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『動けない身体』

「な、んなんだ…この娘は……」


麻痺して動けない俺の身体を隅々まで堪能したらしい宮瀬さんは俺の隣ですやすやと眠っている


あんなところやそんなところまで触られた…


もうお婿にいけないっ!


とまあ、変な体験をした俺だけだけど………うん、どうなるんだ俺?

なんかいつのまにか編入届とか書かれてたし………

って待て!!

ここお金持ち学校だぞ!!?


そんなとこに普通の家庭に生まれた普通の一般人には入れなくね!!?


「何がどうなってやがる…

……そういえば俺の身体ってこれから二日間麻痺ってるとか言ってたよな?

………そして明日から…モテ期戦争みたいなのが始まる……


あれ?俺って無理ゲールート突入してね?」


今さら気づいた本当の状況

遅すぎる


「モテ期戦争?」


そんな疑問系の言葉が隣から聞こえた


………起きてたのか


「あ……えっと…まあ、気にしないでいい──」

「貴方も参加者……なの?」

「……も、って………宮瀬さんも…?」

「…はい」


………マジかっ


「そ、それじゃあライバルってやつですね!俺たち!」


……何をいっているんだ俺っ!!?

なんでわざわざ敵みたいなことをいってしまうんだ!


「でも…恐らく私はすぐに負けてしまいますから」

「…どうして?」

「見ての通り私は病弱ですから…そんな戦いなんてしたら倒れてしまいます」

「……そっか……」


………ん?


「…今の俺の境遇って君と似てね?」

「……ふふっ!た、確かにそうですね!」

「つーと…やっぱり俺もヤバそうだ…

まあ……なるようになれだ」


……マジでどうするか……


なるようになれとかいってるけどそんな不確定なことを俺はしないさ!

………なにかできそうなこと……どうにか動けるようにはならないと………


あ、別に簡単じゃね?


金属変操オパニションオブメタリック


これ現実世界でも使えるんだよな?


「………俺の異能?でなんとかなるかもしれない」

「…異能…ですか?そういえば私も持ってましたね…」

「そういえばって…結構な激痛がありましたよね?」

「そうですか?あのくらいの痛みなら私は何度も味わったことありますし…」


不憫な娘だ…


「さ、さいですか…

ところで宮瀬さんはどんな異能なんですか?」

「個人情報です…」

「は、はあ……まあいいか…

俺は金属を自由に操れる異能らしい…から…」


ベッドをほんの少しだけ浮かせる

ベッドの接続部分とかマットレスとかに大概金属は入ってるからな


「こんなこともできるわけです」


正直……便利だ


「あわわわわ……浮いてる!浮いてます!」

「このまま移動することもできるし金属部分を抜き出すこともできるらしい」

「とても便利ですね!!こんな能力なら移動教室のときに倒れる心配が無くなります!!」


こういうのは反応に困る


俺はベッドをゆっくり下ろす

そして、思ったことを口にする


「…本当に病弱なんですね」

「大変なんですよ?ちょくちょく貧血で倒れるのは」


なんだかほっとけなくなってきた…この人


「……なら、学校にいる間は俺が運びましょうか?」

「………え?」

「……あ、いやいや、直接じゃなくて異能でですよ?」

「……とても魅力的な申し出ですが………………………出来るんですか?」


断らないんかい


「たぶんできると思いますよ?流石に色々と仕込ませてもらいますが……」

「………いいんですか?…………じゅるり」

「もはや断る気まったくないですよね?」 

「はい」

「言い切っちゃったよこの人……まあ、全然いいですよ、俺は」

「それで…仕込みと言うのは……」

「えっと…靴に金属のコーティングをするとか……あとは……できるだけ負担をかけないように腕輪か指輪をつけてもらったり…制服に極小の鉄粉を含ませたりとかですかね」

「靴に金属のコーティングというのは?」

「歩かなくてすみます」

「制服に極小の鉄粉を含ませたりとは?」

「制服ってちょっと重たいじゃないですか、だからその重みを感じないようにするための細工です」

「ゆ、指輪って……」

「腕輪もですが…

腕の重さを無くすことですかね、ぶら下げてるだけでも重く感じることってあるじゃないですか」

「……な、なるほど

…なら腕だけじゃなくて全身とかは…」

「全身に金属コーティングは無理ですから、頭も負荷を掛けないようにしたいんですが、どうしても頭につける金属は一部分過ぎてあまり使えなくて」

「一部分?」

「ヘアピンとかヘアゴムとか、イヤリングとかピアスとかですね、その辺を使うと髪の毛や耳にしか作用しないんでアウトなんです」

「色々考えていただけたんですね…」

「やるからには徹底的に、です」

「優しいんですね、紀伊祠さんは」

「いや、宮瀬さんをほっとけないだけです」

「………………へっ!?」


……へ?

