表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮想夢世界での生活  作者: 水ようかん
1/1

第1睡 もう一つの世界

初めまして

なろう初心者ですが、読んでもらえたらうれしいです。

1人でも読んでくれるかたがいたら、続き書きます。

稚拙な文章ですが、楽しんでいただけたら幸いです。

 

 突然だが、学園ラブコメだとか、異世界ファンタジーだとか、超能力だとか言うような、そんなライトノベルの世界にしかない非現実的なものを本当に信じている人はこの世にどの位いるのだろうか?

 おそらく、大半の人間はそんなもの、人間が創り出した妄想であり、ただの娯楽だろうと思っているだろう。

 異世界が絶対にないだとか、超能力が存在しないだとか、そんなこと誰が証明した?勝手に自分の固定概念に縛られているだけだろう。

 神だの、仏だの、ゼウスだの、キリストだのを信じているくせに、それ以外は信じないなんていうのは、おかしなことだ。笑ってしまう。


 俺がこんな長い前ふりをしたのには理由があろ。

 勿論、信じる信じないはこの日記を読んだ人次第であるが、もし信じるならばこれは、今までの常識を180度変えてしまうような、そんな話だ。

 誰がどんな風に思おうとも、俺はこの話を忘れることはないし、考えを変えることもしない。

 平凡な日常が続くことが、どれだけ幸せなのか、俺はこのことがあるまで露ほども考えたことがなかった。





 世間一般の高校では入学式が行われるような4月最初の月曜日のことだ。

 そして、やはり、うちの学校もそんな日に入学式を行うことになっていた。

 4月といえば学期の始まり、新しい生活や、友人関係の始まり、アニメの新クールの始まりというような、なんだか胸に期待が湧いてくる季節だそうだ。

 だが、人嫌いの俺にとっては、アニメ以外の楽しみを見出すことのない、退屈な季節だ。

 高校2年生の俺は、入学式などに行く価値を感じられず、新学期そうそう、学校をサボることにした。

 親は辛うじて生活費をくれているだけの他人のようなものだったから、いつも何も言われない。

 咎められたら、行く理由ができたというように自分に教え込み、普段から動かさない重い腰を渋々と言った感じで持ち上げ、洗濯してからハンガーにかけっぱなしだった制服を掴み嫌そうにでかけるのだが、例のごとく、何も 言われなかった。


 朝食の後、俺は再び春のまどろみの中、惰眠をむさぼることにした。

 もしも、このとき、この場合は、運悪く学校に行かない俺を、親が咎めたり、たまたま学校に行きたいと思っていたりしたら、俺は、この数奇な物語に出会うこともなく、一生を退屈だと思いながら過ごすことになっていただろう。


 俺は、自分の部屋で寝るはずだった。だが、眠くなり、目を閉じた途端、周りが明るくなった。

 わけが分からなかった。寝たはずの俺が、どうして外にいる?そもそもここはどこだ?


 平成生まれ、平成育ち、海外はおろか、ろくに旅行さえしたことのない俺にでも分かる。

 ここは、日本ではない。

 夢というものは、自分の脳の中にある記憶の整理をしているときに見るもので、本ですら見たことのない場所をここまで鮮明に見ることなど到底ありえない。

 まして、視覚、聴覚、嗅覚まで現実と変わらない夢など見れたりはしないだろう。


 しばらくの思考の末に辿り着いた答えはここは異世界であるという馬鹿げたものだった。

 だが、馬鹿げていても、それ以外に考えることはできなかった。

 現代のヨーロッパに老人や子供の遺体や、服を脱がされ、倒れている女性が道に転がっている場所など到底ありはしないだろうから………


 ひそひそと話している声が聞こえてくる。日本語ではないが、なぜか意味は分かる。

 周りとは明らかに違う顔立ち、髪色、服装、どれをとっても不自然でない点がない。

 しかも、急にこの場に現れたのだ、気になるどころではないのだろう。


 そうこうしているうちに、一人の男性が近づいてきた。薄汚れた服、不健康そうな細い腕、目の下の黒々とした隈、白髪交じりの金髪、見るからに病人だが、この世界でいままでに見た人間の中では一番健康に見えた。


「あなたは何者ですか?」


 一言、そう呟いた。細く、今にも切れそうな糸のような印象の声であった。


「俺は、柴田と言います。ここはどこですか?」 


 俺は、当初の疑問をぶつけてみた。向こうが質問してきて、こちらは答えたのだから、相手に何かを聞いてもいいだろう。

 ラノベでは、異世界で一番最初にする大切なことは、その世界の常識を知ることであった。

 まあ、ラノベを読んでいなくてもそれくらいはしただろうが…


「…………ここは、ぺニアという町の貧民街です。」


 男は怪訝そうな目でこちらを見てきたが、やがて、再び質問をしてきた。


「あなたはどこからいらっしゃったのでしょうか?」


 俺のことなんか聞いてどうなる?そもそも、この男は誰だ?


「俺は、日本という国の東京から来ました。あなたは誰ですか?」


「日本ですか…聞いたことありませんね。ああっ、すいません。私はオルノと申します。この場所を管理しています。」


 なるほど、町長みたいなものか。でも、なんで、こいつは俺に話しかけてきたんだ?


「神のお告げで、あなた様のような方が今日ここに現れると聞いたからです。…あなたは神の使いですか?」


 とんでもない勘違いをしているようだ。

 生まれてこの方、髪も仏も信じた事がない俺が神の使いだって?

