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夢の世界
夢をみていた。
とても。とても悲しい夢だったような、とても懐かしい夢だったような。
ただ覚えているのは、独りの少女が真っ白な世界で佇んでいた。
俺は声をかけようとしたが、少女にはこちらは見えていないようだ。
何度繰り返しても同じか…
そう思った時。彼女は俺に気づいたかのように振り向き、悲しそうな顔を向けていた。
「私は大丈夫だから」
彼女はそう言ったように思えた。
気のせいだったかもしれないし、違う言葉だったかもしれないけど、俺にはそうしか聞こえなかった。
彼女が何かしゃべった後、白い世界は一瞬にして黒い世界に変わっていった。
夢の中にしてはあまりにもあっさりしていて、起きたら忘れてしまうとおもっていた。
でもそれはきっと
「忘れちゃいけないことだった」
いつか後悔してしまうと、そう思う自分が想像できた。
そこで、意識は覚醒する。