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運命のカルナ ~蓬莱山のキセキ~  作者: 紫空 ソラ
第1都市「上」 出会いと別れ
19/59

第19話●ROBERIA&ZIN

「仙人がこの都市に居るって噂、知ってるか?

ロベリア?」


「簪の件でしょ?

そうね、間違いなくいるわ。迅」


静まり返った部屋で、ロベリアと迅の声が響く。


ロベリアは小柄な体型で、白髪のショートカットをしている。頭には緑色の帽子を被り、片手には、大きなルーペを持っている。


そんなロベリアに対し、迅は大柄の体型で、眉にかかる程度の黒髪をしている。

また、ロベリアと同じ緑色の帽子を被っている。


2人は会話の語尾に互いの名前を言うという、独特な癖がある。


「仙人、そいつが仙術なんて使ったら勝てないかもしれん。ロベリア」


「大丈夫よ、仙人は私達の前には姿を現さないわ。仮に姿を現したとしても、すぐ天空人が捕ま

えるわ。迅」


「それもそうだな

じゃあ、勝ち確だな。 ロベリア」


「えぇ、私の理力と知力、貴方の膨大な力があれば、仙人をも上回る事だって出来るわ。迅」


ロベリアは得意気に非現実的な事を言った。

だが、この言葉は決して間違ってはいない。


かつて彼女は、5歳でこの都市の図書館にある本を全て読破し、その圧倒的な才能に大人達は呆れたという。

迅はというと彼もまた、かつてこの都市で1番力が強いと称された事がある。龍我と同率で……


「ヤメローーー」


突然、外で悲鳴が上がった。泉の前であった。


「私達も行きましょうか。迅」


「了解だ。ロベリア」


2人は緑色のマントをスっと羽織り、部屋を颯爽と出ていった。









▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒





「ヤメローーー」


突然、外で悲鳴が上がった。その悲鳴と同時に叶人は目を覚ました。


「何だ!?」


叶人は勢いよくベッドから起き上がった。


だが、龍我やコノハ、サクラさんの姿はなかった。


辺りを見回すと、テーブルの上には、1枚の手紙が置いてあった。


手紙には、:コノハに光泉街案内をしています:

と書かれていた。


叶人は直ぐに部屋を飛び出し、暗く長い廊下を豪快に走り抜け、雲休宿の外へ出た。


外には大勢の人が泉を中心に円を作っていて、その中には龍我とコノハとサクラさんの3人もいた。


「おーい、龍我。これは何事だ?」


「今、天空人が戦っている。ほら、あれを見てみろ!」


龍我の指差す方向には、命霄剣で戦い合う2人の男性がいた。

その勝負の結果は、分かったも同然であった。


「ドリャーー」


その威勢と共に、優勢の男性の剣が、劣勢の男性の剣を引き裂いた。勝負の行方は、完全に決した。


「待ってくれ。頼む、殺さないでくれ」


「断る! これは戦いだ」


そう言って、勝者は敗者の横腹を剣で突き刺した。


その瞬間、敗者の仙命石は神々しく光を放ちながら宙へ浮かび上がり、勝者の命霄剣へと吸収された。


逆に、敗者はそのまま地面へ落下した。

仙命石が無くなったからである。


「これが、戦い?」


叶人は掠れた声で言った。周りの人も同じように、ただ唖然としていた。


戦う、争う、殺すという概念のない白雲世界の事なので、当然のことである。


「叶人、あれ見て」


コノハの指差す方向を見てみると、光る泉の前に提示されていた文の蒼闘者人数は、499人へと変わっていた。


「本当に始まったんだな。変白の戦い

いざ目の前で人が殺されると、恐ろしいものだな」


「本当ね。

でも、蒼闘者は皆、これを覚悟して戦い

に同意したのよね。


龍我、叶人君、死なないでね 」


昨日はとても明るかったサクラさんは、少し悲しげな表情をしていた。


「おう!死んでたまるか!」


龍我は、威勢のいい声で叫んだ。


でも、叶人は確信していた。龍我が今、泣き出したいほど悲しい気持ちになっている事を。



「おい、お前達は誰だ!?」


静まり返る泉の前で、ふと誰かが叫んだ。

声のするほうを見てみると、先程の勝者が緑色のマントを羽織った2人組に剣を向けられていた。



「これから、お前を地へ落とす」


小柄な少女が、小さな声で言った。





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