なにが?


「いゃあのあわわわええっ!?」


呂律が………

急にどうしたのだろうか


「だってまだ私たちお互いになにも知らないですし私も少しだけ気になってはいますけどでもですね!流石にやっぱり早いと言いますか!!」

「お、落ち着いてください!」


早口で全然聞き取れん


「落ち着いてなんていられませんよ!だって!だって!きゅぅー」

「きゅう?」


その言葉を最後に宮瀬さんから声が聞こえなくなる


どうにか首を動かして宮瀬さんを見ると顔を真っ赤にして意識を失っていた……


「ええー、何だったんだ今の」


なんか変なこと言ったかな………


自分の発言を思い返す……そしてすぐに見つかる


『いや、宮瀬さんをほっとけないだけです』


………もはや告白じゃねぇか!!


「やっ!さっきのは違うんです!告白とかそういうのでは決して………って、意識もうないんだった……」

「………告白?」


第三者の登場


い、いつのまに!


保健室内にすでにここの学生とおぼしき少女は立っている。

小柄でブラウンカラーの髪

外人さん?


「ど、どちらさまで?」

「今朝お会いしましたよね」


………今朝……こんな少女と………会った?


…………………


「………あっ!!テンプレブレイカー!!」

「なんですかその不名誉な名前は!」

「そりゃあそうだろ!だってあんなテンプレな状況で誰がスタンガンを使われると思うんだ!」

「スタンガンなんて使ってない!!」

「いや使ったろ」

「使ってない!!断じて!決して!!本当に!!」

「………実際俺気絶したけど?しかも麻痺までしてるんですが?どんだけ出力上げてるやつ使ってるんだ」

「私が持っているスタンガンは特注ですがどこに当てても気絶するくらいしか出力は出ないわよ!!」

「………持ってるのか」

「当たり前じゃない、いつどこで襲われるかもわからないのよ?」


………当たり前なのか

強化スタンガンは通常装備なのか

お金持ち学校こわっ!


「…………不覚にもあの時……一瞬だけドキッとしちゃったのに………」

「……え?」

「難聴ですか貴方は」

「いやちがうけど……なにか伝えるには声が小さすぎると言うか……」

「もういいです!とにかく私はスタンガンなんて使っていません!これは事実です!」

「…………じゃあ……お前も……参加者で異能を持ってる…ってことか?」

「ええ、そうですよ

あたしの異能は雷痺製操ショックアルビレイトと言うやつらしいです」

「……それか」

「…………すみませんでした」

「急に謝るね、謝罪の気持ちなんて一切ないとおもってた」

「いえ、私の異能が勝手に発動してしまったとはいえ、ほとんど私が悪いわけですから」

「まあ、元々俺がぶつかったのが悪いんだけどさ………

あ、あの後大丈夫だった?ぶつかったけど倒れて怪我とかしてない?」

「そっちも急に優しくなるわね?

ええ、大丈夫よ、ほんの少しだけ肘を擦りむいたくらい──」

「えっ!?ご、ごめん!!」

「…いや、そんなに申し訳なさそうにしなくても…私の方が酷いことをしてしまったのだから………」

「でも、女の子の肌に傷を負わせるとか男として最低なことを…………ごめん」

「だから、これくらいいいんですって!

どうせ、これから一緒に暮らすんですから!」

「……………………は?」

「貴方はこれから『あたしたち』の家で使用人として住み込みで働いてもらいます」

「…………」

「貴方の両親も快く承諾してくれて…」

「…承諾したの!?」

「はい、ここの高校の卒業まで学費とその他もろもろの経費を負担する代わりに貴方をうちで働かせますといいながらアタッシュケースをお渡ししたらそれはもう喜んで……」

「アタッシュケースの中身は?」

「重かったです」

「おい中身は?」

「重かったです」

「…………万札か」

「………なんのことやら」

「俺はあんたに売られたのか」

「そういうことになりますね」

「……ええ…マジでなにそのラノベ展開…二次元は二次元だからこそ面白いのであって本当になるとものすごく大変ってとある小説であったな………本当だったのか」

「その小説も二次元でしょうが」

「…………確かに…ならこれも二次元か」

「現実逃避しない、そもそももう貴方に権限はないのよ」

「…………まあべつにいいか……

ちょっとだけあの学校にも未練はあるけどさ

あ、そうそう、一つだけだけ俺に権限をくれ」

「なにをかしら?」

「宮瀬さんを足を俺にやらせてくれ」

「…………………変態かしら?」

「なわけあるか、俺は宮瀬さんが学校で生活する間、能力で楽をさせてあげたくなっただけ」

「その時彼女に何て言ったの?」

「えっ?聞いちゃうの?……聞かれたくないんだけど…」

「何て言ったの?」

「怖い!怖いから!

