぐっと掴み、無我夢中で質問攻めをしていた。
「フゥーーー、しょうがないわね」
コノハはため息をついて、返時をしようとした。
その時、
「ガチャ」
ドアの音だ。
まずい、母親が帰ってきた。