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この混沌とした世界で友達が欲しい!  作者: ダストブロワー(缶)
7/8

7

作者!?そんな、エタったはずじゃ!?

残念だったなぁ、トリックだよ


お恥ずかしながら戻ってまいりました。仕事やらなんやらで一度離れるとなかなか字数を増やせずにこんなに遅くなってしまいましたが、待っていてくださった方が一人でいらっしゃったならこれに勝る喜びはありません。


エタったかな?思ったときに感想をもらえると起爆剤になることがわかりました。ちょっとしたことで人間って頑張れるんですね。身をもって実感しました。少し他の人に優しくなれそうです。


2016/12/17 スキル→アビリティに変更


 やってまいりました。西の平原。

 名前の通りヨーツンヘイムから西に出たところにある平原で、股下までの草むらが点在している長閑な風景が広がっている。

 主に登場するのはラビットやウルフといった動物系のMOB(雑魚モンスター)が大半を占め、たまにゴブリンやコボルドといった下位の魔物が出現(POP)する。

 ついでに受注したクエストは【ウルフ15匹討伐】【ホーンラビット10匹討伐】【アオジャウ(青蛇)3匹討伐】と討伐系を中心にいくつかシトさんに見繕ってもらった。


「さて、ここが西の平原。初心者にもおすすめの狩場だよ。チュートリアルから一歩進んだ戦闘の基本を学べる場所だね。

 まぁ慣れてきたらここから少し南にいったところにある森のほうが経験値的には美味しいかな」


 シトさん(ユズねぇ)の解説を聞きつつ、周囲の敵影を探す。


「エネミーを探すときは目視の他にマップを確認するのもいい手だね。マップには自キャラの索敵能力とステータスに応じて周辺の敵やプレイヤーが表示される。斥候キャラとかならから結構広範囲にわたって敵を見つけれるから、パーティにいると狩りの効率が変わってくるというわけだ」


 言われて視界に投影されているマップを確認すると、15mほど先にある草むらの中に赤い点が2つあるのを発見する。


「シトさん、右前の草むらなんだけど」


「おっ気づいたかい?そう、そこに赤点、つまり敵性反応二つあるんだけど、その様子だとわかったかな?毎回パーティーが組めるわけじゃないからね、自分で探すのも覚えておくといい」


 どうやら気づいた上で黙っていたらしい。しかし草むらの中である以上目視は出来ないためここから魔法を撃っても命中させるのは厳しいだろう。


「え?私、見えてないんだけど」


「えぇ~この距離で見えないでござるかぁ?

 とまぁ冗談は置いといて、ミーは巨人系のオーガでしょ?巨人系は戦闘能力の汎用性は高いけど、索敵系の能力がかなり低いの。逆にユー君のキメラは恐らく動物系、動物系は索敵周りが優秀だからね、その差が出てると思えばいいわ」


「そういうことかぁ。じゃあ一緒に戦うなら相性がいいってことだし問題ないわね」


 妙な笑い方で煽りつつ、姉さんがマップで確認できない理由を解説する。つまりは先ほども言っていた索敵能力の差がこういう点で現れるらしい。それはそれとして、そろそろ戦ってみたいので声をかける。


「シトさん、次はもう仕掛けていいの?」


「OK!この辺りの敵なら近づいて攻撃を仕掛ければアクティブ状態になって襲ってくるよ。もし余裕があるなら当てれそうな位置で魔法とか投擲で先制を狙ってみたり、相手に気づかれないように接近して奇襲狙ってもいいかな。

 それじゃ、私はここで見てるから、2人とも行った行った」


 戦闘前に姉さんと打ち合わせ、場所は割れてるのでゆっくりと近づき、敵影が見えたところで僕が魔法を打ち込む。そのあとは流れで何とかするというのが基本方針だ。


 じりじりと間合いを詰める。10mくらいに近づいたところで、草むらのなかに腹ばいになっているウルフ2体を発見。それぞれわかりやすくするため手前側をウルフA奥側をウルフBと呼ぶことをチャットで姉さんに連絡。さぁ、戦闘開始だ。


「メェェェエエエエ!!(アイスボール!!)」


 アイスボールを発動。目標は手前のウルフA(仮称)!