いや、俺は宮瀬さんをほっとけないだけですって言った……

後から気づいたけど凄く──」

「それで告白…ですね」

「………そういうこと」

「…………はぁ……この…姉は……いつもいつも…」

「……は?姉?」

「…………まあ今回は許してあげるか…

その権限、認めてあげる代わりに…」

「ふわぁ……なんか…瑞枝みえちゃんの声がするぅ……」

「この病弱姉を家でも面倒見てあげて」

「……あれ?それって家でも学校でも宮瀬さんの補助をするってことだよな……もはや権限と言うか……仕事になってない?」

「それでいいじゃない、お姉ちゃんの名前を呼ぶときは様付け、あ、あたしは砕けた呼び方で読んでもいいんだからね!」

「お姉ちゃんもそっちがいいー」

「駄目!お姉ちゃんと或樹にはちゃんと主従の関係をしっかりしてもらいます!」


呼び捨て!?

なんなんだこの娘は!

どうしてそんなに急に親しく出てれるんだ!?

そのスキルは俺も欲しい!!


「あ、或樹って……」

「あたしはそう呼ばせてもらうわね!!

あたしとは主従じゃなくてパートナーみたいな、お互いをお互いで支え合うみたいなそういう関係でいきましょう!…………そしてそのまま人生のパートナーにさせてみせる!」

「聞こえてる聞こえてる!

なんで俺にそこまで肩入れするんだ、俺とお前は会ったばかりだろう!?」

「…………え?」

「なにその間隔、会ったこと会ったっけ?」

「……5年前に」

「5年前?……小5位か……うん…全然思い出せん」

「或樹の親の工場…………あるちゃん」

「あ…るちゃんだとっ

それはうちのお得意様だった宮瀬様が連れてきていたみゃーちゃんが俺を呼ぶときの!」

「そうだよ!そのみゃーちゃんだよ!!」

「………みゃーちゃん」

「あるちゃん!」

「みゃーちゃんはもっと小さかったよ?」

「五年も経てば成長するわ!!」

「あと、みゃーちゃんは人見知りで俺ともあんまり話さなかったような……」

「恥ずかしくて話せなかったの!!」

「そもそもみゃーちゃんブラウンカラーの髪だったっけ?」

「全然覚えてないじゃない!!」

「冗談冗談!最初で最後の友達を忘れるわけないだろ?」

「最初で最後って……あの頃から他に友達は出来なかったの?」

「おう、誰とも仲良くなれなかった!」


言ってて辛くなって来ないのはもう慣れているからだろうか?


「え?ほんとに?」

「ほんとに」

「………不憫」

「大丈夫、慣れた」

「私はもう或樹君と友達だよ?」

「お姉ちゃんは先輩、友達とは違うから!

或樹の友達はあたしだけで十分よね!」

「悲しいかな、って言葉だけだけど

好きな娘はいたんだけどね、こんな俺がおこがましいとばかりに一瞬で諦めたよ」

「………あたしの前で好きな娘がいたとか言わないでほしかったな」

「まあ、いいじゃん?諦めたし」

「どんな娘だったの?」

「ちょ!お姉ちゃん!そんなこと聞かないでよ!」

「どうして?或樹君の理想が分かるかもよ?」

「理想が高かったらあたしもう立ち直れないっ!」

「でも、或樹君、私をほっとけないみたいなこといってたから……私も或樹君の理想に近いのかな?」

「理想……俺は見た目の理想なんてそんなのはないですよ?」

「え?」

「俺は俺と一緒にいてくれる、それか、俺が一緒にいたいと思える、それだけかな」

「ふ、ふーん?つまりあたしも或樹の理想に含まれてるんだ?」

「そうだな、お前だけだからな、俺を友達だと思ってくれていたのは」

「わかんなかったくせに」

「それは、ごめん」

「でもまあ許してあげる

ってことでそろそろ帰ろっか

お姉ちゃんと一緒に寝転がっているのを見るとなんだかムカムカするから」

「………俺動けないけど?」

「能力使いなさい、或樹はあたしのものなんだからね」

「…………はあ、これから大変そうだ…」

「今日はお姉ちゃんはあたしが連れてくから、或樹はなんとかついてきてね」

「わかったよ」


そういえば………

MOTE period competitionってパーティー組めるっていってたよな


「なぁ、宮瀬」

「みゃーちゃんでもいいのよ?」

「んじゃあ、瑞枝、この三人でパーティー組もうぜ?」

「………元々そのつもりだけど?」

「さ、さいですか」


どうなるのやら、これから


そして、頑張ろう


モテるために


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