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朝
あれから、どれぐらい時間が過ぎたのだろうか。
あれから、何人の人がいや、何万人の人が死んだのだろうか。
荒れ狂う火の怪物は今や小さなねずみ花火のように衰え、トニーの足下には家屋の残骸が絶え間なく広がっていた。
チチチチ………
小鳥のさえずりが朝の訪れを告げ、また生命の活動が再開される。
まるで、昨日の火事なんて知らないよとでもいうように。
うぅ………ん………ん?
ここはどこ?
目を覚ましたトニーは辺りを見渡してびっくりした。
昨日…、火事………………。
断片的に記憶が蘇ってくる。
そういえば、昨日必死で逃げたんだっけ……………
それでこの洞穴を見つけた。
ほとんど奇跡だった。
この洞穴が見つからなかったら今頃私は……考えるだけでゾッとする。
外…出ようかな…。
流石にこの洞穴にずっといるわけにもいかない。
ぐぅ〜……
お腹…すいた…
よし、まずは食べ物を探そう、うん。
よいしょ…っと……。
立ち上がって外に出る。
あちこちで焼け焦げになったボロボロの家が原形失いくずれていた。