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この混沌とした世界で友達が欲しい!  作者: ダストブロワー(缶)
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今回は早く投稿できそうでホッとしています。あべこべ成分が足りないと思われると思いますが、安心してください。作者も感じています。

ゲーム内であべこべ成分が出てくるのはまだしばらく先になるので、量産型VRMMOものとして楽しんでいただければ幸いです。一応、ゲーム外の様子としてあべこべ成分をそのうち補給する予定ではあります。

「さて、結構倒したけど二人ともレベルはどうなってる?上がってるならちょっと休憩がてらステータス振り分けとか、スキルの話でもしようか。」


 アビリティの話をしてからそれなりに数を倒して戦闘にも慣れてきたところでシトさんが休憩の提案をしてくれた。ちょっと疲れてきていたし草原の風景を見ながら息抜きをするには良い頃合いだ。


「うん、チュートリアルでレベル2だったのが、今はレベル3に上がってる。『幼体』のレベルは10のままだけど……。けど、ウルフの肉が24個、ウサギの肉が11個、青蛇の肉が4個とれたし結構満足!」


 ちなみに、アビリティで要求される個数はウルフの肉とウサギの肉が1回当たり5個、青蛇の肉が3個となっている。全部の肉で1回以上はステータスアップが行えることになる。


「私はレベル2だったのがレベル4になってるわね。

 ところでシトさん、種族によって必要経験値って違うの?」


 僕と姉さんで同じ内容の狩りをしていたのにレベルが違うことを不思議に思った姉さんが尋ねる。


「そうだね。私みたいなコボルドとかゴブリンは必要経験値が低くて、オーガ種はちょっと多めかな。希少種になるとさらに必要量が増えるから、希少種は大器晩成型と考えるといいよ。

 それと、今は新規プレイヤー歓迎キャンペーンで経験値量増えてるから上がるの早かったけど、いつもこんなすぐにレベルアップするわけじゃないから気を付けてね」


 そう、実は昨日から新規ユーザー向けのキャンペーンでレベル10までは経験値にブーストがかかるようになっている。初期予約時の第1、第2陣がゲーム開始をした記念、という名目だ。

 しかし、ブースト込みでキメラが1しかレベル上がらない当たり、経験値テーブルはかなり必要量が多い枠である可能性が高い。


「それはそれとして、MPとHPを自然回復させる間だけでサクッとアビリティとスキルについて教えとこうか。

 最初に話したけど、オーガの『頑強な肉体』とか、キメラの『混沌の体』なんかは種族アビリティに分類されるんだ。種族アビリティは強力なものが多いけど、性能が極端なものも多いのが特徴だね。

 次に、ミーの取得している『棍棒』や、ユー君の『野生の体』『氷魔法』といったアビリティはノーマルアビリティになる。こっちは条件を満たせば後からでも取得できるアビリティだね。性能は基本的に人属、蛮族ともに同じものだ。もっとも、人族・蛮族限定アビリティとかもあるから一概には言えないけど。ここまではいいかい?」


「チュートリアルだとアビリティは種族もノーマルもひとまとめに説明だったから補足があるとわかりやすいわね。

 私は大丈夫よ、ユー君はどう?」


「うん、大丈夫」


 おおまかな説明なので今のところ問題はないので続きをお願いする。


「よろしい。では続きだ。スキルの説明をしよう。

 スキルはアビリティを育てると獲得できるものだと思えば間違いない。例えば『棍棒』のアビリティレベルが上がれば『パワーヒット』というスキルを覚えるわけだ。たぶんミーはもう取得してるんじゃないかな?アビリティレベル3で覚えれたはずだから」


「あ、ほんとだ。初期スキルの『振り下ろし』しか使ってなかったの、何か損した気分ね」


 言われて姉さんが確認する。どうやら言われた通り新しいスキルを身に着けていたようだ。


「戦闘中に上がると気づかないことも多いから、こまめに確認しておくといいよ。」


 僕も一番使用したであろう『野生の体』を確認しておく。アビリティのレベルは3になっており、新しく『爪撃』が使えるようになっていた。すぐに詳細を確認する。


『爪撃』

 爪を使った切り裂き攻撃、使用後15秒以内に爪を使った攻撃を行った場合にダメージボーナスを1回得る。ST5消費。キャスト0秒。リキャスト30秒。


 姉さん達に新しいスキルを習得したことを伝える。戦力の共有は大事だからね!べ、別に自慢したかったわけじゃないからね!


