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ギルド解体。その『聖域』は構造欠陥につき取り壊します

王都の正門前。

そこに集結していた精鋭騎士団の面々は、地平線の向こうから迫りくる「異形」を前にして、槍を握る手を震わせていた。


「な……なんだ、あの巨大な鉄の獣は!?」


大地を揺らす重低音。

俺は、十数台のタイヤを持つ『超大型低床トレーラー』の運転席に座り、王都の門へと真っ直ぐにアクセルを踏み込んでいた。

荷台には、次の「作業」に備えた数十トンの重機たちが、鋼鉄の鎖でがっちりと固定されている。


「リゼ、王都の防衛魔法の波形はどうだ?」


「解析完了! 本部のメインサーバーと同期してるわ。……あ、シークフリートの奴、必死に『立ち入り禁止の結界』を張りまくってる。本当に往生際が悪いわね!」


助手席でリゼが鼻で笑う。

俺は速度を落とさず、正面に展開された黄金色の魔法障壁を見据えた。


「関係ねえよ。公道を塞ぐ不法占拠物は、強制撤去スクラップだ」


俺がボタンを押すと、トレーラーの前面に召喚された『大型スノープラウ(除雪排土板)』が光を放つ。

魔法の壁は、俺の重機の圧倒的な質量と「道路法」という名の屁理屈に弾かれ、ガラス細工のように粉々に砕け散った。


阿鼻叫喚の騎士団を抜き去り、俺たちは王都の中心、ギルド本部の白い塔の前へと乗り付けた。


「……出ろ、シークフリート! 監査の時間だ!」


俺の声が王都全域に響き渡る。

塔の最上階、窓から顔を出したシークフリートは、今や英雄の面影もないほど顔を引き攣らせていた。


「貴様ぁぁ! 聖なるギルド本部に重機を持ち込むなど、万死に値するぞ! ここは建国以来の魔法障壁で守られている、人類の至宝なのだ!」


「至宝ね。俺の目には、腐りかけの欠陥住宅にしか見えねえよ」


俺はトレーラーから降り立ち、最後にして最強の重機を召喚した。


「重機換装。高所解体仕様――【超ロングブーム機】!」


光の中から現れたのは、通常の三倍以上の長さを誇る、折り畳み式の巨大なアームを備えた解体専用の油圧ショベルだ。

アームが天に向かってゆっくりと伸びていく。

その高さは、シークフリートが隠れている最上階の窓を優に超えた。


「リゼ、建物の構造解析スキャンを頼む。どこを叩けば、一番きれいに『中身』が露出する?」


「バッチリよ! 西側の第三接続部が、魔力供給のバイパスになってる。そこを剥がせば、すべての魔法障壁は強制終了シャットダウンよ!」


「よし。――解体作業、開始!」


俺はレバーを引き、アームの先端にある巨大なハサミ『大割砕石機クラッシャー』を繰り出した。


ガギィィィィン……ッ! メキメキメキッ!!


建国以来一度も傷ついたことがないというギルド本部の壁が、重機の油圧による数千トンの圧力で、まるでお菓子の家のように無残に噛み砕かれていく。

剥がれ落ちた装甲板が地上へ落下し、轟音を立てるたびに、王都の民衆からは地鳴りのような歓声が上がった。


『うおおおお! 本部が壊されてる!』

『「聖域」がただの瓦礫になっていく……』

『見て! シークフリートが、窓際で腰を抜かしてるぞwww』


同接数はついに三十万人を突破。

全世界が見守る中、俺はアームをシークフリートの目の前の壁に突き立て、それを力任せに横へと引き剥がした。


「……あ、あ、あ……」


壁が消失し、剥き出しになった執務室。

高級な椅子から転げ落ち、尻もちをついたシークフリートの鼻先に、巨大な鉄のハサミがピタリと突きつけられた。


「よう、英雄様。……現場監督のタクミだ。ここからは、あんたの罪の『解体』を始めようぜ」

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