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クラスの女子全員+俺だけの異世界召喚  作者: うなぎ
黄昏編

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咲の屋敷入り


 マルクト王国のクーデターは、国王の帰還とヨーランの逃亡によって一気に解決した。

 俺たちはもはやここにとどまる必要はなくなったため、グラウス共和国に帰ることとなった。

 国王や国民から厚い感謝を受けて、悪い気はしなかった。でも俺はそれほど働いていないのに……手柄を独り占めしたみたいでちょっともやもやした気持ちだった。


 そして、屋敷へと帰還。

 もちろんただ帰ってきたわけじゃない。


 咲が屋敷にやってきた。

 まあ、これは当然の結果だった。遠隔操作で子作りなんてできないわけで……。結局、どちらかが相手のいる場所に行く必要があったということだ。国を空けることになってしまうが、それなりに準備は済ませているらしい。

 なんでも咲に絶対服従の女性たちが官僚機構みたいな感じでマルクトの政治を支配しているらしい。

 怖い国だ。咲がいなくても思い通りに動いてしまうなんて。

 とはいえ、半年も一年もいなかったらさすがに問題が多いようなので、一区切りしたらマルクト王国に帰るらしい。


 俺の隣を歩く咲は、いつもの痴女衣装ではなく普通のドレスを身に着けている。

 屋敷が近づいてきた。


「下条君いいところに住んでるわよね。こんな大きなお屋敷でしかも首都。東京で豪邸持ってるイメージかしら?」

「何言ってんだよ。咲が住んでる王城に比べたらこんなところ大したことないだろ?」

「城はわたくしのものではなく陛下のものよ。それにあそこは息が詰まるわ。自分の家、って感じがしないのよね」


 確かに、よく考えたら兵士も大臣も将軍もいるよな。しかも無駄に広くてキラキラ輝いているし。何か一つ調度品を傷つけただけで、農夫の一生分の稼ぎが軽く吹っ飛んでしまうような場所。緊張しててもおかしくない。


「…………その割には、随分自分勝手に過ごしていたと報告を受けているが」

 

 なんだかつぐみがすごく不機嫌だ。


「あれも政治的なパフォーマンスの一種よ。陛下と仲の良いところを示さないと、余計なことを考える輩が湧いてくるから」

「不潔」


 ま、まあつぐみの言い分も分かる。衣装とかやってることは少し度が過ぎていると思うからな。

 でも咲の言い分も全く嘘というわけじゃない。彼女は国王が権力の拠り所であり、すべてなのだ。もし国王の寵愛を失ったと見なされれば、それだけで国が傾いてしまうかもしれない。


「でもぉ、ここにいるのは陛下じゃなくて下条君。安心して。わたくし、あなたのこと陛下の次に愛してるわ。今日から二人で……いっぱい気持ちよくなりましょうね」


 そう言って俺の下半身を撫でる咲。変な声を上げそうになるが、つぐみがいるのでぐっとこらえる。


 やがて門の前に近づくと、乃蒼と子猫が出迎えに来てくれた。

 特にこちらから連絡したわけではないけど、あれだけ大軍を率いて帰還してきたんだ。町の中は騒ぎになってたし、当然その話題はこっちにも伝わってきたということか。


 二人は子供を抱えていた。


「あうーあうあうー」

「おおーリンカ。パパが帰ってきて嬉しいのか?」


 乃蒼が抱えていたのはリンカだった。俺を見て嬉しそうにするこの子の頬に、そっとキスをする。

 やはり俺は娘に愛されているらしい。家に帰って時間もあることだから、しばらくは娘たちを愛でながら世話をするとしよう。


 子猫はつぐみとの間に生まれた子供の――エドワードを抱えていた。


「私と匠の愛の結晶っ!」


 どうやら咲に我が子を自慢したかったらしい。この間生まれたばっかりだからまだ言葉もしゃべれないんだけどな。


「うふふ、元気な子供ね。これでわたくしも安心して子宝に恵まれそうね」

「…………」

「匠君、阿澄さんは? お部屋、用意した方がいいの?」


 半信半疑といった感じの乃蒼。いつもなら屋敷の住人が増えるのかと喜んでくれるところだけど、咲にはかなり特殊な事情がある。彼女は一国の王妃であり、夫である国王がいるのだ。浮気だとしたら国家を跨に賭けた一大事件。そして俺は世界クラスの間男……。

 国から追われたりするのかな? 嫌な設定だな……。


「あ、勘違いしないでくれ。別に俺が国王から寝取ったわけじゃないからな。この件には深い事情があって、彼女の命と尊厳を守るために、俺は仕方なく屋敷に招くことにしたんだ」

「阿澄さんも逃げてきたの?」

「いや……逃げてきたというよりは。その……」

「うふふ、わたくしもみんなと一緒にハーレムの一員よ。よろしくね」


 ぺこり、とお辞儀をする咲。

 言っちゃうんだな、ハーレムって。


「えと、お部屋、用意します」

 

 乃蒼はいつも通り咲の部屋を用意するらしい。子猫と一緒に子供たちを連れて屋敷へと向かっていった。

 一応、咲の荷物は後で馬車が持ってくる予定だ。といっても完全に引っ越しをするわけじゃないから、用意したのは着替えとか最低限の小物程度。家具や宝石類はマルクト王国のお城に置いたままだ。

 まあ、この屋敷にあまり高級品を置かれても困るからな……。


「これでわたくしもこの屋敷の仲間ね。ねえ下条君、今日はどこでする? ベッド? お風呂? トイレ? うふふ、うふふふ、地下に牢屋があるのよね? 下条君、美少女に罵られたり叩かれたりするのは好きかしら?」

「あ、俺あんまりアブノーマルなのはちょっと。普通にお願いします」

「あらあら、食わず嫌いはダメよ? わたくしが新しい世界の扉を開いてあげるわ」

「いやいやいや、俺世界の扉とか開かなくていいから。一生引きこもりでいいから」


 ペロリ、と妖艶に舌なめずりをする咲。彼女が見ているのは……当然ながら俺。


 俺、食べられちゃいますか?


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