 馬鹿馬鹿しい。


「俺は神の使いでもなんでもない。ただの人間だ。遠くからきただけのな。」


 オルノと名乗る男は、俺の言葉を聞いて、一瞬固まったが、その後、一冊の本を手渡してきた。


「この本には、この世界のことについて書かれています。数日前、これが私のもとに届きました。いえ、現れました。ちょうど、あなたが現れた時のように。わたしは開いてみようとしたのですが、特殊な魔力で覆われているようで、決して開きませんでした。」


 どうやらこの世界には魔力があるらしい。

 俺は、その古びた本を手に取った。


 その本は、俺が触れた瞬間に光った気がした。

 オルノには見えていないらしく、何の反応も示さなかった。


「ありがとう。」


 短く答えを返すと、オルノは、頭を下げた後、元来た道に帰って行った。


「とりあえず、読んでみるとするか。」


 そう独り言を言って、俺はその本を見てみた。




 《アザトースの加護を持つものへ》


 この世界は、君の夢が創り出している仮想現実だ。

 夢といっても、この世界で死ぬと、元の世界の君も死ぬからほとんど現実みたいなものさ。

 しかも、この世界の人達にとって、この世界は、君にとっての元の世界と同じようなものさ。

 君が生きているというこの世界は、君が死んだ途端に消えてなくなる。

 この世には生物の数だけ、世界がある。その生物のためだけに生み出された世界を持っているってことだ。

 でも、その世界は他の生物ともリンクしている。

 例えば、ある生物Aがその生物Aの持つ世界でほかの生物Bに殺されたとき、他の生物Bの持つ世界ではある生物Aを殺したということになる。

 また、殺されたほうの生物Aの持っていた世界はその生物Aが死んだ時点で崩壊していく。

 その生物のもつ世界こそが、命というものなのだよ。

 つまり、君の世界の中にいる他の生物は、君の世界と、その生物が一緒に創り出した別のものなんだ。

 その生物ではあるが、その生物そのものではない。

 だけど、君は、2つの世界を持っている。君自身であることは一切変わらないのにも関わらず。

 だからこそ、この世界で死ぬと、元の世界でも死ぬと言い切れるんだ。

 元の世界に戻る方法は簡単。この世界で寝ればいいだけさ。

 この世界で眠りにおちた瞬間に、君は元の世界で目覚める。

 逆に、元の世界で寝たら、こちらの世界で目覚める。

 体は睡眠をとったことになっているから、寝不足にはならない。

 意識は起きたままだけどね。

 本を手にしたとき、光ったろう?

 そこで、意識は起きたままということが原因のストレスを負わなくなる魔法を掛けておいたから、安心してね。

 君のような変わった世界をもつ生物は初めて見たよ。

 大体伝えてるはずだから、一旦ここで書き止めるね。

 また伝えたいことがあったら、書き足すから、この本は、大切に持っておいてね。

 それじゃあ、Good luck!


  ソフィアより





 (めんどくせぇぇぇ!

 長いし、分かりにくいし、この、ラノベ特有の主人公設定とか、いらねぇぇぇ。)


 俺は、生まれて初めて声なき絶叫を挙げることとなった。


 




 とりあえず、まずはこの世界のお金の確保をして、宿屋にでも泊まることを考えないと。

 こんな治安の悪そうな場所で寝たりしたら、二度と起きれなくなるだろうし…


 俺はとりあえず貧民街を出ることにした。


 これからどうしようかとあれこれ考えているうちに、俺は前方への注意を怠ってしまっていた。

 何かにぶつかった感触の直後、目の前で、声がした。


「痛ったぁぁぁ!あんた、ちょっと、どこ見て歩いてんのよ。」


 尻餅をついた少女は烈火のごとく俺に突っかかって来た。


 確かにこちらにも非はあるが、そっちもちゃんと前を向いて歩いてたらぶつからなかったのでは?

 いきなり攻めてきたこの少女に、俺は少しばかり腹が立った。


「君も前を向いていなかったくせに、こっちばかり攻めてくるのはいただけないな。こちらにも非はあるが、君にも非はあるだろう。」


 思ったまんま、正論をぶつけてやった。

 このことが、この手のタイプの少女相手に正論をぶつけると、必ずと言っていいほど、めんどくさいことになると俺が知ったきっかけとなった。


  「こいつ…私が誰か分かってるんでしょうね?今、泣いて謝れば、許してあげる。私の寛大な心に感謝しなさい。」


 謝らせたり、感謝させたり、面倒くさい女だな。

 もっとおちょくってやろうかな。楽しいし。


「どこのどなたか存じませんが、スイマセンデシタユルシテクダサイ(棒)ww」


 俺は人をコケにするような言葉使いで、人を食ったような態度で接してやった。


 その言葉が起爆スイッチとなった。


  「ふっざけんじゃないわよ!!!」


 少女が詰め寄ってきたと思ったとたん、腹部に強烈な一撃をくらい、意識がブラックアウトした。

 けんか売らなければよかった。




 目が覚めると、見慣れた部屋に俺はいた。


 元の世界に帰ってきたのか。


 いや、ただ起きただけか。


 久々に、悪夢をみた。


 でも、夢でよかった。


 あんな面倒くさそうな世界で残りの人生の半分を費やすのなんて、ごめんだからな。


 起き上がって窓をみると、もう暗くなり始めていた。


 けっこう寝ていたんだな…まるで、あの夢の世界で過ごした時間分が無くなったみたいだな。





 その日、俺は深夜26時に寝た…はずだった。


 寝たと思った途端に目が覚めた。違う、覚めてしまった。


 俺は、再びこの中世ヨーロッパのような世界に来てしまったようだ。


 でも、ここは…牢屋?!


「はぁぁぁぁぁぁ?!」


 今度は声を上げて絶叫した。





読んで頂き、ありがとうございます!

本編で書くことは無いので、ここに書き加えておきます。

途中に出てきたソフィアという神物は、叡知や智慧の神です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