『非日常』
開幕とかいわれたけどさ…
まだだれも行動をしようとはしない
そりゃあそうだ。
まず何が起こったかわかんない人たちだらけだろうよ。
俺を含めて。
てか、いきなり誰がを攻撃すれば恐らく攻撃した張本人が他の人たちから集中砲火を食らうんじゃないか?
人間は共通の敵がいれば団結して排除する。
結構そういう面があるから
なので今は敵にならないように警戒しとくしかないんじゃないか?
「あ、今日は覚醒だけだからお開きでーす」
ガクッ!
「んだそりゃ!!開幕とか行ったのお前じゃねえか!」
「まあまあ、落ち着いて
始まっているのは確かだから!
君らの視界の左下にちっちゃいピエロマークが出てると思いまーす
それを指で触るとMOTE period competitionのルールが載っているので後々ご確認ください。
それでは!皆さん!ガンバッテ!!」
そのピエロの言葉が言い切られた瞬間
不思議な感覚に襲われた。
なにか、現実味を帯びすぎてる夢から覚めたような……
あ、戻ってきた
辺りの学生や大人達が一斉に現れ世界は動き始める。
「っ!どうなってんだか」
周囲にはまばらにだが同じように頭を抱えるものもいた
同種かな?
「はぁ、まあいいか
たぶん明日の昼になったらわかんだろ……
そういえばこの世界でも能力は使えるって行ってた気がするけど」
今はこの場を立ち去る方が先決…いや、そもそも学校行かないと
私立陵唆高等学校
それが俺が通っている高校である
生徒数500人ほどのなんのへんてつもない高校
あ、結構……いやめっちゃ可愛い娘が多いよ?
対象にムカつくことにイケメソも多いけどな!
誰とも仲良くなったことないけど
みんないい人過ぎて…なんか違う世界の住人って感じがして…話そうとするとうまく口が、喉が、機能してくれない。
他の人たちなら話せるんだけどなぁ……
イケメソや美少女に悪役どころか小悪魔すらいないし、少しは悪ぶって欲しいところだ
皮肉を言い合ったり悪ふざけをして一緒に怒られたりとか悪友って言う方が俺にはあってそうだし
そっちの方がいい
……はぁ
とぼとぼと俯いたまま歩く俺
目の前なんか見ていなかった俺はその目の前に立っていた女の子に気がつかなかったのも当然だった。
ドッ
「きゃぁ!…」
「おわっ……ご、ごめん!」
そんなテンプレのような出来事を体験した
そして倒れそうになる彼女の手を咄嗟につか……
「ぎゃぁあああああ!!!?」
テンプレは崩壊する
その瞬間俺に焼けるようなそんな出力の電気が全身に流れ身体に走るそれはまさに雷に撃たれたかのようで……
それ以降考えることは不可能となりそこで意識は途絶えた。
「ここは……見たことあるような部屋だ……ああ、保健室かな?」
白いカーテンが回りに掛けられ少し動くだけで軋む音がする安物パイプベッド……じゃない!?なにこれ!?どんな高級ベッドだよ!?
寝心地がとてもいい
ふかふかしてるし、もうまさに金持ちのベッドって感じでヤバイ
ここはどうやらウチの学校ではないようで……いや当たり前だ、こんなベッドウチの学校にあるわけ無いしそもそもここの天井の模様が見たことがない。
……あれ?どこ?
「目が覚めたようね?陵唆高校の生徒さん?」
そんな声が近くから聞こえてきた
声色的になんか妖艶な感じがする
シャーと共にカーテンが開かれる
「おおっ!?超美人!?」
「目覚めて第一声がそれとはいい子じゃない」
そこにはインテリ系女教師+保健室の先生を合わせた美女がっ!
