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勝率0.2%の多頭竜? ならばOSを書き換えて『解体』します

『EMERGENCY:第4階層『主』・腐毒竜ポイズン・ハイドラ

 推奨行動:即時退避。現在の機体での生存確率:0.2%』


ARディスプレイが、警告の赤色で完全に染まり上がる。

沼の奥から現れたのは、巨大なビルに匹敵する5つの首を持つ竜だった。


(冗談だろ。なんで浅い階層に、こんな規格外のバケモノが……!)


「シャァァァァッ!!」


5つの首が同時に大きく息を吸い込むモーション。

直後、高圧洗浄機のような勢いで、致死の『強酸ブレス』が広範囲にばら撒かれた。


「チィッ!」


俺はとっさにブルドーザーの排土板ブレードを上に傾け、巨大な盾として展開する。

ジュァァァァッ!! という鼓膜を劈くような激しい溶解音。


『WARNING:ブレードの装甲値が急激に低下。完全溶解まで、推定12秒』


分厚い特殊鋼のブレードが、まるで熱した飴のようにドロドロと溶け落ちていく。


(マズいな。このままじゃキャビンごと溶かされる)


後退しようとギアに手をかけた、その時だった。


「マスター、ちょっと横にズレて!!」


「おい、お前なにして……っ!?」


助手席側にしがみついていたドワーフの少女・リゼが、工具箱から太いケーブルを引きずり出し、コンソールの下部パネルを強引にこじ開けた。

そこにあるのは、俺も触ったことのない重機の『開発者用ポート(マニホールド)』だ。


「この美しい鉄の塊を、こんなトカゲのゲロで溶かされてたまるか!」


リゼがケーブルを接続し、自身の腕に巻いた小型端末を猛スピードで叩き始める。


「魔力駆動のOSが古すぎる! アタシがシステム(制御領域)をハッキングして、魔力フローを装甲表面に強制バイパスさせるわ!」


ピピピッ!

ARディスプレイの赤い警告の上に、青いコマンドプロンプトが次々と上書きされていく。


『System Override(権限委譲):ユーザー【Liese】が管理者権限を取得』

『防食魔力フィールド、排土板へのコーティング率120%で展開』


先ほどまで溶けかけていたブレードの表面に、青白い魔力の膜が張り巡らされる。

ハイドラの強酸ブレスが直撃しても、今度は弾き返して一切のダメージを許さない。


(……すげえ。ただの整備士メカニックじゃない。こいつ、超一流のシステムエンジニアだ)


「防壁はアタシが維持する! 反撃できる!? マスター!」


「ああ、十分だ。最高のアシストだぜ、リゼ」


生存確率0.2%?

足場が確保されていて、優秀な相棒(システム担当)がいる。なら、勝率は100%だ。


俺はスキルを発動する。


「【重機換装】。さあ、スクラップの時間だ」


光と共にブルドーザーが変形していく。

新たに召喚されたのは、長大な多関節アームの先端に、巨大な2つの鉄のグラップルを備えた『解体用重機(ツーピースブーム仕様)』。


木材や鉄骨を掴んで「引き千切る」ことに特化した、林業・スクラップ用のバケモノだ。


『えっ、アームの先端がハサミ!?』

『待って、ハイドラって首斬り落としても再生する初見殺しボスだぞ!?』

『主、ブレードじゃなくて打撃でいけ!!』


コメント欄が焦りの声を上げる。

ハイドラの首を刃物で斬ってはいけない。それはファンタジーRPGの常識だ。


「シャァァッ!」


俺の重機を敵と認識したハイドラが、5つの首を鞭のようにしならせ、四方八方から同時に噛み付いてくる。

俺は両手のジョイスティックを、ピアノでも弾くかのように限界速度で乱舞させた。


「斬る? バカ言え」


ガコンッ! ギュガガガッ!!


ARディスプレイの『最適捕捉ルート』に従い、解体用重機の巨大なグラップルが正確にハイドラの首を2本同時に「ホールド(捕捉)」する。


「俺は、解体業者だ」


「ギァァッ!?」


分厚い鉄の爪が、ハイドラの首の骨をガッチリとロックする。


「斬って再生するなら、再生する根元の組織ごと『引き千切る(張力破壊)』までだ!」


油圧シリンダーの出力を最大レッドゾーンまで引き上げる。

数十トンの力で首を掴んだまま、機体を強引に後退させ、アームを天高く振り上げた。


メキバキバキバキィッ!!!!


ダンジョンに、生々しい肉と骨が断裂する絶叫が響き渡る。

重機の圧倒的な『張力(引っ張る力)』に耐えきれず、ハイドラの首は根本の肉塊ごと、文字通り無残にブチ撒けられた。


『えええええええええ!?』

『斬るんじゃなくて、根元から引っこ抜いたぞwww』

『力技すぎるwww 物理エンジン壊れるわwww』

『同接2万人突破! 伝説の配信の目撃者になれた!』


再生の起点となる細胞ごと引き千切られたハイドラは、残りの首を痙攣させ、そのまま泥のように崩れ落ちて魔石へと変わった。


「ふぅ……。大型オブジェクトの解体完了。現場の安全確認、ヨシッ」


俺とリゼは顔を見合わせ、キャビンの中でハイタッチを交わす。

……だが、俺たちは気づいていなかった。


この常軌を逸した「重機無双」の配信が。

すでに、絶対に目をつけられてはいけない『最悪の男』の端末にまで届いていたことに。


「……ほう。泥臭い鉄の塊で、神聖なるダンジョンを汚すネズミがいたとはね」


王都のギルド最上階。

チャンネル登録者150万人を誇るトップ探索者、『白銀の剣』シークフリートが。

タブレットに映る俺の重機を見下ろし、冷酷な笑みを浮かべていた。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「重機でモンスターを轢き潰すの最高!」「リゼのツッコミが良い!」「続きが気になる!」と少しでも楽しんでいただけましたら、


ページ下部より【ブックマーク】の登録うぃして応援していただけますと、毎日の執筆・更新の最大モチベーションになります!

重機無双はまだまだ加速します。何卒よろしくお願いいたします!

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