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始まり
トニーは、ある意味普通じゃない少女だった。
まず、行事が嫌い。
皆が楽しみであろうクリスマスやイースター、夏休みが嫌いだった。
それは、彼女の叔母のせいだ。
トニーは、生まれて間もなく両親を亡くしていた。
だから唯一の親戚の叔母に引き取られたのだった。
しかし叔母は、トニーが家にいることを隠したがった。
トニーがそのことを聞くと、いつも「あんたみたいな出来損ないが、私の親戚だと知れたら
誰だって恥ずかしいだろう」と、答えるのだった。
だからトニーは、家の外に出たことがない。
11年も。
外でみんなが騒いでいる祭り事も参加できないので、トニーは嫌だった。
ガンガンガンガン
トニーはものすごい物音で目が覚めた。