「ははははじめまして!俺!いや僕!いや私は紀伊祠或樹と申します!!」
「うふふっ、可愛いわねぇ
私は笠祓嶺鴉、ここの養護教諭をやらせてもらってるの」
「嶺鴉さんですね、いえ、もしよかったらお姉さんと呼ばせてもらっても!!?」
「……もう一回お願い」
「えっ?ああ、はい!もしよかったらお姉さんと呼ばせてもらってもいいですか!」
「ダメよ」
ならなぜもう一回言わせたんですか
「ううっ、やっぱりそうですよね…」
「固すぎるわ、もう少し変えてくれたらいいのだけど?」
「お姉様?」
「っ!…ふぅ……もうちょい柔らかく」
「お姉?」
「惜しい!もうちょい前!」
「…お姉ちゃん?」
「ビンゴッ!」
グッ!と俺に向かってサムズアップをするその美女
そして、その背後から声がかけられた
何処か見覚えのある制服である
何より、可愛い
恐らく病弱系美少女だろう
身体のラインはややほっそりとしており袖口や首元から覗く肌はとても白いと言えるだろう。
だが、出るとこは出てる
「何やっておられるんですか?笠祓先生?」
「ん?おお、宮瀬さんか、どうしたのです?」
「その、私どうにも体調が優れなくて…
それで休ませていただけないかと思ったのですが」
「そうだったの?
だけど見ての通り今は使用中なのよ」
………ん?
「だからごめんなさいね」
「ちょっと待ってください?使用中って俺が寝てるベッドのことですよね?」
「それ以外にあると?」
「他のベッドは?」
「ないわ」
即答っ
こんなに高級ベッドを扱ってるからか?
流石にそんな予算はないってことなのかね
それはそれでどうかとはおもうけど
「なら俺が退きますよ、元々俺は厄介者でしょうし」
そんな感じで軽く起き上がろうとした。
が、上がらなかった。
「あれ?」
「起き上がることはできませんよ
或樹君の身体は今麻痺してますから」
「……麻痺?」
「そう、麻痺」
「………へ、へぇ?あんまり面白くない冗談ですね?」
「動揺してるってことはそれなりに信じているようですね?」
「それでも冗談ですよね?麻酔か何かですよね?」
「麻酔も麻痺でしょうが…」
「…あっ!んじゃあ、変なキノコとかっ!」
「……頭も麻痺してるようね?」
「いやいやいやしてないですから!」
どうしようどうしようどうしよう!
何でこんなに不安になるんだ!?体が動かないって!
「あっ!いいこと考えた」
これはヤバイやつや
俺にはそれは限りなく恐ろしく聞こえた。
大抵それは悪い方向に向かう言葉なのだから
「先生?なにをっ?」
嶺鴉先生は休みに来た宮瀬さんと呼ばれた生徒の背後に回ると耳打ちをした
その行動は俺を更に不安にさせる!
「あの?なにを話していらっしゃるので?」
………
スルーですか、そうですか、そうですよね!そのための耳打ちですもんね!!
「ええっ!?そんなのは!」
「いいじゃない、またとない機会よ?」
「でも流石に見知らぬ男性ですし…」
「大丈夫、彼、あと2日間は動けないから」
「2日間!!?まって!?お姉様!?『お姉ちゃん!』…お姉ちゃん!どういうことですか!?てか俺学校があるんですけど!!?」
「学校?ああ、安心しなさい、貴方は今からこの学校の生徒ね」
「何その急展開!!?」
「編入届もここに…」
ピラッと胸ポケットから出された紙には勝手に書かれた俺の名前と父の名前+印鑑が
おかしい
「なんで!!?ちょっ!俺そんなの知らないんですが!!?」
「それじゃあ、ごゆっくりー」
「なにを!?」
「………」
嶺鴉先生はなんだかとんでもない言葉を残し保健室を後にした
のに、宮瀬さんはもじもじしながら立ち去ろうとはしない
…………?
「あの?えっと…宮瀬さん…でしたっけ?」
「は、はい…」
「何を言われたんですか?」
「………私も一緒に休んでもいいですか?」
「……は?」
「貴方の隣をお借りしたくて…」
「………いやいやいや、おかしいよね、これこそ一番おかしいよね!どこのギャルゲーだ!?」
「私の名前は宮瀬朱瑠と言うんですが…少し隣をお借りします…」
ごそごそと入ってくるその宮瀬さんはほんとに色々おかしい!
「マジで何しようとしてんの!!?」
「これを機に男の子の生態というものを存分に堪能してきなさいと先生が…」
「何考えてんだあの人!!?」
「ということですので………抵抗しないで………くださいね…」
「できないんだよ!!?」
「それじゃあ……イタダキマス」
「何を!!?」
無抵抗な俺に魔の手『年頃のお嬢様』が掛かる……