「うんうん、無事スキルを覚えれててよかった。スキルが火力とか性能に直結するから重要なんだよね。

 んじゃ最後、ステータスについてだね。チュートリアルでも言ってたと思うけど、レベルアップすると自動でステータスは上がる。んで、それとは別にボーナスポイントがもらえるのももう知ってると思う」


 チュートリアルでボーナスポイントについての説明は一応あったので、そのあたりはわかっている。


「このポイント、チュートリアルでは言われないけどステータスに振り分けるだけじゃなくてね、なんとアビリティに振ることができるのだ!」


「え?それってボーナスポイント使うだけでアビリティレベル上げれるってことなの?そんなの皆アビリティに振るに決まってるじゃない」


 確かにそりゃそうかも。ステータスを1上げるよりもアビリティを1上げたほうが新しいスキルや、覚えているスキルの威力がアップした方が早く強くなれるはずだ。


「あーいや、そこまで便利じゃないんだよね。アビリティに振れるだけで、それだけでレベルが上がるわけじゃない。

 アビリティも使用すればするほど経験値が蓄積されて、レベルアップするんだ。ボーナスポイントをアビリティに振ると、ボーナスポイントを消費してアビリティ経験値を得ることになるから、結果として早くアビリティが育つ。けど、アビリティレベルにも上限があるからそうなるとポイントはステータスに、となる。

 まぁ最終的な結果はあまり変わらないから本人の好みが大きいかな」


「なるほど、ステータスに振って基礎から上げるか、先にアビリティに振ってスキル集めるかの違いってことか。レベルアップでもらえたボーナスは5ポイントもあるけど、ステータスが全部1しか伸びないからどっちに振るか迷うなぁ……」


 とりあえず今回は基礎ステータスに1ずつ振り分けておこう。一つのステータスに振りきる極振りというプレイスタイルもあるらしいけど、そこまで尖った自キャラをコントロールするのは僕には難しそうだ。


「とりあえず私はHP(体力)STR(筋力)AGI(素早さ)に振ったんだけど、シトさんは何に振ってるの?」


「私かい?私はDEX(器用さ)AGI(素早さ)INT(知力)を中心に上げてる。コボルドに筋力はないからね。無理に補強しても微妙になりそうだから、ダメージは道具頼りってわけ。メインは弓と投擲、後は奇襲と罠にかけて戦うスタイルにしてるんだ」


「でもさぁシトさん。ランクアップで種族が変われば、そのステータスの振り方ってキツくない?」


 姉さんの言う通り、コボルド用の戦術でステータスを振ると将来的にどうなんだろう。


「そこは問題ない!なぜならコボルド系ツリーの派生には進化する予定だけど、種族が変わるようなランクアップは無視するからね!」


 ハッハッハと笑うシトさん。それなら大丈夫……なのか?


「それよりキメラのステータスの伸びの悪さがちょっと気になるかな。レア種は経験値が多く必要だけどステータスの伸びがいいのが多いのに比べると、やっぱりアビリティありきの調整なのかも。」


 ステータスの伸びが全ステ+1だけなのはやはり少ないらしい。コボルドでも2は伸びるらしいし、オーガだと筋力を中心に3は伸びていると姉さん達が教えてくれた。


「あ、じゃあせっかく休憩してるんだし、今のうちにさっき拾った肉アイテム使っちゃえばいいんじゃない?私のHPもまだ回復しきってないから」


 姉さんから許可も出たことなので、肉アイテムの消化をしてしまおう。

 結果はウルフの肉、ウサギの肉と青蛇の肉全てで初回確定分の1回のみが成功となった。ステータスアップはウルフとウサギでAGI(素早さ)が合計+2、青蛇の肉でVIT(生命力)が+1だ。


