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異世界召還されました。
此処は間違いない、異世界だ。どうしてこうなった?
私、緋鳥有奈は頭を抱えた。
***
話を戻そう。私は緋鳥有奈。抜きん出て可愛くもなければ、成績もそこそこと言うごく一般的な女子高生だ。二年生ともなると勉強も難しくなってきていて、図書館に通って授業の復習をしてから帰るのが日課になっていた。その日ももちろん何時も通り図書館からの帰り道だった。薄ぼんやりと街灯のついた公園の横を通り過ぎると、唐突にそれは現れた。
急に地面に穴が開いたように一瞬の浮遊感。嫌な予感がしたが、蹴って地面を飛ぶわけにもその地面が消失していたのだ。
「嘘でしょう!?」
私の叫び声は奈落の底に落ちていった。
***
「う・・・うん。」
目を覚ますと私は魔術陣の上に寝込んでいた。近くには私の参考書やらスマートフォンやらが散乱している。ぼーっとする頭で何があったか考える。私、何か悪いことした?
「…成功。」
淡々と告げるように言うのは、黒髪に漆黒のローブを羽織った華奢な男。アメシスト色の瞳が私を映して優しく細められる。
「ようこそ、ううん、お帰りなさい、ヒドリ。」