 氷の玉は魔法発動時の声で飛び起きたウルフAの脇腹に狙いたがわず命中した。どうやらこちらの接近には気づいてなかったらしく、悲鳴を上げながらバランスを崩す。魔法と同時に走り出して急接近してきた姉さんに気づいたウルフBが迎撃に向かってゆく。


 僕も魔法発動後には姉さんに続き前線へ上がる。

 ウルフBが姉さんに飛びかかっていくのが見えたが溜めが非常に分かりやすく、あっさり姉さんに盾で打ち落とされているのが見えた。


「こっち倒したら援護に入るから、ユーはそれまで最初の奴を抑えてて!」


「わかった!」


 姉さんの横を走り抜けながら短く言葉を交わす。抑えると言われたがウルフAは既に手負い。フッ……別に、ここで倒してしまっても構わんのだろう?

 ウルフAは既に体勢を立て直しており、目に怒りを映しながら此方を睨んでいる。せっかく加速がついているんだし、初手はこのまま全力タックル!


「せやっ!」


 踏み切って飛びかかる。が、ウルフは既に横に飛びのいており、正面きってのタックルは予想通りかわされてしまった。――だが!もとよりそれは計算済み!着地と同時に2回目の詠唱を開始していたヤギ頭からアイスボールを放つ。


 アイスボールは姿勢を整えようとしているウルフAの横っ面に狙い通り直撃した。これぞ(今考えた)隙を生じぬ二段構えのキメラ式戦闘術なのだ!……うん、キメラの360度全周視界は実に便利だ。ライオン頭で見失っても、ヤギやヘビの頭で常に相手を補足し続けることができるため魔法の狙いがとてもつけやすい。


 魔法が命中したウルフはギャインと鳴き、今度は横倒しに倒れた。起き上がろうともがいているが、頭に命中したのが効いているのかうまく動けないでいるようだ。そして、そんな決定的な隙を晒してくれるのならそれを逃す手はないわけで。


「せいっ」


 体の向きを調整しピャッと飛びかかる。背中側後方から狙い、両手でしっかり押さえつけながら首をガブリとな。残り3割ほどになっていたHPがガリガリと目に見えて削られていく。お互いの体格は僕が大型犬でウルフが中型犬くらいであるため、上からのしかかり、首に噛みついている今の状況は相手にとって増援がない限り詰みだ。


 こっちの目途は着いたので周囲を確認、姉さんの方はどうなっているか確認すると、思ったより近くで、棍棒を肩に担ぎながら笑いながら此方を見ていた。僕が見ていることに気づくと軽く手を振ってくれたことから察するに既に戦闘は終わっているようだ。

 あれ、援護は?と思ったが、よく考えたらこれだけ密着した状況で姉さんの棍棒での攻撃は下手すると邪魔にしかならない。そこが分かっているからこそすぐに踏み込める位置での待機なのかな。


 そうこうしているうちにウルフのHPがなくなった。結局魔法2発と噛みつきしかしていないが勝ちは勝ちだし良しとしよう。


「はい、2人ともお疲れちゃーん。

 うんうん、危なげなくて安心だ」


「思ってたより簡単ね。盾で受けてから頭叩けばすぐじゃない」


「そりゃあそうさ。ここは初心者向けなんだから強かったら困るよ。

 ウルフの弱点は頭で、スタンもしやすい。ミーの装備と種族だと相性的にはかなり優位なんだよ?」


 なるほど、姉さんの方が早く決着がついたのはそういうことらしい。


「さて、それじゃ続いてドロップの確認しようか。チュートリアルでもやったけど、敵を倒すと自動で所持品に放り込まれるのが基本ドロップ枠、そのあと倒した敵に触ることで追加ドロップの抽選があるんだ。パーティメンバーが倒した敵ももちろん基本・追加ドロップがもらえるから忘れないようにね」


 というわけなので、皆で忘れないうちにドロップアイテムを回収する。基本ドロップで『ウルフ皮の欠片』が二枚、追加ドロップで『ウルフの小さい牙』『※ウルフの肉』をゲットだ。


「シトさん、そっちのドロップどう?こっち皮の欠片と小さい牙が2個だったんだけど」


「こっちは皮の欠片が3つとアイテムなしが1回だね。追加ドロップについては戦闘での活躍が加味されるらしいから、今回見ていただけの私だとこの程度かな」


 姉さんとシトさんがドロップについて喋っているので混ざりに行く。ついでに『※ウルフの肉』という※印のついたキメラ専用アイテムについて伝えておかないといけないし。

 うむ、我ながら実に自然な話題の振り方だ。これは着実にコミュニケーション能力が向上していると言わざるを得ない。


「僕の方も皮の欠片が2つと小さい牙1つ、あとはキメラ専用のウルフの肉が1個でたよ」


「へぇ、やっぱり定番の肉があるのね」


 と、姉さんが言い、


「キメラ専用?ユー君、悪いけど詳しく教えてもらってもいいかな?」


 シトさんはどういうものかが気になる様子。肉の説明にもなるし、キメラのアビリティ『捕食吸収』について説明をしておこう。






「なるほどねぇ。それじゃキメラは雑魚狩りで経験値とステータスを上げるのに優れてるとみていいね。……となると、お使いクエストとかをレギオンで受けるのは出来るだけやめて狩り一本が性能的には最高になるっぽいか?