「2回目からの肉のステータスアップ率、あまりよくないみたい。ウルフで3回、ウサギで1回したけど、全部ハズレ。確定分しか成功しなかったよ」


「まぁそんなポンポン上がったらキメラ1強になっちゃいそうだしねぇ。

 さて、そろそろ二人とも回復しきったかい?ここから町に戻る道すがらに戦えば、たぶん晩御飯にちょうどいい時間だと思うよ」


「私は大丈夫よ。新しいスキルも試したいし戦うのに賛成」


「もうそんな時間かぁ。僕も回復は終わってるから大丈夫だよ」


「それじゃ、戻ろっか」


 ほんと、楽しいと時間が経つのが早いなぁ。






 帰るまでの戦闘は来るまでの戦闘に比べるとレベルアップと新しい攻撃スキルもあり、とても楽になった。

 一度ウルフ5匹の群れと遭遇したが、姉さんが2匹をひきつけている間に、僕が速攻で1匹を仕留める。その間フリーの2匹をシトさんが投擲だけで翻弄し続け、手が空き次第僕と姉さんで攻めかかればあっさり突破できた。


 途中、採取についても試してみたが、動物系は発見するのは得意でも採取自体はそこまで適性がないとのことで、|High Quality《HQ》つまり高品質品の採取は僕には厳しいようである。生産系のアビリティにも興味はあるが、動物の前足では期待薄だろう。


 街の門に近づくにつれて、経験値稼ぎなどで戦っているプレイヤーを多く見かけるようになってきた。流石に門が見える位置まで戻ってくると、POP(出現)したモンスターにプレイヤーがすぐに駆け付けるため、必然、僕たちの戦闘回数は減る。

 なお、帰りの道中で姉さんがレベルアップし、レベル5になっている。僕のレベルは依然変わらず3のままだ。悲しいことだが必要経験値が多いのは確定とみて間違いない。


「ここまで戻るとなかなか戦闘にはならないわね。楽なんだけど手持無沙汰な気もするわ」


「まぁね。この辺りはログインしたけど時間あんまり取れない人とかが多くてどうしても獲物の取り合いになっちゃうから。狩場が混んでたら多少微妙でも空いてる所のほうが美味しいことが結構あるんだよ」


「それじゃ、あんまりこの辺りでは戦わないほうがいいの?」


 敵の数自体は多いので良好な場所だと思ったのだけど違うのだろうか。


「そうでもないよ。例えば誰かと待ち合わせしててちょっと時間ができたとかなら十分だし、うまく場所を確保できればかなり効率は良いからね。条件が整いにくいだけで戦うには良い場所さ」


「そういうものなのかー」


「そういうものだねー」


「そういうものらしいわねー」


 のんびり他のプレイヤーの戦い方を見ながら町へと歩く。


「こうして見てると、魔族プレイヤーってすごくバラエティに富んでるわね。

 ゴブリンにコボルド、オーガにスケルトン。遠目だけどウルフのプレイヤーもいるし……あっちはケンタウロス?」


「そのカオスっぷりが魔族サイドの魅力だからね。まぁその弊害も多少あるけど……」


「そうなの?戦略に幅が出せるからいいと思うんだけど違った?」


「そういう意味ではいいんだけどねぇ。まぁそのうちわかるんじゃないかな」


「でも、いろんな種族が入り混じってると見てるだけでも楽しいよね」


 姉さんとシトさんが何やら種族談義に花を咲かせているので参加することにする。


「うん。それは間違いないね。楽しさなら魔族は一押しだよ」


「あ、そういえば後はもう歩いて帰るだけよね?戦闘はなしでもいいかしら?」


「別にそれで構わないよ。狩場のこの混み具合じゃ、よほど近くに湧かないと狩れそうにないからね」


 姉さんが提案しシトさんが了承する。


「それじゃあ、ユー君のキメラ専用アイテムの消費、今のうちにやっちゃえば?現実の時間も晩御飯近いから、街まで戻ってからだとギリギリになるかもしれないし」


「あぁ、そういうことか。うん、ユー君がいいなら使っちゃいなよ」


「うん、ありがとう。それじゃ使える分だけ使っちゃうね」


 僕としても時間に遅れるのは避けたいし、せっかく2人ともこう言ってくれてるから使ってしまおう。


 取り出したるは帰りの道中で集めた専用アイテム、ウルフの肉16個、ウサギの肉6個、青蛇の肉3個。ウルフの肉で3回、ウサギの肉で1回、青蛇の肉で1回、つまりチャンスは5回だ。


