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第1話〈覚〉


冴月(さつき)奏瑚(そうご)さん、好きです。私と付き合って下さい」


チリン────と、鈴の()が響く。

とある高等学校の屋上。

突如クラスメイトの女に呼ばれ、来てみれば。


「嘘だな」


「…………え?」

「嘘を、吐いている。」

「そんなわけないですよ」

「隠さなくていいぞ」

「なにを根拠に言って………」


俺はここでようやく顔を上げ、彼女の目を見る。


『チッ、ようやく顔見せたわね。なんでこんなクソ陰キャに嘘告しなきゃなのよ。こんな根暗、眼中にないし。罰ゲームなんて参加しなければよかったわ』


「顔が紅くなっていない。目が冷たい。好いた人間に気持ちを伝える態度ではない」


「…………」

『なんなのよ、こいつ?偉そうに…………』


「『そもそもなんでこんな美少女に告られてケロッとしてんだクソガキ』」


「………え?」

「『なんで、思ったことが』」


『また………どうして?』


「嘘をついている人間っていうのは一発でわかんだよ」


「てめぇ、黙っていればツラツラと………ふざけんなよ」

彼女は、下を向いて震えていた。

「ふざけんなよぉぉぉ!」

「黙れ」

「!?」

ああ。やっぱりだ。軽く睨みつけただけで黙った。

自分はヅカヅカと喚き散らかす癖に、こちらが少し凄んだだけで縮こまる。



ああ。これだから、人間は。

醜くて、嫌いだ。



妖怪。古くから日本に言い伝えられてきた存在だ。

その中でも、(さとり)、という妖怪がいる。

心を読み、人を誘う化物。

それが、冴月奏瑚────俺だ。

俺は、最後の覚妖怪だ。


人間は、嘘を容易く吐く。

騙し、貶し、嘲笑う。

自分のことしか考えず、不必要な嘘ばかり吐く。

一体何が楽しいというのだろう。

表面上では優しく接していたとしても、結局は自分のためだったり、バカにしていたりする。

本当に、人間は醜い。



─────もう、疲れた。




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