 ん?ああいや、別にその手のクエストを受けないほうがいいってわけじゃないよ?好きなように楽しんでこそのゲームだし。ただ、ゲーマーの悲しい性でね。効率とか性能が頭にちらついちゃうのさ」


 どうやら不満が顔に出ていたらしい。気になっていたことをシトさんに先回りして言われてしまった。


「そうそう、トップ目指すったって私たちは既に1週間遅れなんだし、肩肘張らないで好きなように遊んだ方が絶対良いよ。

 アビリティと言えばさ、キメラって他にはどんなスキル持ってるの?」


 ぐぬぬ、姉さんにもフォローされてしまった。気の利く親友ポジのいい男への道のりはまだまだ遠そうだ。

 それはそれとしてアビリティは……っと


「えっとね、さっき言った『捕食吸収』でしょ、後は『混沌の体』『野生の体』『氷魔法』『幼体』の合計5つなんだけど、姉さん何かわかる?」


 一応チュートリアルでざっくりとした部分は聞いているし、詳細呼び出しでアビリティを見ることもできるが、説明文は短く意図的に伏せられていると思しき情報も見え隠れしているのが気になる。こういう時は経験者の意見に耳を傾ける必要があると思う。


「あ!『野生の体』ならわかるよ。確か、牙や爪、手足を使った攻撃にプラス補正がかかるアビリティで『剣』とか『盾』みたいな装備系アビリティの一種だったはず。それと、『氷魔法』も属性魔法の一種だったかな。確か攻略サイトの属性魔法一覧に載っていたと思う」


 なるほど、そういえば確かに攻略サイトにスキルのページがあったのをうっすら覚えている。後でチェックしておかないと。ちゃんと起動できるか不安で公式ページばかり見ていたのは失敗だったかも。


「シトさんの頼れる先輩キャラ的にも残り二つについて教えてあげたいんだけど、残念ながら私には『幼体』の説明しかできそうにないかな」


「ううん、そんなことないよ。1個でもわかるなら是非教えてほしい」


 実際問題『幼体』のアビリティ説明はよくわからないのだ。最初からスキルレベルが10もあるし、説明文には〈通常個体の成長の過程である幼い状態。全てのステータスにスキルレベルに相当するマイナス補正を得る〉とあり、マイナス効果があることと、アビリティレベルが高いとその影響が大きいことしかわからない。


「んじゃあ説明するけど、その前に『幼体』のアビリティレベルはいくつ?3かな?それとも5くらいある?」


「『幼体』だよね?レベル10だけど……」


「10!?レベル10かい?それはまた……。

 『幼体』のアビリティは現状確認されてるスキル群の中でもかなり珍しいデメリットでしかないアビリティなんだ。メタな深読みすると運営のバランス調整とも言えるかな」


「そんな罰ゲームみたいなスキルがなんで実装されてるのよ!ユー君だけ不利じゃない!」


 姉さんが声を荒げながらシトさんに詰めよる。


「いや、だから恐らくだけどバランス調整なんだってば。『幼体』はアビリティのレベルに応じた弱体補正がかけられるんだけど、逆に言えば弱体補正をかけないと強すぎるってことなんだ。掲示板だと、レア種族に当たって上位種でゲーム開始すると自動習得されてることが多いから、他プレイヤーとのキャラの性能差が開きすぎないようにするための措置じゃないかって言われてる。

 ユー君のキメラもそのアビリティがないとレベルに比べてかなり強くなってしまうんじゃないかな」


「なるほど。確かにそれだけ弱体補正かかってた割には、僕でもウルフを倒すの簡単だったし、そうなのかも」


 むしろ補正がないとただの蹂躙になるのではないだろうか。通常キャラでやってて、横でそんな蹂躙劇されるとやる気が萎える人も出そうだし妥当なところかもしれない。


「それは、そうかもしれないけど……。というより、その幼体っていうの解除できるわよね?」


 姉さんはいまいち納得しきれてないご様子。それに姉さんの言うことも一理ある。このアビリティ、解除は出来ないと困る。今でこそ問題ないが、今後この補正がこのままだと足を引っ張る可能性は高い。


