第5話●何故、人は争うのか
「今よりもずーっと前にある一人の男の人がいた。彼は人一倍争いを嫌う者だったそうで、何故人は争うのか 何故人は殺しあえるのかという事をいつも考えていたという。
争いの絶えない邪悪な村に住んでいた彼は、ある日一族から離れて一人旅を始めたの。
その旅の真の目的は、人々が争うことをやめるにはどうすれば良いのか という事を考え、答えを出すというもの。
彼はただ、そのことを追求した。
ある日、彼はいつもと同じように山を登り、山頂で瞑想をしていた。
そこで、彼はふとある物に目が留まったの」
「ある物って何だ?」
説明の途中、無意識のうちについ質問してしまった。
「まって、今から説明するから」
「あ、分かった。ごめん、つい気になっちゃって」
僕は、無造作に頭をかいた。
「じゃあ、続けるね。
そのある物とは、岩に突き刺さっている青く光り輝く石だっという。
あまりの美しさに彼はその石に手を触れてしまった。
その瞬間、彼が瞑想をしていたその山の標高が一気に上がったという。
地上から、何m、何十m、何百m、何㎞・・・
勢いよく上がっていくその山には、激しい風が打ち続けた。
轟々と風の音が鳴り響き、何本もの木がその豪風によって、飛ばされた。
やがて、物凄く厚い雲の中を突き抜け、その山は止まった。
後に彼はその青く輝く石の半分を粉々に砕いて地上にまいたという。
粉がかかった地上の人々は宙へ上がり、雲という土地と食糧を彼に与えられた。
やがて、宙へ上がった人々は大きな都市を造り上げたという。
その都市が第1の空雲都市、そう今私たちがいるシウダー ペルディーダ、今話した青く輝く石が最初の仙命石、山が蓬莱山とされていると言われている」
コノハの長い説明が終わった。