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クラスの女子全員+俺だけの異世界召喚  作者: うなぎ
刀神編

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エリナ、狂う



 うう……。

 

 恐ろしい夢を見た。

 髭面のむさくるしい男に、腰をパンパン打ち付けられる恐ろしい夢だ。俺は必死に抵抗するんだが、男はものすごい力で俺を抑えつけて、いきり立つ息子を俺のお尻に……。

 一体何なんだ? なんであんな夢を見たんだ俺は? まさか深層心理に隠された願望が夢として現れて……。

 いや、そんなわけないか。

 

 さてと、いつまでも悪夢のことで悩んでいるわけにはいかない。あれは夢だったんだ。そろそろ現実の話を始めよう。

 ああ……それにしても夢で良か――

 

 パンパン! パンパン!


 ……は?

 夢じゃ……ない?

 なんだろう。今更ながら、下半身に猛烈な違和感がある。何かを激しく叩きつけられているかのような……。

 う、しかも……なんだか目が覚めてきたせいか声まで聞こえてきた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!」パンパンパンパン!


 その聞きなれた、それでいてうるさい声を聞いて、俺は完全に覚醒した。


 時刻は朝。といっても少し起きるのが遅かったらしく、天蓋付き巨大ベッドの中で寝ていたのは俺だけのようだ。

 そして、このパンパン! という激しい音の正体……なのだが。


「え、エリナ……」


 そこには、うつぶせで寝ている俺の腰に激しく下半身を打ち付けるエリナがいた。

 言うまでもないがエリナは女で生えてないから、完全に腰を俺に叩きつけているだけだ。

 

「え、エリナ、どうしたんだ一体? 頭大丈夫か?」

「匠君と……したい!」パンパンパン!


 どうやら、このパンパンは彼女の願望の表れらしい。なるほどな、あふれ出るパトスを抑えることができず、ついつい性交の真似事をしてしまったらしい。よくあることだ。


 …………。

 …………。

 ……ねえよ!


 ……いや、頭おかしいだろこの子。仮に生えてたら立派な強姦魔だよこれ? こんなことが許されていいのか? 共和国は男女平等なんだから、こいつもちゃんと逮捕すべき!

 ヤバイ、ヤバイよこいつ。目がさ、やけにぎらついてて……怖い。


 しかし彼女は頭のネジがぶっ飛んだ性犯罪者。下手に刺激をすれば逆上してしまうかもしれない。

 そう、冷静に対処しなければ……。爆発させては……ならない。


「お、おうそうか。元気があってすごいな。でもなエリナ、俺はこの前大きな戦いがあってすごく疲れてるんだ。また後にしてくれないか?」

「…………」パンパン!


 エリナが無言で俺のお尻を叩いてきた。

 あのさ……ホント痛いんですよこれ。お尻ペンペンされてるみたいな感覚。限度と言うものを知ってほしい。

 しかしどれだけ下半身を叩きつけてもエリナが満足することはなく、その行為は延々と続いていくように思えた。俺は寝起きで力が出ないし、エリナは元気よく俺を抑えつけている。逃げ場なしだ。


 あと俺の服、濡れてるし。やめろ。


「そこまでにしてくれないか?」


 と、言って現れた正義の救世主はつぐみだった。

 彼女は俺に激しくすり寄ってくるエリナを引きはがすと、ベットの隅に正座させた。


「エリナ、このままでは匠の下半身が壊死してしまう。匠だって嫌がってることは分かるだろう?」

「む、むぅ、でもセッ……」

「一人でも我慢できるように、私からプレゼントを用意した」


 プレゼント?

 こんな発情サル状態のエリナを静める方法があるのだろうか? きっとそれは魔族の魔法に違いない。


 つぐみはそっと窓の外を指した。

 窓の外にはベランダが、そしてその先には庭が見える。入口近くに二人の兵士が立っており、何かを運んでいるのが見えた。


 それは、俺の石像だった。

 それがただの石像であったなら、俺は何も驚きはしなかっただろう。しかし――


 俺の石像、なぜか全裸で股間がすごいことになっている。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 エリナは嬉々とした表情のまま走っていった。その約1秒後には玄関の前まで到達し、兵士が運んでいた石像を奪い去った。足元からドカドカとあわただしく階段を上る音が聞こえる。


 あの石像を、部屋に飾るのだろうか? あれで自分を慰める……のか?


「な、なあ、なんなんだよあれ。俺あんな気持ち悪い石像が作られてるなんて聞いてないぞ! 人権侵害だ! 訴えてやる!」

「戦勝記念の石像の話を覚えているか?」


 戦勝記念?

 ああ……確かそんな話があったような。たしか、記念公園に俺と一紗の石像を立てるんだったか? 頭だけ型をとっていたからよく覚えている。


「いやいや、そういうのは馬に乗ってたり剣を構えてたりかっこいいポーズで作るだろ! あんな風に股間が主張してるなんてどう考えてもおかしい!」

「職人気質な彫刻家でな、いろいろと詩作品が出来上がっていた。そのうちの一つだ」

「一つって……」

「本当はこの屋敷で内密に破棄する予定だったが、エリナに渡すことにしよう。匠も理解してほしい」


 その彫刻家、変態か何かかな。あとで厳重に抗議をしておかなければ俺の怒りが収まらない。


 遠くの部屋から、ガタガタガタと激しく揺れる音が聞こえる。石像が床に当たっている音かもしれない……。

 こ、怖いよ……。俺の石像、どうなっちゃうの?



 こうして、エリナは少しだけ大人しくなった。

 俺の石像という、尊い犠牲のおかげで。


ここからが刀神編です。

といっても本当の話に入るのは2~3話後でしょうが……。

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