荒野のど真ん中でインフラ整備。掘削ドリル『アースオーガ』で水源を掘り当てます
魔石の山を築いた直後。
俺の重機の周りには、500匹の群れから生き延びた底辺探索者たちが、安堵のあまりへたり込んでいた。
「あ、ありがとうございます……! 本当に、何とお礼を言えば……」
リーダー格の剣士が、涙ぐみながら頭を下げる。
だが、彼らの唇は乾燥してひび割れ、ひどく消耗しているのが分かった。
「礼はいい。それより、水はどうした? 探索者なら携帯食料くらい持ってるだろう」
「それが……ここは本来『嘆きの荒野』と呼ばれる第5階層でして。モンスターに追われて逃げ回るうちに、水袋を落としてしまって……」
(なるほど。休むための平地と安全な防壁があっても、水がなきゃ人間は三日で死ぬ)
「少し離れてろ。拠点に不可欠な水源を確保する」
俺はスキルを発動し、油圧ショベルの先端を新たなアタッチメントへと換装した。
「掘削ドリル『アースオーガ』。これより作業に入る」
光と共に現れたのは、巨大な螺旋状のドリルだ。電柱を立てたり、地下深くの地盤を調査するための特殊なアタッチメントである。
ARディスプレイが地下の地質データをスキャンし、水脈があるポイントを水色でハイライトした。
ギュイィィィィンッ!!
油圧の暴力的な回転力が、硬い岩盤をドリルの刃でゴリゴリと削り抜いていく。
深さ数十メートル。地下水脈の層に到達した瞬間、螺旋の溝を伝って、透き通った水が勢いよく地表へと噴き出した。
「み、水だ!!」
「嘘だろ!? この枯れ果てた荒野のど真ん中で、井戸を掘り当てやがった!」
歓声を上げ、湧き出る水に群がる探索者たち。
『すげぇ、完全にオアシスできてるww』
『整地して、防壁作って、井戸まで掘る。これもう村だろ』
『ダンジョン配信見てるはずなのに、開拓スローライフ始まってて草』
同接5万人を超えたコメント欄も、お祭り騒ぎになっている。
「現場の安全確認、ヨシッ。……さて、物理的な設備は整ったな」
俺がエンジンを切ってキャビンから降りると、リゼが鼻歌交じりに手元のタブレットを操作していた。
「こっちもシステムの準備ができたわよ、マスター!」
リゼが端末を操作すると、安全地帯の中心に立てた巨大な魔石から、光のホログラムが展開された。
空中に浮かび上がったのは、洗練されたデザインの操作画面だ。
「これ、アタシが組んだ拠点専用のローカル掲示板アプリよ! 集まった人たちのスキルや怪我の状況を登録するデータベースを立ち上げておいたわ。これで物資の交換や、見張りのシフト管理も自動化できる!」
「お前……重機の整備だけじゃなく、フロントエンドの開発までできるのか」
「当然でしょ! 魔力回路の構築なんて、データベースの設定と大して変わらないんだから!」
探索者たちは、空中に浮かぶ便利なタッチパネルに驚きながらも、次々と自分の名前や持っている物資を登録し始めた。
誰も見向きもしなかった最悪の荒野が、たった数時間で、水とシステムが完備された世界一安全な拠点『黒部村』へと変貌を遂げたのだ。
「完璧ね。村のインフラ管理システム、正常稼働よ!」
リゼが得意げに笑い、俺も満足して缶コーヒーを開けた。
……その時だった。
ビーーーッ!!
稼働したばかりの村の管理システムが、突如として真っ赤な警告ポップアップを表示した。
『System Alert:未登録の接近者を検知。
生体反応:人間。ただし、極めて高い敵対パラメーターを内包。』
「……え?」
リゼが笑顔を凍りつかせ、画面を拡大する。
そこには、安全地帯の入り口に向かって、武器を構えた数人の高レベル探索者が静かに近づいてくる熱源反応が映っていた。
それは助けを求める難民ではない。
ギルドの裏システムを叩いた黒幕が、スタンピードの失敗を知って差し向けてきた、本職の『プレイヤーキラー』の部隊だった。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
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