「1回目、ウルフいきまーす!」


「おー、頑張ってー?」


 シトさんのゆるい応援を聞きつつ使用する。


〈ウルフの肉を5個失いました〉

〈ステータスがアップしませんでした〉


「ま、まだまだ!」


〈ウルフの肉を5個失いました〉

〈AGIが+1されました〉


「よっし、成功!」


 こうやってステータスを上げられるのを思うと、レベルアップのボーナスポイントを基礎ステータスに2度も振ったのは間違いだったかなぁ。まぁあの時はそれでいいと思ったのだし、考えないようにしよう。


「おぉ、おめでとう。この調子であがるといいね」


 姉さんから応援をもらったが、残念ながら3回目のウルフの肉、4回目のウサギの肉共に失敗。次がラスト、青蛇の肉である。


〈青蛇の肉を3個失いました〉

〈VITが+1されました〉


〈幼体のアビリティレベルが低下しました〉

〈キャラクターの外見が成長します〉

〈アビリティ『混沌の体』から、新たなスキルが使用可能になりました〉


「よし、成こ――――あ」


「あれ、どうしたの?……って、ユー君!?」


「『幼体』のレベル下がった!」


「いや、それよりもちょっと大きくなってるよ!?」


 言われて足元を見やると、確かに一回りほど大きくなっており、ライオンの目線がコボルドの胸あたりからコボルドの首筋あたりに変化している。体格はステータスに表れないが戦闘力において重要なのは今日の戦いで学習したのでこれは素直にうれしい。


 ……断じて現実の身長が150台で止まってしまったこととは関係がない。ないのだ。夢の目線2mとかまったく考えていないぞ。本当だぞ。


「よかったね。ユー君の『幼体』も無事外せそう」


「このタイミングで『幼体』が下がったってことは、キメラの条件の1つは『捕食吸収』の回数かもしれないね。もしかしたら移動距離って線もあるけどたぶん違うでしょ。

 けど、まずはおめでとう。ユー君。これで懸念だった『幼体』の解除に目途がついたじゃないか。いやぁ、よかったよかった。」


 シトさんが早速条件について考察してくれた。そして、自分でも感じられるほどに気持ちが上向いている。どうも弱体補正を外せるかどうかに思っているよりも不安を感じていたらしい。


 二人にお礼を言いつつ、速度は変わらないが気持ち軽やかな足取りで、僕達はヨーツンヘイムの門へと歩き始めた。






この文章は、こんなゲームがあったらいいなという願望と、こんな展開を体感してみたいなという妄想で8割が構築されています。


以下、本文中に乗せると時数の割に情報量が少なすぎてやめておいたステータスについてを置いておきます。あくまでこんなもん程度に考えてもらえると幸いです。後々矛盾するかもしれないので……。

あ、本文でもそうですが、計算間違いとか妙なことになっていましたら報告していただけると幸いです。

種族:ヒューマン

レベル:1

HP:100

MP:75

ST:100

STR:10

DEX:10

VIT:10

INT:10

AGI:10

MND:10


種族:キメラ

レベル:1

HP:200

MP:100

ST:150

STR:20

DEX:0

VIT:20

INT:15

AGI:15

MND:5


名前:ユー

種族:キメラ

レベル:3

HP:220

MP:110

ST:160

STR:24(24+0)

DEX:4(4+0)

VIT:26(24+2)

INT:19(19+0)

AGI:22(19+3)

MND:9(9+0)



それではまた次話でお会いしましょう。


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