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魔法使いになりたくてもなれやしない  作者: ろっけん田村
2/2

今の現状に不満はある

夏。


夏は暑かった記憶しかない。


高校生二年の夏といえば、リア充展開とかが待ってると思うんだ!

と思ってた時期が俺にもありました。


今は秋。


夏休み前に怪我して入院して、そのまま夏休みが終わっていた。


まぁ、クラスでも浮いている俺なんかが居なくなったって世界は周り続けているんだ。


高校生二年の田村竜たむら りゅうは卑屈になりすぎていた。


昔からスポーツが苦手で、遊ぶのは独りでテレビゲーム。


昔は幼なじみと遊んでいたりしたが、いつからか疎遠になっていた。


「ほんと。なんでこんな人生歩んでるんだろーな俺…」


別に人と話すのが苦手とかじゃないんだけど、なんか浮いてしまうんだよな。


学校ではオタクって隠していたはずなのに、何故かばれているっぽいし。

クラス居づらくてしょうがないし、ちょうどよかったのかもしれない。


退院した時は親も学校に行けとうるさかったけど、今は諦めてるらしく何も言われなくなっている。


もうすぐ11月になろうとしているが、俺は家でネットの書き込みと、ネトゲ、たまーに動画を観たりして過ごしている。


この生活がいつまでも続くわけがない。


そうわかっていても今更学校に行くのにも抵抗がある。


「いっそ時が戻れば、人世やり直しができたら…」


最近はそればっかり考えている。


それが出来ないとわかってるからやってられなくなる。

もう学校退学したほうが良いのだろうがな…


とか考えていたらもよおしてしきやがった。

トイレ、トイレっと。


ガチャ、ガタッ。


ん?何か扉の前にあるな。何だろ?


確認すると、それは小包だった。結構重い。


「母さんが置いたのか?ん。俺宛てになってる…な」


間違いなく田村竜宛てになってる。えーと宛先は…


「書いていない…か」


怪しい。が、中身が気になってしまう。

一度気になると、確かめないと気がすまないんだよね。

トイレに行きたいけど、中身だけ確認しようっと。


そう思い、小包を机の上で開けてみた。


だが肝心の中身は期待ハズレもいいとこだった。


「原稿用紙って…俺、小説とか書くの興味ないんだけども…」


実際はちょっと興味があった。でも、それは昔の話だ。

しかも原稿用紙の量がハンパじゃない。

どうりで重いわけだ。

でも。


「真っ白な、綺麗な原稿用紙だな。とても安物とは思えない、紙質も肌触りが良いし。なんで俺なんかに届いたんだろ?」


気づいたら原稿用紙を触っていた。本当はトイレに行きたいはずなのに、俺は原稿用紙を無意識のうちに触れていた。


「なんだろ…なんか眠くなってきた……」


急に。急に眠気が襲ってきた。


意識が遠のく中、風が吹いたと思った。

なんで室内で閉め切っているのに風が吹いたと思ったのか。

それは目を閉じる瞬間、原稿用紙が綺麗に舞ったからだ。


それも爽やかな風が吹いたように。


まるでこれからの人生に明るい未来が待ってると思わせるかのように。


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