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クラスの女子全員+俺だけの異世界召喚  作者: うなぎ
黄昏編

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月夜の来訪


 嫁にしてほしい。

 そう言われてすぐにはいと返せるはずもなく、この件はいったん保留ということになった。何日も待たせるわけにはいかない話だが……。


 ともかく、お礼も兼ねて月夜が俺の屋敷に来ることとなった。


「……日隠さんのお部屋を用意しますね」


 乃蒼、止めてくれまだ早い。普通の客室でいいんだ。

 などというやり取りがあったのはいつものこと。


 そして、みんなで集まって話をすることになった。

 勇者の屋敷、大食堂にて。


「――暗殺組織〈黄昏〉が長、日隠月夜」


 などと名乗りを上げる月夜。

 いや、素直なのはいいんだけどその暗殺組織なんて言っちゃっていいのか? 極秘事項だろそれ。

 

 と、俺は心配になって月夜を見たが……。


「日隠さんが〈黄昏〉の一員であることは私も知っている」

「わたくしも……何度かお世話になったわね」


 と、つぐみと咲がフォローする。


 どうやら俺が知らなかっただけで二人は知っていたようだ。国を指揮する者として、決してきれいごとでは済まされない問題を多く抱えるお偉いさん。月夜たちにどんな依頼をしていたか、想像することはそれほど難しくない。


「それはそうとさ」


 俺は本題に入ることにした。

 別に大勢で囲って尋問したいわけではないが、どうしても……気になっていることがあるのだ。


「あの俺を襲った忍者っぽいおっさん、黄泉って名前だったか? あいつは自分が〈黄昏〉の一員だって言ってた。月夜の仲間なのか?」

「……我の仲間」


 まあ、そうなるよな。

 でも月夜が俺を殺そうとするはずがない。現に助けてもらったから今俺がここにいるわけだからな。

 ……ということは、仲間割れが起きたということか。


「月夜はその黄泉って奴を止めたかったんだよな? なんであいつは俺を殺そうとしたんだ? いや、そもそもこの前エビに毒が盛られたのも……あいつらの仕業なのか?」

「下条匠暗殺の依頼」


 俺の暗殺依頼?

 確かに、俺はこの世界で何度も活躍してきた。アスキス教だって貴族だって魔族だって、俺のことを恨んでいるかもしれない。そういうやつが、俺の暗殺依頼を出したということか。


「じゃあ、俺のせいでみんなは死にかけたってことだな。例の毒殺未遂事件は俺の……」


 薄々気が付いていたこととはいえ……悲しいな。一緒に住んでるだけでこんなリスクがあるなんて、まざまざと見せつけられた感じだ。

 俺は、みんなを……。


「匠君は悪くないよ」


 不安に心を押しつぶされそうになっていた俺のもとへ届いたのは、慈愛に満ちた乃蒼の声だった。

 俺の手をそっと取って、握っている。


 乃蒼……。


 俺は周囲を見渡すと、みんなが頷く。


「……ありがとう、心が救われた」


 自分を責めていても仕方ない。


「……あのおっさんが黒幕? いや、エリクシエル教が背後にいるってことは、やっぱりヨーランの件と同じなんだろうな……」


 ヨーランの件は国を揺るがす一大事件だった。しかしそれでも、ターゲットはマルクト王国という国であり、俺にとって隣の国の出来事だった。

 だが今回の事件はどうだ? 

 起きたのはこの国。狙われたのは俺。そして迫りくる戦争。

 これは……いよいよ佳境だな。俺たちと天界の……。


「そういえばミカエラはどうしたんだ?」


 ミカエラがいない。

 俺はあの半天使を追って外に出て行ったから気が付かなかったが、屋敷にいたはずのミカエラがいなくなっていた。


「『エリックの件をエリクシエル様に報告する』と言って飛び出していった。おそらく今回の件を天界に報告すれば、事が収まると思っているのだろう」


 と、つぐみが答える。

 そのエリックとか言うやつは、エリクシエルの命令に逆らって俺を殺そうとしたのか? 確かに、ミカエラが言ってた話と齟齬があったが……。


「ミカエラの説得で、すべてが丸く収まる。そんな結果になればいんだけどな」

「望みは薄いがな……。そのエリックとやらの件を抜きにしても、奴らは動き始めていたようだからな」


 確かに、しばらく様子を見るのはいいかもしれない。でもだからといって、ぼんやりと戦争が起こるまで静観していてはただのバカだ。

 そんなことは、わざわざ俺の口から言わなくてもみんな分かっている。


「すでにマルクト王国と協力して情報収集に当たっている。エリクシエル教、天界、天使。これだけキーワードがそろえば、多少なりとも効果はあるはずだ」

「ヨーラン将軍の足取りも追跡中よ。天使たちの件も含めて、早急に調査が必要ね」


 つぐみと咲。二人が動けばこの世界の二大国が動く。


「そういえば、月夜は匠の嫁になったのか?」

「よ、嫁って……、その件はいろいろと話をしてから……」

 

 つぐみ、そんなにはっきり言わないでほしい。


「いや、私も文句を言うつもりはないのだが、月夜は〈黄昏〉の長なのだろう? ここに定住、というわけには……」


 た……確かに。


 よく知らないけど、〈黄昏〉というのは謎の暗殺者集団なんだよな? それが堂々と有名人の嫁となって、屋敷で暮らすとなってはいろいろと問題が起こらないだろうか?

 月夜はそのあたりのことをどう思っているんだろうか?


「…………」


 無言のまま、月夜が手を挙げた。

 ……すると。


「なっ!」


 天井から男が二人。

 給仕のメイドが三人。

 柱の陰に潜んでいた男が二人。

 窓の外から男女四人。


 皆、一斉にここに現れ、月夜の後ろに控えた。


「お、おい、なんだこいつら?」


「「「……我ら〈黄昏〉」」」


 いつの間に、この屋敷に侵入を?

 月夜のことだから悪意はないと思うのだが、俺は侵入者がいたという事実に肌寒さを隠せなかった。


読者の皆さん、誤字報告機能をご存じですか?

誤字の多い私作者は、皆さまの手厚い報告を切に願っています。

今回はやり方が分からないという方のため、誤字報告機能について説明します。


では下を見てください。

ここに5ptという数字があります。


5……五……ご…………誤!


そうです、この5というのは誤字の誤を示しているのです!

ptは「プププ……訂正しとけよ」の省略形です。

この5にチェックを入れて(誤字を)評価するボタンを押してください。

なろうがあなたの脳をスキャンして作者に誤字を報告してくれます。


え? 横の1ptとか2ptは何かって?

さあ……、インターネットですからね、よくわからないリンクは踏まない方がいいですよ。

あー闇の波動を感じますね。

妖の類かもしれません。




※もちろん全部嘘ですので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 月夜を嫁にする事で月夜に付いてきた黄昏の面々を仲間に率いれる事が出来ましたが、最終的にはグラウス共和国の傘下に入るのか、それとも拠点を勇者宅にするだけで月夜を嫁とした匠直属の組織となるのかが…
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