「もちろん解除できるさ。段階的にアビリティレベルが下がっていって、最終的には解除されるとみていい。ただまぁ条件があってね、レベルアップが必須なのはほぼ確定なんだが、他にも何か条件がありそうなんだよねぇ。

 レベルだけで解除されない例だと、レア種のエメラルドハーピーに『幼体』がついてたけど、レベルアップだけだと解除されなかったんだ。」


「なるほど、なるほど。

 で、シトさん的に分かりやすくまとめると?」


 外せるならよかった。条件については不透明だけど運営もそこまで変な条件を付けてないと信じよう。


「レベル

 上げれば

 OK」


「……わかりやすいけど端折りすぎだと思うわよ」


 姉さんが呆れ顔でつぶやいた。


「なに、プレイしてればなんとかなるもんさ。『混沌の体』についてはすまないね。なにぶんキメラが珍しいから情報もなかなか」


「全部教えてもらったらそれはそれで詰まらないと思うし、これくらいで丁度良かったんだよ。きっとね。

 よし!ちょっとお喋りしすぎたし、そろそろ狩りに戻ろうよ!」


 弱体解除にレベル上げ必須となれば、これはもう狩りに戻らざるを得ない。いざ究極完全体グレートキメラ目指して全速前進だ!




――――――――――――――――――――




「いやぁ、うちの甥っ子マジ天使。世界中の男がユー君なら戦争はなくなるんじゃない?」


「そりゃあそうなるだろうけど、独占したい気持ちもあるのよね。姉としてそんなのは駄目だとは思うんだけどなぁ」


「それはもう仕方ないよ。大天使ユー君だもの。けど、あの子が友達とか作ったら認めてあげなよ?」


「うん、わかってる。私の気持ちよりユー君のほうが大事だもん」


「ならばよし!それじゃ私たちも行くとしようか。楽しみにしてくれてるみたいだし」


「もちろん、言われなくても行くわよ。せっかくの機会なんだしユー君には楽しんでもらわなくっちゃ。それに私もレベル上げないと」


あべこべ要素が足りないなーと思いつつ、番外でなんかそういうの書こうかなと思いつつ、なんやかやほったらかし。そのうち書こう。うん、そのうち。無理に書こうとしても指が止まっちゃうしね。仕方ないね。


拙作における設定の一部。というか決めきってないで後付けする可能性が大なため、まぁこんなもん程度に眺めてくだされば幸いで、読み飛ばしてもたぶん問題ない予定。後々矛盾が出ても許してね?


MOB定義。個体を指す固有の名詞を持たず、同一個体が同時に複数存在するもの。


ステータスについては一部サイト様を参考にしながらメモ帳に殴り書きしたものをそのまま貼っておきます。果たしてこれらの設定が日の目を見るのかどうかは疑問が残りますが。


HP(Hitpoint)は、対象の体力を数値化したもの。説明不要な暗黙の了解。0になるといわゆる死に戻りが発生する。

MP(Magicpoint)は対象の魔力を数値化したもので、魔法や一部スキルを使用した際に消費される。

ST(Stamina)は対象の持久力を数値化したもので、0になると行動が鈍化し、魔法やスキルの発動が不可能になる。


STR(Strength)は力を意味する。攻撃力が上がるほか、一部装備のデメリットを防止することもできる。防御力の判定にも使用される。STの自然回復はここで判定が行われる。


DEX(Dexterity)は器用を意味する。命中率に影響するほか、道具の取り扱いや装備品のダメージのブレ幅の上方補正を得られる。また、制作系技能ではここでの判定が多く求められる。加えて若干ではあるが回避判定にも影響する。


VIT(vitality)は生命力を意味する。防御力やHPに影響するほか、HPの自然回復速度の判定に用いられる。状態異常に関する判定もここで行われる。魔法による状態異常はMNDで判定を行ってからこちらで再判定。


INT(Intelligence)は知力を意味する。主に攻撃魔法の威力に影響するほか、道具などの取り扱いや効果にも影響する。また、MPの自然回復速度はここで判定が行われる。


AGI(Agility)は素早さを意味する。回避力や命中率、攻撃速度や移動速度に影響する。


MND(Mind)は精神力を意味する。MPの最大値や回復魔法に影響する。相手からの魔法への抵抗力もここで判定が行われる。




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