表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界野口加藤  作者: 卯上
プロローグ
1/14

00:あ、野口です

「え? あ、野口です。ノグチ・キミヤス」


 加藤はそう言うと「読み書き出来なくて……」と、申し訳なさそうに手触りの粗い紙を差し戻した。

 差し戻された方、長い橙の髪をひとつにまとめ上げた見た目二十歳くらいの女性は、特に表情を変えることなく笑顔のまま「構いませんよ。そういう方も少なからず居ますから」とその紙を受け取り、自らの方へとくるりと回す。


「では、私が代筆させていただきますね。お名前がノグチ・キミヤス……」

「あ、この国だと家名は後ろにきますか?」

「え?」


 加藤の言葉に手を止めて顔を上げる受付嬢。そこには疑問が貼り付いている。


「ええ、そうですが……」

「じゃあすみません、キミヤス・ノグチで」

「は……?」


 貼り付く疑問を大きくした受付嬢に負けじと、加藤もその申し訳なさそうな表情にひとつ、困惑を継ぎ足す。


「文字も、言語も文化も違う、本当に遠くからきたもので……」


 喋りつつ、加藤は内心で「異世界ですけどね」と付け加えた。



 スマホで異世界転移系小説『ドルオタが異世界で推しメン(女騎士団員)を見つけました』を読みながら家のドアを開けたら冒険者ギルドだった。

 冗談だろうとドアを閉じるも、既にもうそこは自分の知る世界ではなかった。


「マジか……」


 手に持つスマホを見る。圏外だった。

 冒険者たちの粗野な喧騒に包まれながら、加藤は呆然とする……こともなくカウンターへと歩いて行く。


 こうして加藤公康(かとうきみやす)は、冒険者キミヤス・ノグチとなった。

 異世界に来ておよそ2分後のことだった。

0時頃に次話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